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第57回宣伝会議賞一次審査結果を振り返って

先頃、第57回宣伝会議賞の一次審査通過者が発表された。個人の結果としては前回とだいたい同じで、20本に届かないくらい。そして、今回はどうやら贈賞式に行けないようだ。無念。コンスタントに選ばれ続けることの難しさを改めて痛感している。というか、むしろ長い間この状況が当たり前だったのに、最近になってなまじ贈賞式に行けたりしたものだから、感覚が麻痺しているというか、調子に乗っているというか。内心、いい波乗ってんねー!(死語?)と思っていた自分が馬鹿だった。身の程を知れ、さもなくば死ね。

今回は課題数が大きく減ったにも関わらず、応募総数が60万本を超えたという。この結果はかなり予想外だったが、この数字を聞いて特に絶望したり自信をなくすようなことはなかった。60万だろうと30万だろうと狭き門であることに変わりはないし、いつだって自信などない。数字に左右されることなく、何かの間違いが起これ!とただ祈ることしかできない。

贈賞式に行けない以上、個人的には自分の二次審査、三次審査の結果には心底興味がない。もちろん、協賛企業賞やファイナリストにどんな作品が選ばれたかは楽しみにするとして、意識はすでに次の第58回に向かっている。例年なら確かにそうなるはずなのだが、これが困ったことに、現時点ではどうにも次へのモチベーションが上がらない。というのも、これまで一緒に取り組んできた身近な人たちが、どんどん応募するのをやめてきているからだ。

自分が賞に応募する目的としては、少しでも名前を売りたい、祝福されたい、賞歴がほしい、賞金がほしい、などいろいろあったが、「あの人たちに負けたくない」というのも実は大きかった。ついサボりそうになった時も、「今頃みんな書いているはず」と無理矢理奮い立たせたりして、ライバルの存在に突き動かされながらどうにか取り組んできた反動なのか、自分が一目置いてきた強敵(とも)がいなくなった途端、何とも言えない虚無感に襲われるようになった。

考えてみると、コピーライターという肩書の名刺を持ち、給料をもらうようになってかれこれ15年。賞の主旨が「若手コピーライターの登竜門」であるならば、とっくに卒業(という名の不参加表明)していてもおかしくはない。自分もここらが引き際、潮時なのだろうか、いやしかし…というのが、2020年2月時点の立ち位置である。いや、9月になったらこんな葛藤などなかったみたいにせっせと書いているかもしれないし、このまま第57回をもちまして卒業、今までありがとうございました、という運びになる可能性もなくはない。さて、どうしたものか。自問自答はしばらく続きそうだ。

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