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【1.5万字】スマホに支配されているあなたへ【奴隷生活やめません?】

まえがき

ぼくの恋人

ぼくが初めて君と出会ったのは高校生のとき。
完全に僕の一目惚れだった。
出会ってからすぐに僕たちは仲良くなり、気づいたときには君の虜になっていた。


片時も離れず一緒に過ごしたね。
同じベッドで目を覚まし、一緒に朝の支度をし、同じタイミングで家を出る。
常にスキンシップを忘れない。
君の機嫌を損ねないように。

一緒に「ただいま」と言い帰宅して、一緒にお風呂に入る。
もちろん寝るときも一緒だ。
君の「おはよう」で目を覚まし、その日、一番始めに触れるのはもちろん君の肌。


君がいないと不安になる。
君がいないと寂しくなる。
君がいないと自分を見失う。


もう君がいないと生きていけない…






君の名は…








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※このnoteは15,000文字の超大作です。一度に読むのは大変だと思うので、後で読み返せるように「スキ」を押して保存しておくことをオススメします。
なんとなくこのnoteを開いた方へ

どちらが使われているのか?

電車の中で周りを見渡してみる。
全員がうつむき、握っているスマホとにらめっこしている。

飲食店で周りを見渡してみる。
全員がうつむ…(以下同文)

いつからだろう。
こんな世の中になってしまったのは…

スマホ依存症が社会問題となり、歩きスマホや運転中のスマホ操作が原因の事故が次々に起こる。

最新テクノロジーを駆使し、次々に新しい製品やサービスが世に送り出されている。
そのおかげで僕たちの生活は、本当に便利になった。
僕たちの生活を便利にした、その最たるものがスマホだろう。

いまや多くの人にとってスマホは手放せない存在になっている。
便利だからだ。
でも、そのスマホが僕たちの人生を台無しにすることがある。

僕自身、スマホの過剰利用が原因で眼精疲労やストレスに悩まされていた経験がある。

スマホからのストレスを受けたとき、ふと思った。
「ぼくがスマホを使っているのではなく、スマホに使われているのではないか…?」

そこから、スマホとの付き合い方を考えるようになった。

今ではデジタルデトックスアドバイザーとして、デジタルデバイスとの付き合い方についてセミナーやメディア出演で情報発信している。

スマホには中毒性があり、やめたいと思っても触り続けてしまう。
SNSやゲームアプリは、提供している企業が儲けるために、僕たちの時間を奪うように設計して作られている。

だから、いつしか無意識にスマホに手を伸ばし、手放せなくなる。
そして、人生という名の時間が溶かされていく。
時間だけでなくお金が溶けていくことすらもある。



この「スマホからの奴隷解放宣言」では、あなたにスマホとの付き合い方を考え直し、うまく共存していくキッカケを提供したい。

あなたに伝えたいのは、
「スマホは悪だ!」
「スマホを触るな!」
ということではない。

スマホは僕たちの生活を便利に、豊かにするデジタルデバイスだ。
それは否定のしようがない。

だから"使う"べきだと思う。

使え、使われるな。



さて、
それではあなたに「スマホとの共存」の一歩目を踏み出してもらおう。


第0章:君とぼくの物語

君が生まれた日

君は大歓声に包まれながら産声をあげた。
2007年1月9日のことだ。

奇形児が生まれたと、怪訝な顔をして見ていた人もいただろう。
それまでの常識とはかけ離れた見た目をしていたから。

君が生まれてすぐに、君が世界を変える存在になると想像できた人はいったい何人いたのだろうか。


君は有名人

君の存在は、すぐに全世界へ広がった。
2023年現在、君を知らない人はいない。

なんでここまで有名になったのか?
美しいから?
可愛いから?
いや、違う。

本能的に魅了されてしまうからだ。
"君中毒"といってもいいくらいに。

君との出会い

ぼくが初めて君と出会ったのは、中学3年生のころ。
友達の家に遊びにいくと、そこに君はいた。

最初は気にもとめていなかった。
というより、見慣れない見た目をしていたから「なんだこの子は?」と思った。

でもその日以降、街なかでよく君を見かけるようになって…
気づくと君を手に入れたいと思い始めていた。

そして…
高校2年生の2学期、ぼくは君と過ごすようになる。

君との燃えるような恋

君と過ごせることが嬉しくてたまらなかった。
これから一緒に過ごせるとわかった日は、夜中まで君とじゃれあった。

朝は君の声で目を覚まし、
一緒に学校に行く、
寝るのも一緒。

完全に君の虜だった。

君にとって、ぼくは都合のいい男

ぼくは君との時間を楽しんでいた。
でもたまにイライラしたり、疲れてしまうこともあったんだ。

君と一緒にいると、なんだかあれをやらなきゃこれをやらなきゃって焦りを感じたりする。
ふぅ〜っと一息つく時間がなくなっていた。

君が呼ぶ声に無意識に反応してしまう自分に気づいたときは、少し怖かった。

ぼくの人生は完全に君中心の生活になっていたんだ。

君の目には、ぼくはどう写っていたのかな?

君と距離をおく

「ねぇ ちょっと距離をおかない?お互いのことを考え直すキッカケになると思うし…」
そう切り出したのはぼくだ。

君はすんなり受け入れてくれた。

いままで一緒にいるのが当たり前だった。
当たり前化していた君の存在が消えると、ちょっとモヤモヤとした不安を感じる。

でも、それと同時に開放感のような清々しさも感じていた。

君のために使っていた時間が浮いて、自分の時間が増えた。
運動やストレッチといった健康のための時間。
読書や勉強といった自己研鑽の時間。
食事や談笑といった家族との時間。

充実感を感じる日々を過ごすなか、やっぱりこうも思った。
「君はぼくにとって大切な存在だ」と。

君との幸せな生活

距離をおいて、お互いのことをゆっくり考える時間を持ったのは本当によかった。
いまでは君と幸せな生活を送れていると感じる。

お互いを尊重して、自分を犠牲にしない付き合い方をする。
それができれば今後も君との関係性が崩れることはないと確信している。

そういえば、数年前に友達からこんなことを言われた。
「おまえ奴隷みたいだな」
君のことしか考えないで、自分の身体を酷使していたぼくに対して言ってきたんだ。

当時は、「は?奴隷?ふざけんな」と思ったよ。
でも、いま振り返ると完全に君の言いなりになっていたし、自分でも奴隷だったなと思う(笑)
あのときは、君に夢中で自分のことを客観視できなかったんだろうな…

もう誰にも奴隷だなんて言わせない。
ぼくの人生の主導権はぼくが握っている。

一緒に幸せになろう。
これからもよろしく。


第1章:スマホという名の支配者

ここまで、スマホを"君"という風に擬人化させて話をしました。
どう感じましたか?

  • スマホの虜になっていた

  • 起きてから寝るまで一緒

  • スマホがないと不安を感じる

ひとつくらい自分にも当てはまることがあったと思います。
実はスマホ(アプリやWebサービス)は僕たちが注意を向けたくなるように作られています。つまり僕たちがスマホを触りたくなってしまうのは必然というわけです。

1-1 企業は僕たちの時間が欲しい

スマホの中にはあらゆるものが詰まっています。

  • 時計

  • 財布

  • 地図

  • ゲーム

  • SNS

  • 電話

  • メモ帳
    etc…

本当に便利です。

なかでもあなたが一番時間を使っているのは、TwitterやInstagramを始めとしたSNSではないでしょうか?

YouTubeやTikTokも広義ではSNSに当たるので、ここではSNSとして扱います。

こういったSNSを提供しているTwitter社やMeta社、Alphabet社(Google)は僕たちの時間が欲しいと思っています。喉から手が出るほど。

それはナゼか?

儲かるからです。

彼らは企業から広告を自社のサービス内で出してもらって、その広告の出稿料で儲けています。
なので、企業から「このサービス内で広告をだしたい」と思ってもらう必要があります。

Facebookを使っているユーザーがひとりもいなかったら、Facebookで広告を出したいと思う企業はいないでしょう。
しかし、Facebookに29億人のユーザーがいれば広告を出したいと思う企業はわんさか現れます。

ちなみに、Facebookの月間利用者数は29億3,400万人です。
2022年時点

人が集まっているから広告を出す意味があります。

なので、彼らはたくさんのユーザーを集めて、できるだけ長く自分たちのサービスを使って欲しいわけです。

そう考えると、僕たちは彼らにとっては商品です。

SNSだけではありません。
アプリゲームを提供している企業も僕たちの時間を狙っています。


アプリゲームをやったことがある方ならわかると思いますが、広告を見ないとプレイできなかったり、画面の下に広告が出てきたりしますよね?

あの広告を見たりタップすると、アプリゲームを提供している企業にお金が入ります。僕たちが広告を見れば見るほど、タップすればするほど儲かる仕組みです。


1-2 なぜスマホばかり触ってしまうのか?

企業が僕たちの時間を奪いたいと考えていることは理解していただけたと思います。

彼らは僕たちに自社サービスで、できるだけ多く時間を使ってもらいたいと考えています。そのために長く使いたくなるような設計しているのです。

ここで、あなたに押さえて欲しいことが2点あります。

  • 人間は「かもしれない」が大好き

  • 人間は「新しい情報」が大好き

これがわかると、ついついスマホを触ってしまう理由も納得できるようになります。

「いや、私は別に好きじゃないよ!」と思ったそこのあなた。
断言します。あなたは好きです。本能的に。

僕たち人間は「かもしれない」と「新しい情報」が好きだからこそ生き残ってきました。

ここから一つずつ説明していきます。
まずは、【人間は「かもしれない」が大好き】からです。

時間を巻き戻して、狩猟採集民族だったころを考えてみましょう。
当時は不確かな状況でも行動しなければ生き残っていけませんでした。

獲物を捕まえることができる「かもしれない」
確実に狩れる保証はないけど、行かないと…餓死してしまう。

不確実だけど行動を起こさないと死んでしまうので、人間の脳はドーパミンを出して行動するように作られています。

ドーパミンとは、報酬系の神経伝達物質です。
これが出ると人間の脳は快楽を感じるようになります。

ここで「かもしれない」でドーパミンが放出される実験を紹介しましょう。

被験者にお金がもらえるカードを引かせた実験を行いました。
毎回お金がもらえる場合と、たまにしかお金がもらえない場合を比べるとたまたにしかもらえないほうがドーパミンが多く出ました。

スロットやパチンコ、競馬などでギャンブル依存症になるのも、「かもしれない」でドーパミンが出るからです。

2021年にベストセラーになり、世界的に話題を呼んだ「スマホ脳」にもこんな一文が書かれています。

報酬システムを激しく作動させるのは、お金、食べ物、セックス、承認、新しい経験のいずれでもなく、
それに対する期待だ。
何かが起こるかもという期待以上に、報酬中枢を駆り立てるものはない。
スマホ脳より

自分に置き換えて考えてみてください。
投稿したツイートに「いいね」や「コメント」がついているかもしれない…
Instagramで友達が新しい投稿をしているかもしれない…
スマホの通知音を聞いて、大切なLINEが来たかもしれない…

そんなことを思って、半分無意識にスマホに手が伸びることありませんか?

うん、ありますよね。
わかります。

僕たちの脳は「かもしれない」が大好きなのです。

次に【人間は「新しい情報」が大好き】という話に入ります。

僕たちの脳は、新しい情報を得たときにもドーパミンが出ます。
これも人間が生き延びるためには、新しい情報を収集する必要があったからです。

もう一度、人間が狩猟採集生活を送っていたころを考えましょう。

天候が獲物の行動にどのように影響するのか?
向こうから近づいてきているのは危険な動物か?
狙っている獲物が注意散漫になるタイミングは?

など、周囲の情報(環境)をより深く知ることで生存確率は上がりました。

たとえば、狩猟採集時代に次の2人の男がいたとします。

  • 新しい環境を求める衝動がある男

  • 死ぬまで同じ場所に居たいと思う男

生存確率が高いのは、前者です。
なぜなら移動すればするほど食べ物が見つかる可能性が高いからです。
移動すれば新しい木の実や獲物を見つけられるでしょう。

そもそも新しいことが好きだからこそ、人間はここまでテクノロジーを進化させてきました。

脳が新しいことを求めない作りになっていたら…

  • 火を起こす方法もしらない

  • 獲物を狩りやすい武器も考えない

  • どんなときに雨が降るかも調べない

生き残れるはずないですよね。

さらに…

  • 乗り物も作らない

  • 科学についても考えない

  • パソコンも作らない



2023年になっても狩猟採集生活を送っているかもしれませんね(笑)


スマホ脳にも書かれていますが、僕たちの脳は1万年前からほとんど変わっていません。

そんな脳を持っている僕たちがスマホの虜になってしまうのもうなずけます。

なぜかって?

スマホは「かもしれない」と「新しい情報」の宝庫だから。


1-3 スマホがもたらす悪影響

人間は「かもしれない」と「新しい情報」が好き。
そして、GoogleやMeta社などの名だたるテクノロジー企業はそのことを熟知しています。

Googleでエンジニアとして勤務していた、トリスタン・ハリスはこう告白しています。

テクノロジー企業には、ユーザーが製品を長く使ってしまうように仕向けるためのテクニック集が存在する
CBSテレビのドキュメンタリー番組「60ミニッツ」で告白

シリコンバレーにいる"超"がつくほどの天才たちが、本気で僕たちの時間を奪おうとしています。

脳の神経伝達の特徴を理解してハックする。なので、簡単には抗えません。
嫌でもドーパミンが出て、スマホを触ってしまいます。

こうして長時間、まるでスマホの奴隷になったかのように触らせ続けます。
スマホ、もっと正確に言えばその後ろにいる企業に支配されているかのようです。

それが僕たちの人生に害を与えないのなら問題はありません。
しかし、残念ながら僕たちは悪影響を受けています。

様々あるのですが、ここでは次の3点に絞ってお話しましょう。

  • 睡眠への悪影響

  • 集中への悪影響

  • コミュニケーションへの悪影響

どれもあなたの人生に欠かすことのできない項目ですよね。
これからの内容を知ってしまうと、スマホとの関係性を見直そうと必ず思うはずです。

それでは、1つ目「睡眠への悪影響」から紹介します。

まずあなたに質問です。
夜遅くまでスマホを触ってしまって、なかなか寝付けなかったり、熟睡できた気がしないと思ったことありませんか?

うんうん、ありますよね。

スマホが原因の睡眠トラブルは年々増えていると言われています。

睡眠に悪影響がでる原因は2つです。

  • スクリーンから出るブルーライト

  • コンテンツからの刺激

まず、ブルーライトについてお話しましょう。
ブルーライトという言葉、皆さん一度は聞いたことありますよね?

ブルーライトは可視光線という目に見える光のなかで、380~460nmの光です。
これは目の奥まで届く非常に強い光で、目が疲れたり体内リズムを乱したりします。

蛍光灯やパソコン、テレビ、もちろんスマホからも出ています。

実は太陽光にもブルーライトは含まれていて、「目覚めの光」とも呼ばれています。
太古の昔から人間は太陽の動きに合わせて生活をしてきました。
日が昇ると活発に活動し、沈むと眠りに落ちる。

ブルーライトは脳を覚醒させる働きがあり、これを浴びて目が覚めて活発に活動を始めるのです。

そして、朝日を浴びてから約14時間後にメラトニンというホルモンが本格的に分泌されます。
すると人間の脳は眠気が出てきて、眠れるようになるのです。

しかし、眠る前にブルーライトを浴びると、このメラトニンの分泌が抑制されます。

これが、ブルーライトが睡眠に悪影響を与える理由です。


続いて、コンテンツからの刺激で睡眠に影響がでる話をしましょう。
スマホはドラえもんの四次元ポケットのようなモノです。

・自分が知りたい情報
・好きな歌手の音楽
・大好きなYouTuberの動画

ほんとうに何でも出てきます。
スマホひとつで消費者金融からお金を借りることもできちゃいます。

そんなスマホからは、あなたを興奮させる、テンションをあげさせるコンテンツも出てきます。

・テンションが上がるロックミュージック
・アダルトな動画
・食欲を刺激する友達の飯テロ写真
・ついついプレイしてしまう面白いゲーム
・推しアイドルのSNS

このようなあなたを刺激させるコンテンツを見ていると交感神経が優位になります。

交感神経は「昼の神経」で、血圧や心拍数があがり、身体が活発に活動できるようになります。
一方、副交感神経は「夜の神経」で、心拍数や呼吸が穏やかになり心身をリラックスさせます。

本来、夜は副交感神経が優位になり、心身がリラックスをすることで良質な睡眠へと入ることができます。
しかし、交感神経が優位になると脳が覚醒し、眠気が遠ざかってしまうのです。

動画の倍速再生も交感神経を優位にさせます。
YouTubeやNetflixで倍速でコンテンツを消費しているひとも多いでしょう。
ある調査では、若者の約半数が倍速再生で動画を見ていたことがわかりました。

20代男性は54.5%、20代女性は43.6%が倍速再生で動画を視聴していた
株式会社クロス・マーケティング 『動画の倍速視聴に関する調査(2021年)』
株式会社クロス・マーケティング 『動画の倍速視聴に関する調査(2021年)』

現代では一般的になった倍速再生ですが、通常速度の再生と比べて交感神経を80%優位にさせます。

日中、倍速再生で動画を見るのはいいですが、寝る前の倍速再生は控えた方が良さそうです。


ちなみに、寝る30分前からスマホを触らないようにした実験では、次のような効果がありました。

眠りに入るのに12分早い
睡眠時間が18分長い
主観的な睡眠の質が高い
入眠前の覚醒度が低い(眠気が強い)
起床時の気分がより良い
作業記憶テストがより正確で早い
中国上海の第二軍医大学が2020年に発表した論文

たったの30分スマホを触らなかっただけで、この結果です。
今日の夜から、あなたもスマホを触らない時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?


では、2つ目「集中への悪影響」を見ていきましょう。

集中して仕事をしようとパソコンの前に座る。
「ピロンッ!」
通知音に呼ばれ、スマホを触る。
LINEの返信を終え、仕事をスタートしようと再度パソコンに向かう。
「ピコンッ!」
Facebookのコメントが来たようだ。
返信を終え、スマホを置く。
さぁ今度こそ仕事を....

っと、こんな経験ありませんか?
集中しようと仕事や勉強に取り組み始めたのに、スマホに手が伸びた経験。「一度もない」とは言わせません。

1度や2度、いや数百回以上あるはずです。

集中したいけど、集中できない。
気づくとスマホを手に取っている。まるでスマホに操られているかのようです。

Steve Cutts 作

僕たちは平均して12分に1回スマホを触っていると言われています。
こんなに頻繁にスマホを触っていては集中なんてできるわけがありません。

ここで2つの研究結果を紹介させてください。
まずは、米テキサス大学の研究結果です。


この研究では800人を対象に認知テストを行わせました。
被験者の方々は3つの作業環境を指定されました。
1つ目のグループは、スマホを別室に置いて作業をする。
2つ目のグループは、スマホを机の上に置いて作業する。
3つ目のグループは、スマホをポケットに入れて作業する。

これで各グループのテストの成績を比べました。

すると、スマホを別室においたグループの方が好成績をおさめました。
スマホを机の上においたグループが一番成績が悪いという結果に。
そして、スマホをポケットにいれたグループも認知能力が下がり成績が悪かったことがわかりました。

次にジャーナル・オブ・ソーシャル・サイコロジー誌に掲載された研究結果です。

この研究では、大学生グループを対象にとある実験を行いました。
自分のスマホを目の前に置くグループと見えないところに置くグループに分けて、身体的に難しいタスクを行わせたのです。

予想通り、スマホが見えたグループの方のパフォーマンスが落ちました。
ここからがおもしろいのですが、
次に他人のスマホを目の前に置いてタスクに取り組んでもらったところ
自分以外の人のスマホだったとしてもパフォーマンスが落ちることが判明しました。


スマホは電源のオンオフ、通知の有無に関わらず集中力を奪います。
それが他人のスマホだったとしても…


さて、3つ目の「コミュニケーションへの悪影響」のお話です。

現代はスマホのおかげでいつでもどこでも誰とでもコミュニケーションを取れます。

ダイヤル式の電話機を使っていた時代に、将来スマホという革命的な電話機が登場すると予想できた人はいたのでしょうか。

・遠くに離れている家族と顔を見ながら話せる
・LINEで孫の様子をおばあちゃんに見せてあげれる
・SNSで共通の趣味を持った人と繋がれる

スマホがコミュニケーションに好影響を与えていることは否定のしようがありません。

一方で、悪影響を与えるという側面もあります。

社会科学に関する論文を掲載している雑誌に興味深い記事が掲載されていました。
それは、デジタルデバイスが会話の質に影響を与えるという内容です。
ここで紹介されていた実験で、リアルでの会話でスマホが目に入っている場合、その会話がつまらないと感じたり、共感しづらくなることがわかりました。

【実験内容】
100人のペアを無作為に振り分け、様々な話題をテーマに会話してもらった。
研究者はその会話を観察し、デジタルデバイスを触った回数などを記録。結果、デジタルデバイスがない状態で会話をしたペアは対話する相手に対して共感や関心を抱く傾向がつよいことが判明。
社会科学に関する論文を掲載している「セージ・ジャーナル」より

家族や恋との大切な時間に、スマホがあるとその場がつまらなくなかもしれない。
それって、なんだか悲しくないですか?

たとえば、自分が実家から遠く離れた場所に住んでいる場合
年に2回帰省するとして、親が亡くなる前にあと何回会えるでしょうか…

そう考えると、もう少し親との時間を大事にしようと思うはずです。
その時間をスマホを片手に消費していいですか?

たとえば、お互い仕事が忙しく大好きな彼女と2週間に1回しか会えない場合
その貴重なふたりの時間を、スマホが原因でつまらないものにしてもいいですか?

その場の彼女の表情、温もりや雰囲気を味わいませんか?
その場にいるあなたにしか経験できない、決して複製の出来ないリアルを。



ここまで、スマホが与える3つの影響をお伝えしてきました。

  • 睡眠への悪影響

  • 集中への悪影響

  • コミュニケーションへの悪影響

「スマホとの関係性、少し見直してみるのもありかな…」
そう思ってもらえていると嬉しいです。

次の章からは、スマホとより良い関係を築いていく方法を紹介します。
長くなりますが、もう少しついて来てください。

※このnoteは、まだこの先5,600文字あります。一度に読むのは大変だと思うので、「スキ」を押して保存しておくことをおすすめします。
ここまで読んでくれてありがとうございます。


第2章:共存への第一歩

この第2章も読み進めようとしてくださって、嬉しいです。

おそらく、半数以上の人がここまで読み進めることなくそっとこのnoteを閉じたことでしょう。

ここまで約1万文字を読んでくださったあなたの時間を無駄にしないように「最後まで読んで正解だった…!」と思ってもらえる記事に仕上げます。


さて、第1章を読んだあなたは、「スマホとの関係性を見直したいけど、何をやればいいの!?」と思っているのではないでしょうか?

スマホと良好な関係を築き、共存していくためにできることはたくさんあります。

  • 通知設定を見直す

  • 毎月のギガ数を減らす

  • スマホの機能をアナログに置き換える

  • 使う時間を制限する

  • 使う場所を制限する

  • スマホ(アプリやwebサービス)に対するマインドセットを整える

  • アイテムを活用する

  • 不要なLINE公式アカウントやメルマガを解除する

  • 画面の明るさ設定をする

  • SNSアプリを削除する

  • ゲームを消す

  • ホーム画面を整える

  • リアルの楽しさを知る

  • 行動のハードルを高くする

  • 各種SNSの設定を見直す

  • スクリーンタイムを制限する

取り組めることはまだまだあります。

このnoteでは誰でもすぐに取り組みやすい、具体的なアクションプランを3つに絞ってお伝えしますね。
これを実践することが共存への第一歩になります。

(その他の項目はPodcastやUdemyでお話ししています)

今回お伝えする項目はこちらの3つです。

  • スマホの通知設定を見直す

  • 画面の明るさを設定する

  • SNSアプリを削除する

すべて5分〜10分でできるので、このnoteを読み終わったあとに是非取り組んでみてください。


2-1 スマホの通知設定を見直す

まずは、「スマホの通知設定を見直す」から紹介します。
あなたに質問です。

いままでアプリの通知の設定を見直したことはありますか?

おそらくアプリをダウンロードしたときのままで、必要か不要かを考えてしっかり見直したことはありませんよね?

ぜひこの機会に見直してみましょう。

これをやると、スマホに意識が向く回数を激減させることができます。すると、目の前のことに集中できます。

仕事や勉強はもちろんですが、家族や友達との会話にも集中できます。
想像してみてください、久々に会った友達とカフェでお茶をしているときのことを。
自分もしくは相手のスマホが数分おきに鳴っていては(振動していては)どうしても気が散りますよね。

スマホの「設定」にある「通知」から各種アプリの通知を設定することができます。
不要だと思うアプリの通知はオフにしましょう。

通知をオフにすればするほど、あなたの集中スイッチをオンにできます。

見直しのポイントは即座に反応しなければいけないアプリ以外はすべて通知をオフにすることです。


2-2 画面の明るさを設定する

続いて「画面の明るさを設定する」についてです。

ここからはブルーライトによる睡眠障害や目の疲れを軽減させる設定方法をお伝えします。

ここで設定するのは2点です。
・画面を白黒にする
・ホワイトポイントを下げる

画面を白黒にするのは簡単にイメージできると思います。
ですが、ホワイトポイントという言葉は聞き慣れないと思うので補足しますね。

スマホの液晶自体は光を出しません。
そのため、液晶の後ろには光るシートが付いていて、このおかげで液晶が明るく見えます。

光るシートは「バックライト」と呼ばれていて、このバックライトの明るさを変更する機能が一般的によく使われる「明るさ」の調節なわけです。

ただ、バックライトを暗くすると明るい色が暗くなると同時に暗い色はさらに暗くなってしまいます。
なので、動画の暗闇のシーンなどが見にくくなってしまいます。

しかし、「ホワイトポイントを下げる」方法を使えば、画像処理によって明るい色の明度を下げられます。
つまり、バックライトの調節は行わずに液晶側で明るい色を暗くすることでまぶしさを抑えることができるのです。

この方法なら、暗い色がさらに暗くなることを防ぎつつ
まぶしい色を暗くすることができます。
以下の動画で設定方法を解説してみました。

(動画の冒頭でもホワイトポイントについて説明しています👇)

以下にiphoneとAndroid、それぞれの画面を白黒にする設定方法を掲載しておきます。

iphoneの設定方法
Androidの設定方法

2-3 SNSアプリを削除する


次は「SNSアプリを削除する」を紹介します。

  • ゲームアプリ

  • 交通系アプリ

  • 決済アプリ

スマホには様々なアプリが入っています。
なかでもあなたが一番使っているのはSNSアプリですよね?

電車に乗ったとき。
便座に座ったとき。
ちょっと手持ち無沙汰になったとき。

あなたの親指は自然とSNSアプリをタップしているでしょう。

数年前からネットやテレビで「SNS疲れ」という言葉を耳にするようになりました。

SNS疲れとは…

SNSやメッセンジャーアプリなどでのコミュニケーションによる気疲れ。長時間の利用に伴う精神的・身体的疲労のほか、自身の発言に対する反応を過剰に気にしたり、知人の発言に返答することに義務感を感じたり、企業などのSNSで見られる不特定多数の利用者からの否定的な発言や暴言に気を病んだりすることを指す。
コトバンクより

僕も自分のツイートに対するリプに早く反応してあげないと…という義務感やInstagramでの成金投稿やリア充投稿を見て焦りや劣等感を感じたりしていました。

いままでSNS疲れという言葉は知らなくても、上記に当てはまるような経験をした人は多いはずです。

最近では小学生や中学生がSNSを通して犯罪に巻き込まれるという話も聞きますよね…
怖い。

っと、ここまでSNSを批判ばかりしているような感じになりましたね。
もちろんSNSを全否定するつもりはありません。

マーケティングツールとしてとても優秀ですし、SNSが自分のコミュニティの幅を広げるのも事実。

SNSとうまく付き合うことが大事です。


さぁ〜
いまからあなたが「うっ…」と思うことを言います。




いいですね?





スマホからSNSアプリを削除してください
勇気を出して




  • Twitter

  • Instagram

  • Facebook

  • YouTube

  • TikTok

削除です。

スマホ上からアプリが消えるだけなので、アカウントが消えることはありません。安心してください。
アプリがなくてもスマホやパソコンのブラウザから開けば見れます。
どうしても使いたくなったら、またSNSアプリをインストールすればいいだけの話です。


Twitter、そんな数分おきに確認する必要ありますか?
Instagram、友達のストーリーズを逐一見ておく必要ありますか?

ありません。

不必要な頻度でSNSを開き、長時間だらだらと時間を浪費する。これはSNSとうまく付き合っていると言えますか?

言えません。


あなたは自己啓発本やライフハック記事などで、「継続したいなら取り組むハードルを下げよう!」という内容を一度は目にしたことがあるでしょう。

「ダイエットで運動を始めるなら、いきなりジムに入会するのではなくまずは家の周りを散歩しよう!」
とか
「英語学習をスタートさせるなら、1日10分からでいいからやってみよう!」
みたいなやつです。


継続したいことややりたいことがある場合、それに取り組むハードルを下げることはとても効果的です。

あたりまえですが、継続したくないことや、やりたくないことがある場合、逆に取り組むハードルを上げると効きます。

おそらくあなたはスマホをポケットから取り出してSNSアプリを開くまで10秒かからずできるでしょう。

SNSアプリをそんなに即座にカンタンに開ける状態であれば、数分おきにSNSを見てしまうのも当然です。

アプリを削除することで、SNSを見るまでのハードルを高くします。
SNSを開くのを"めんどくさく"してしまうわけです。

するとSNSを使う頻度が必然的に減ります。

最初はソワソワしたりするかもしれません。
それでも1週間試してみてください。

そのSNSに使っていた時間を別のことに当ててみましょう。

  • 健康のために運動やストレッチをする

  • 自己研鑽のために勉強や読書をする

  • 良質な睡眠のために、ゆっくり入浴したり瞑想する

トイレでSNSが見れずに手持ち無沙汰になるなら、トイレに本を置いておきましょう。
電車でSNSが見れずに手持ち無沙汰になるなら、昔好きだった曲を聞いてみましょう。

この「SNSアプリを削除する」は「スマホの通知を見直す」や「画面の明るさを設定する」より大変だと思います。
勇気もいるでしょう。

でも、騙されたと思ってやってみてください。
1週間後、どうしてもアプリが必要だと思うならまたインストールしてOKです。

第1章の話を思い出してください。

テクノロジー企業はあなたの時間を狙っています。


次の章では、スマホとの共存についてをより具体的にお話していきます。
このnoteも残り1/3です。
ついて来てください。


第3章:スマホと共に歩む未来

今後もテクノロジーの発達は止まらないでしょう。

  • AI

  • 5G

  • Web3

  • 仮想通貨

  • メタバース

近年、このようなワードが話題になっていますよね。

数十年後の未来、僕たちはどんな暮らしをしているのでしょうか?
スマホが登場して僕たちの暮らしが激変したように、僕たちの暮らしを変えるような製品が登場していることでしょう。

それは楽しみでもあり、不安でもあります。
不安である理由は、今以上に健康被害が予想されるからに他なりません。

僕たちの脳は、新しいテクノロジーに適応できません。
1万年前から変わっていないのに、これから先の数十年で適応していくとは考えれない…

脳が勝手にテクノロジーに適応してくれればいいのですが、そうはいきません。
なので今後は、能動的にテクノロジーと共存できるような考え方と行動が求められます。

3-1 スマホとの共存とはどんな状態なのか?

ここまで"共存"というワードを使ってきました。
スマホとの共存とは具体的にどのような状態なのか?
それをお伝えします。

まずは、以下の図をご覧ください。

スマホとの関係性マトリクス(糸山考案)

縦軸は自分の健康状態。
横軸はスマホから豊かさや便利さを享受できているか。
を表しています。

この図を使うとスマホを使っている人を4パターンに分類できます。
それぞれ紹介します。


まずは、左下のパターンです👇

左下は、健康でもなく、豊かさや便利さも享受できていません。

例を上げるなら、スマホでゲーム中毒になっている子供のような状態です。
スマホには便利な機能が備わっている。勉強で活用して学力を上げることもできるはず…にも関わらずゲームだけの目的で使っている。

他のことは目に入らず、合理的な判断ができなくなっている。
なので、盲目と表現しています。


次に、左上のパターンです👇

左上は、健康ではありますが、豊かさや便利さをしっかり享受できていません。

例を上げるなら、スマホを使い慣れていないご高齢の方とかですかね。
(僕のばあちゃんはまさにこれです)

スマホをほとんど触らないので、健康被害を受けることはありません。
しかし、本来スマホが持っているポテンシャルを活かしきれておらずもったいない状態です。

なので、宝の持ち腐れと表現しています。


次は、右下のパターンです👇

右下は豊かさや便利さは享受しているが、健康ではありません。

例えるなら、スマホを使いこなしているけど、目の疲れやストレスなどを感じている若者です。
リモートワークが普及したことで、スクリーンを見る時間が増えた方も多いでしょう。
デバイスが原因でなにかしらの不調を感じている人が多い現代、ほとんどがこの右下のパターンに当てはまりそうです。

自分の健康状態を守れていない、スマホに使われているという意味で奴隷と表現しています。


最後に右上のパターンです👇

右上は豊かさや便利さを享受しつつ、健康な状態です。

例えるなら、健康に害のない程度に使用時間や頻度をコントロール出来ている人です。

このパターンの人はスマホと共存できていると言えるでしょう。
このnoteを読んでいるあなたには、この右上を目指してもらいたいです。


  • 盲目状態

  • 宝の持ち腐れ状態

  • 奴隷状態

  • 共存状態

いまのあなたはどこに当てはまりますか?

スマホと共に幸せな未来を目指すなら、"共存状態"になる必要があります。
毎日一緒に時間を過ごすスマホだからこそ、いい関係性を保っておきたいものです。



おわりに

1.5万字にも及ぶこのnoteを最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

少しでも多くの方にスマホとの付き合い方を考え直してもらい、うまく共存していくためのキッカケを提供したい。
そう思って執筆をはじめました。

構想から完成まで3ヶ月ほど…
想定以上に時間がかかりました。

このnoteを書いてよかったかどうかは、このnoteについた「スキ」の数次第ですかね(笑)

それはさておき、
このnote冒頭で「『スマホとの共存』の一歩目を踏み出してもらおう。」とお伝えしました。

ここまで読んだあなたは、いまスマホとの共存の一歩のために片足をあげている状態です。
ぜひ第2章でお伝えしたアクションプランを実践して、その上げた片足を踏み出してください。

踏み出した未来は、きっと、いまより明るい。

「スマホとの関係性を見直すキッカケになった」という方は スキ♡ を押していただけますと飛び跳ねて喜びます…!
最後まで読んでくださり本当にありがとうございます。


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デジタルウェルビーイングアドバイザー糸山のプロフィールや実績

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