見出し画像

会いたいな、好きだから。/NATSUMI「大正浪漫 YOASOBI『大正浪漫』原作小説」

「大正浪漫」は、小説を音楽にするユニットYOASOBIの楽曲‘’大正浪漫‘’の原作小説です。本書は、小説投稿サイトmonogatary.comでのYOASOBIコンテストvol.2で大賞を受賞した作品を大幅に改稿したものになります。


2023年の東京を生きる時翔のもとに不思議な手紙が届いたことから、この物語は始まります。
その手紙を書いたのは、100年前の東京に生きる千代子という少女でした。
時空を越えた文通を続ける中で、徐々に惹かれていくふたり。
しかし、その繋がりを、無情にも大災害が絶ってしまいます。
決して出会うことのできない時翔と千代子の、切なくも甘酸っぱい恋愛を描いた、感動の作品です。

この本はこんな人におすすめ

①大正時代が好き
②音楽が好き
③切なくも感動の恋愛ストーリーが好き

それでは、この作品の魅力を紹介していきたいと思います、ぴょん!

*ふたつの時代を翔ける手紙

本作の魅力は、大正時代と令和、それぞれの時代を生きる少年と少女の間で交わされる文通です。
互いの顔を見ることも、直接会って話すこともできないふたりを繋ぐのは、時空を越えて届けられる手紙。その繋がりは、現在のネット上での人間関係にも通じる部分があります。時翔と千代子の手紙の文面を読んでいると、時代の違いによる価値観の違いや立場の違いが鮮明に表れており、ふたつの時代を対照的に見ることができます。
そして、時翔が生きる2023年は、関東大震災からちょうど100年の年です。惹かれ合っているのに会うことのできないふたりの関係、その運命に、胸が締め付けられます。

*「小説を音楽にする」ということ

この作品は、YOASOBIによって楽曲化されています。歌詞には、主人公の名前である「ときと」、そしてヒロインの千代子を連想させる「八千代」という言葉が使われています。
どこか異国情緒ただよう、レトロモダンな雰囲気の曲、大正時代と現代を行き来する、鮮やかで美しいMVも印象的です。
小説を読み終えた後、ぜひ、楽曲を聴き返して、MVを見返してみてください。「僕が僕の時代に見るその全てを いつか伝えに行くよ」という歌詞に、きっと心が揺さぶられるはずです。

三人の視点から、時空を越えた文通と恋愛を描いた「大正浪漫」。ぜひ、楽曲と併せてお楽しみください、ぴょん!


(2022年2月13日にはてなブログで公開した記事を、一部加筆修正しました。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?