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まるはら

 最近よく聞く「まるはら」。←この「。」で文章を終えると若者に威圧感を与えてしまうのがハラスメントにあたるということなんですが、果たしてそれを言っている若者がどの程度存在するのか。若者=まるが怖いという決めつけのほうが鬱陶しいハラスメントになってしまうこともあるのではないか。

「了解しました」
「了解しました。」
「了解しました!」
「了解しました!!!」
「了解しました?」
「了解」
「うむ」
「りょ」
「り」
「❤️」

 その案件について確認済みですよ、承知しましたよ、ということを伝えるのにパッと思いついただけでも上記のパターンがあります。このうち四つ目の「了解しました?」はおそらくほとんど無い例でしょう。昔バナナマンの設楽さんが「(相方の)日村は?の使い方をわかってない」と言っていました。日村さんのような人でなければ「了解しました?」は使わないでしょう。

 私が使いがちなのは「了解しました!」です。「了解しました」「了解しました。」は読み様によっては「あなたのおっしゃることに納得はしていませんけど、どうせ私が何を言ったところで覆ることはないんでしょうから、了解しました」というような、不服が含まれているように受け取れるからです。というか、私は他人からこれらを受け取ると、不満があるのだな、と感じるので、相手もそういう人なのかもしれないから、気分を害さないよう「!」を付けています。
 しかし、「!」も捉え方によってはサンシャイン池崎的なうざさがあります。状態が良好であれば受け流せるもの、気分が下がり気味のときに無邪気な「!」を見ると余計に滅入ってしまうということもあるのかもしれません。「!ハラ」ですね。「!」を多用する人は、私も割とそうなんですが、使いすぎてバグってしまう傾向があり、例えば最初に「お疲れ様です!」ではじめてしまったものだから、終盤にかけて「!」ばかりでは芸が無い、あるいは「!」が足りないという気がしてきて、最終的には「よろしくお願いいたします!!!!!」ということになってしまいがちになります。敬語を使いすぎるとだんだん敬意が減っていくという敬意逓減の法則だったかな、そんなのがありますが、これは「!逓減の法則」といえます。「了解しました!!!」を使うのはそのタイプです。ここまで力を入れやがるとおまえは宮本浩次か、と言いたくなります。実際の浩次はたぶん「!」は使いたがらないと思いますが。全部勝手なイメージで書いております。

 「了解」は腹立たしいですね。おまえにいちいち「。」だの「しました」だの付けてられるかこの下等生物が、という傲慢な態度が透けてみえます。多忙な自分をこの二文字でアピールしています。これまた勝手なイメージですが、電車の座席で脚を広げてワイヤレスイヤホンしながらスマホをいじくり回していそうです。風呂のなかでもワイヤレスイヤホンしてそうですね。ひっぺがして「この地球の声に耳を傾けなさい!」と説教してやりたくなります。したところでワイヤレスイヤホンに阻まれて私の声は届きませんが。
 これに比べると「うむ」にはどこか可愛げがありますね。ちょっとおどけているといいますか。こういう態度が横柄でよくないことを知ったうえでわざとやっていますから好感もてます。

 「りょ」「り」「❤️」あたりは私の考察の範囲を越えておりますが、親しい間柄同士であれば、ありよりのありなのではないかと思います。上司と部下でこのあたりを使い合っていて、特に部下が上司に対して使っている場合は不適切な関係を疑ってみる必要があるかもしれません。そうではなく、ごく自然に上司に対してこれらを使いこなす若者がいるとすれば、そういう人材こそ、大切にすべきなのではないかと思います。いまの社会は、そういう人材から順番に切り捨てていますね。仕方ないか。

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