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上へ向かって怒ろう

 世の中、面白いのはやっぱり怒ってる人だと思う。怒ってる人には熱がある。その熱から発せられる怒りほど面白いものはないが、怒りの方向は問題になる。
 上から下への怒りには面白みがない。むしろ、その怒りに対して俺が怒りたくなってしまう。面白い怒りというやつは、下から上へ突き上げられていないといけない。だから面白いことをしたければ、いつも下にいなければならない。だから俺はいつも下にいる。
 いつも下にいるから面白いことをしたくなるのかもしれない。いつか上にいってしまったら、そのときはもう面白いことを探さなくなるのかもしれない。それは悲しいけれど、上へ行ってなお怒ってしまうよりはましではないかと思う。
 世の中には下にいるのに下に対して怒る人もいる。その怒りほどつまらないものはない。怒りは下から上へ向かわなければいけない。
 せっかく面白くなるかもしれない怒りの種をもう大人なんだからなどというよくわからない理由で冷笑に替えてしまってはならない。それがいちばん面白くない。
 せっかく熱を帯びているのに冷ましてしまったらもったいない。熱々のラーメンが出てきたのにわざわざ写真を撮ってから食べてはいけない。撮ったあとに食べて思ったより美味しくないなどと感じてはいけない。それは君が熱々の状態で食べなかったからかもしれない。写真を撮ってしまった以上、君にそのラーメンの味について語る資格はない。
 熱は冷ましてはいけない。時が経てばどんな熱も必ず冷めてしまうものだ。冷笑に陥ってはいけない。熱を持ち続けなければいけない。怒りを忘れてはいけない。その熱が、その怒りこそが面白さなのだから。上を向いて歩こう涙がこぼれないように、上へ向かって怒ろう世の中が面白くなるように。

蠱惑暇
こわくいとま

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趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。趣味の記録『1人目の客』はネットショップ「暇書房」にて販売中。

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