天国から物語は生まれないと言う

天国から物語は生まれない、という言葉があります。
しかし、素敵だと思うものや人にはその多くに物語があります。
だとすれば、素敵なものには少なからず地獄があるのではないでしょうか。


特に、手放しに称賛できるものには、得てして深い地獄がそのすぐ裏にぴったりと付いているような気がします。

笑顔で居よう

それだけで、周りも自分もハッピーに居られるから
よく見かけるキャッチコピーです。
本当にそうでしょうか。


この場合の幸福感は本人の感性に依存する部分が多いです。幸せとは押し付けです。いくら働いても遊びと同じだと感じる人もいます。ずっと既婚者と付き合っていて幸せな人もいます。体がないほうが幸せな人もいれば、考えないことに幸せを感じる人もいます。

笑顔は、地獄を隠す鏡のようです。
その鏡にはいつもそれを覗く人が写っていて、覗いた人は一様に安心します。なぜなら、鏡は自分の存在を確かめるものであり、相手の思いや感情なんて関係ないからです。
相手がにっこりと微笑むと、その相手の心を見ることはできなくなってしまいます。そこにはただ私という存在に対して何の反応も返さず、ただありのままを投影する鏡しかないからです。その瞬間に相手の地獄は見られなくなります。

もし人として真っすぐに向き合おうという気が少しでもあるのなら、笑顔に頼ってはいけない気がします。とってもあいまいでふわっとしていて、相手が遠くなってしまうから


天国から物語は生まれない
言い換えれば
地獄は物語の源泉である

私たちは笑顔で居ないとき、地獄の話をしているのかもしれません。

笑顔で居ないとき、私たちは地獄をのぞき込む可能性を持ちます。しかしそれと同時に、それはその人の魅力をとらえるチャンスでもあると思います。



読んでくれてありがとうございました
またどこかで



日々是口実

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