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みつ巴

対立している2つの勢力は、対立するがゆえにどっちもどっちの関係になっていく。

そこは勝ち負け闘争の世界。
あちらがたてばこちらは立たず、こちらがたてばあちらが立たない。
だから終わらない。

ここにひとつ別の考え方がある。

対立する2つの勢力とは、捻じれの位置にあるもう一つの「干渉波」の主体。
これは党派、勢力ではない。
ふつうに地に足の付いた生活を大切にする人びとの、知恵ある在り方が鍵を握る。

一人一人が対立構造に中心を置かず、
日々自性を見つめて生きていく。
われも、かれも、それも、三方偏らず、勝敗有耶無耶になりますように、と念じ、怨嗟を離れ、無事則道、和光同塵を願って生きるなら、それは知らないうちに締まっていた対立構造を緩め、3つ目の巴となって構造自体を回転させる妙力を発揮する。
これが兵法の至る平法の、理当と言うやつ(のひとつ)だ。

くっきり華やかな勝ち負けは、スポーツやムービーで語られるが良い。
実際の戦には、勝者は居らず、敗者しかいない。

あまり言われないことだが、撤退戦や逃亡経路の確保、これが真田忍者の重要な任務の一つだった。

貴人(玉)を安全な異郷に落とせしめ、世が対立の様相を呈したなら、三つ巴に導いて仮初めの一元に傾こうとする世に干渉をなす。

その為に路傍の草むらに混じり、捨て石となった名もなき人びとがいた。


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