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蟲惑暇(こわくいとま)。書くのが好きです。趣味はオープンしたお店の1人目の客になること…

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蟲惑暇(こわくいとま)。書くのが好きです。趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。 ネットショップ「暇書房」にて書籍『1人目の客』販売しております。 https://kowaquicki.base.shop/

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令和6年読書の記録 雨穴『変な絵』

見れば見るほど、何かがおかしい? 不穏なブログ、 消えた男児、惨殺死体、補導少女・・・ 「奇妙な絵」に秘められた 衝撃の真実とは!? ↑本そでの紹介文引用  ホラーな作風を得意とするウェブライターでユーチューバーとしても活動されている雨穴さんの小説です。これは『変な絵』ですが、『変な家』っていう作品もあり、こちらは映画化されているんですよね。どうやら原作とずいぶんテイストが変わってるみたいですが原作も読んでないし映画も観てないのでなんともいえません。  私は普段、まった

    • 1人目の客になれなかった話

       趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。今日は以前からチェックしていたお店が二軒、オープンする。うまくいけば久々に「1人目はしご」できる。一軒は17時オープンの居酒屋で、もう一軒は19時オープンのラーメン屋である。小一時間呑んで気持ちよくなってからシメのラーメンを食べたうえ、どちらともの1人目の客になる、という最高の計画を数日前から立てていた。  40分前に到着すれば十中八九1人目になれるということを私はこれまでの経験で知っている。17時にオープンする居酒屋は家

      • 1人目の客になれた話 烏丸六角編

         趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。職場の近くに居酒屋がオープンすることを知ったのが数日前。ロケーションは抜群だがオープンは17時。普段の木曜日、私は16時30分くらいまで収録をしているから、いくら職場の近くのお店とはいえ、どれだけ急いでもオープン20分前にしか店頭に到着することはできない。時を巻き戻すことはできないのだ。ましてや令和の現代、時はもはや「巻き戻す」ものではない。「巻き」って何なの?何を「巻く」の?  業界的には「巻き」というのは「進行を急ぎで

        • 私の許せなさ誰かの許せなさ

           いまから私はいくつかの行動について否定的意見を書きますが、それをする人を否定はしません。私はその行動に否定的であるため、その行動はしませんというだけの話です。  その前に本当に嫌いなのはイヤホンをしている人に話しかけたとき、ものすごく面倒くさそうにイヤホンを取り、「はい?」と言われること。これは本当に嫌いです。こんなにわかりやすく人を下に見てるのがわかる行為って他にあります?「俺様が機嫌よく音楽を聴いてるのにそれを止めさせてまで俺様に声を掛けてくるとはどういうつもりかね」

        令和6年読書の記録 雨穴『変な絵』

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        • 太陽日記〜コロナ禍の記憶〜
          748本
        • 読書の記録 読書の記録
          232本
        • 1人目の客ルポ
          87本
        • 短編小説
          155本
        • 趣味は新聞コラムを読むこと
          234本
        • 英語日記と短歌
          142本

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          令和6年読書の記録 綾辻行人『十角館の殺人』

           十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!87年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。 ↑文庫版裏表紙より引用  私、「金田一少年の事件簿」はほとんど全部読んでおるのですが、ミステリ小説といえば、ここ最近の東京旅のお供になっている東野圭吾作品とアガサ・クリスティーを何作品か

          令和6年読書の記録 綾辻行人『十角館の殺人』

          悪行は悪い

           SNSには他人の行いを糾弾する強めの言葉が並んでいる。悪行は裁かれるべし、いかなる事情があれども悪行は許されてはならない、この私が天に代わり裁いてやる、と鼻息の荒い投稿が通り過ぎてゆく。  悪行は悪い。それは当たり前のことであるが、それをまるで我こそは全知全能であるとばかりに糾弾する側の人たちだって少しくらい悪いことをやっちゃったりはしていないのだろうか。  私はスマートフォンを見ながら歩いている人に腹が立つし、そのことをSNSに投稿することもあるが、ふと気付けば自分がスマ

          短編小説『水谷さん』

          「奥井も気づいてたよな」 「ああ、水谷さんでしょ」  先生が水原一平のことをずっと水谷さんと言っているのを俺とサトシは最後まで訂正できずにいた。 「俺、学生の頃に居酒屋でアルバイトしててさ」  先生の背中を眺めながら俺はサトシに話しかける。 「焼酎とか日本酒って読み方が難しいやつがあるじゃない。神様の神に河でなんて読むか知ってる?」 「かんのこでしょ」 「そう、かんのこ。なんだけど、当時けっこうな確率で"かみのかわ"って読む人がいて」  水谷さんと呼ぶ先生の話を聞きながら俺は

          短編小説『水谷さん』

          承認欲求のど阿呆!

           今日は京橋で句会がある。毎月第三土曜日の昼に開催される句会に参加するようになってからこの四月でちょうど一年。句会メンバーの先輩諸氏のあたたかさのおかげで続けることができている。中学生の頃の野球部の上下関係のようであったならすぐにやめていただろう。同じ理由でいまも野球をやめてしまった子はいるのかもしれない。新人が長く続けることができる環境がなければせっかくの才能も花開くことはできないのだ。私に俳句の才能があるかは別として。 続けたおかげで褒めてもらうことも増えたんやで。

          承認欲求のど阿呆!

          連作短編小説『ワンダフルトゥナイト』第6話

          「ツツジって漢字でどう書くか知ってる?」 「知ってるよ、躑躅でしょ?」 「いや、それならあたしだって簡単に書けるわ。躑躅。ほら」 「じゃあ、いいじゃないそれで」 「よくない。ちゃんと書かないとどんどん馬鹿になっちゃうよ」 「躑躅って書けなくても馬鹿にはならないよ」 「でも書けるに越したことはないでしょ」 「いいよ別に。躑躅って変換してくれるんだから」 「でもちゃんと書けておきたいって思わない?」 「俺は別にいいけど。だってカタカナでも平仮名でもいいじゃない。いまどき躑躅って漢

          連作短編小説『ワンダフルトゥナイト』第6話

          1人目の客になりたくて

           趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。この趣味について記録した書籍『1人目の客』を出版し、京都新聞に掲載していただいたことで、ありがたいことに取材というのか何というのか、どうしてそんなことを始めたんですか?ということを聞かれる機会が増えました。  ラジオ局で番組制作の仕事をしております。あれは十年ほど前のことでしょうか。京都の「ハマムラ」という有名な中華料理店が本日移転オープンする、という新聞記事を見かけました。金曜日のことです。  当時、私はお昼のワイド番組

          1人目の客になりたくて

          令和6年読書の記録 安部公房『砂の女』

           砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める部落の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のなかに人間存在の象徴的姿を追求した書下ろし長編。20数カ国に翻訳された名作。 ↑文庫版裏表紙の解説引用  とりあえず、安部公房はアー写(っていうんですかね?)の雰囲気に親近感があるんです。 最近

          令和6年読書の記録 安部公房『砂の女』

          多様性とエレベーターとはなまるうどん

           14時過ぎ、職場近くの「はなまるうどん」で遅めの昼食。天ぷら定期券を買っているからうどん一杯につき、天ぷら一個が無料になる。どの天ぷらでもいいし、おでんでもいいという、どこにも敵がいなさそうな最強の定期券である。期間中は何度でも使える。使えば使うほどお得さは増すので、はなまるうどんへ行く回数は増える。私は根っからの貧乏性であるため、定期券では必ず一番値段が高い大海老の天ぷらを買うことにしている。もしも竹輪の天ぷらが一番高いなら竹輪の天ぷらを買う。何が食べたいか、ではなく、何

          多様性とエレベーターとはなまるうどん

          令和6年読書の記録 土屋健『古生物出現!空想トラベルガイド』

           今は化石でしか見ることのできない古生物が、もしも現代の日本に蘇ったとしたら、どこでどのように暮らしているだろうか? ナウマンゾウやカムイサウルスが街を闊歩し、翼竜が空を飛ぶ、そんな「もしもの世界」を旅してみよう。架空の旅のガイドブックを通して、北の古生物展誤記・北海道から、おなじみ恐竜王国・福井、さらには関東、中部、近畿まで、化石の発見が相次ぐ古生物天国・ニッポンの魅力を味わい尽くす。想像力をかき立て、早速本書を携えて古生物と"触れ合う"旅に出たくなる一冊。 ↑カバーそで

          令和6年読書の記録 土屋健『古生物出現!空想トラベルガイド』

          興味がない

           少し前の朝日新聞の夕刊に千早茜さんのエッセイが掲載されていました。  ある千早さんの友人の方について書いてあり、千早さんが言うにはそのご友人は、意外な仕事を依頼されても、非常に巧みに自分の中に落とし込み、作品に変えていく方で、そこには必ず、そのご友人でしか見つけられなかったであろうと思わせる新しい着眼点があるのだそうです。しかも、そのお仕事についてご友人はかつて「興味がない」と言っていたにもかかわらず、なんですね。  千早さんが、どうして興味がないことに取り組めるのかと聞い

          虹色に光るボディ

           22時過ぎ、職場を出て帰路につく。この場合の「つく」はどの漢字だったか調べるのがめんどくさいから平仮名にする。着く、就く、付く、吐く、突く、点く、築く、憑く、衝く、撞く、つくづくつくは漢字が多い。平仮名にすることで漢字間違いが防止できる。これを私はつくつく防止と呼んでいる。  近所のスーパーでホワイトベルグを買うついでに鮮魚コーナーを覗いてみると、売れ残った刺身たちが半額になっている。もはや鮮魚ではなく魚特有の生臭さが店内を占有している。かつおのたたきを買って帰った。  

          見上げるスタイル

           90年代の渋谷だか新宿だかの朝の風景を映像で見た。当たり前だが誰もスマートフォンを持っていない。前を向いて歩いている。未来へ向かっている気がする。  翻って今の俺たちはどうかといえば、スマートフォンを見るために俯く時間が増えた。それは到底、未来を見据える姿勢ではない。すぐ目の前にやってくる人のことも、赤から青になった信号のことも見えていない。ほんの少し前のことさえ見えていないのに十年後二十年後の未来を見ることなどできないのではないか。そんなことを言っておきたがら、俺は積立N