ひまつぶし

そりゃぁ、死にたいって思ったことは何度もあるよ。
でも、オレに生きていて欲しいという人がひとりでもいたら、寂しくはないだろう?

死んだら三途の川っていうのを渡るらしい。
そこにはきっと船があるんだろう。
もし人に運命というものがあるんなら、
きっと自分が乗る船は決まっているんだろう。
その船には、一緒に乗る人や動物やものが、たくさん積まれるんだろうね。

でももし自分で命を絶ってしまったらどうなる?
船はまだ来ていなくて、ずっとひとりで待っていなきゃならない。
自分のわがままで、自分の人生を終わらせた人間のために、船を迎えに寄越してくれるほど、あっちの人も暇じゃないだろう。

そしたら寂しいよね。
ずっと船が来るまでひとりだよ。
川の前だというけれど、
こっちの世界のように、
音があるとは限らないし、光が射すこともないかもしれない。
そんなところにひとり、
寂しいと思わないか。

生きていれば、
どんなに孤独になろうとしても、
外へ出れば、誰かとすれ違うこともあるだろう。
いくら部屋に引き篭もっていても、
どこからか音が聞こえ、光は窓の隙間から射しこんでくる。

生きていることが嫌になったら、
暇つぶしをしていると思えばいい。
そしたら嫌な出来事も、
辛いことも、
きっと孤独よりマシだと思えるから。

難しく考えることはないんだよ。
いずれ迎えの船が来るまでの、
生きてることは暇つぶし。
ひとりで寂しく、船を待つよりよっぽどいいよ。
だって向こうにはなにもないんだから。

会いたいと思える人がいて、
会いたいと思ってくれる人がいて、
そんな人がひとりでもいれば、
孤独なはずはないんだから。

サポートも歓迎しております。神宮球場での観戦費用として使わせていただきます。