学生チーム対抗企画

以前、宣伝会議賞の贈賞式に運よく呼ばれて虎ノ門ヒルズに行った際、贈賞式後のパーティーで特に話す相手もおらず、所在なくぷらぷら会場内をうろついていると、「あれ、あんな受賞者いたかな?」という若者をちらほら見かけた。それがどうやらこの「学生チーム対抗企画」に参加した学生たちであるらしかった。

この企画は、賞の応募期間中に大学生のチームを募集し、一次審査の通過本数が多かった上位の2チームを贈賞式とパーティーに招待する、というものらしい。その関係者の誰も悪くはないし、ほとんど逆恨みに近いんだけど、個人的には正直この企画が好きじゃない。いや正確に言うと、それまでは特になんとも思ってなかったけど、自分が贈賞式に行って初めて「これでいいのか?」と感じるようになった。

自他共に認めるほど器が小さく、性格に難ありとして定評のある自分は、パーティー会場で彼らを見かけるたびに徐々にイラつきが大きくなっていった。その時の心の声を、あえてオブラートに包まず書き表すと、

(受賞もしてないのに、よく平気な顔でタダ飯食いに来れるな。そんなに贈賞式に来たかったら、協賛企業賞を獲るかファイナリストになってから堂々と来ればいいのに。若いのになぜ楽な道を選ぶの?どうして自分一人のコピーの力だけで勝負しないの?自信ないの?だったらこの世界向いてないからやめちまえよ!!!!!)

といったところだ。言葉が汚くて申し訳ない。ね、器小さいでしょ。自分でも引くぐらい大人げないと思う。でもね、自分にとってあの贈賞式とパーティーは、ものすごい時間と労力をかけて、ようやくたどり着けた場所なんですよ。そりゃ、彼らだって努力したからそこにいるんだと思う。それでもチームである以上、個人としては一次審査にほんの数本通っただけ、最悪通過0本の学生だって、チームとして上位に入ればパーティーに来られるということだ。あなた、それでいいの?プライドとかないの?コピーが好きなんじゃないの?個人の実力で一次審査に何本も通っていても贈賞式にもパーティーにも来られない人が日本中に何人もいるというのに。

書きながらだんだん心拍数が上がってきた。また老害のボヤキをやっちまったよ。まあ、ここで何を言ったところで企画はこれからも続いていくだろうし、それなりに意義もあるのだろう。事務局としては数を競わせることで応募数を稼げるし、参加する学生のほうにも何らかのメリットがあるのだと思う。想像だけど、広告業界に入り込むための伝手やコネがほしいのかな。知らんけど。

せっかく制度があるのだから、外野が何を言おうと、好きなように利用したらいい。受賞していなくてもいい、数の力に頼ってでも、どうしても贈賞式とパーティーに行きたいというのなら。自分でそれをよしとするのなら。ただ個人的には、自分ひとりの力で受賞して真正面から贈賞式に呼ばれる大学生のほうが、ずっとずっとカッコいいし、心から尊敬できるけど。

それはそうと、コロナウイルスの影響で今回の贈賞式が中止になったりしないといいな。あの晴れ舞台が無事に開催されることを心から願う。

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