見出し画像

「わからないことを聞く」って難しかった

転職エージェントって、「自分がやったこともない仕事内容、働いたこともない会社、の情報を求人票にまとめて、転職活動者に訴求して入社への筋道を立てる」ような仕事です。

たくさん求人は預かるわけで、例えば私は社内で少ない方でしたが150求人程度を同時期に扱っていたりしました。

それだけ多くの仕事内容や会社情報に触れるので、まったく馴染みのなかった専門職にも詳しくなります。
ただ、どこまで行っても、自分がやったことはないので、理解が深くない点は必ず出てきます。

仕事柄、絶対にわからないことは発生するにも関わらず、私はこのわからないことを聞くのがけっこう長らく苦手でした。

一つには、30歳というある程度のしっかりした信頼を得なくてはならない年齢から、未経験で転職エージェントを始めたから。
もっと若ければ、何を聞いても許されるだろうとグイグイいけたかもしれませんが、そのフレッシュさは持てませんでした。

また一つには、「聞かなくてもそれぐらいわかっておいてくれよ」と相手に思われてしまう事項と、聞いても許される事項と、区別がつかなかったからです。
結果的に、どれも聞いちゃまずいような気がしていました。

そして根っこには、相手に「わかってる人」だと思われたかったというのもありました。
私が専門性の高い業界を担当していたこともあって、企業も転職者も、わざわざ事細かな説明をしてくれない(というより、これくらい分かりますよね?という当然の認識)がありました。


でも、ある上司と一緒に企業に打ち合わせに行くと、どうも上司の方が質問をたくさんするので、とても驚いたのを覚えてます。

「だって、わからないと候補者紹介できないでしょ」
もうあまりに当たり前過ぎる指摘を受けて、とても印象深く覚えています。

相手にどう思われるとか、自分をどう見せたいか以前に、そもそも成果を出す(つまり候補者を企業に紹介する)ために最善のアクションを取らなきゃいけないことに気付かされました。

とはいえ何でも聞いていいわけでもなく、上司の口ぶりを観察していると、いくらかの技術があることもわかってきました。

「不勉強ですみません」とか枕詞をつけながら質問する。相手は意外と嫌な顔をしない。人事には教えたがりの人も一定数いる。

まるっきり全部質問するのではなく「こう考えていたのですが違いますか?」と想定や考えを添えて質問する。こちらの理解レベルが伝わるから相手も答えやすくなる。

よくわからなくても「それって、こういう〜」とかうまく言葉尻を濁して話せば、相手が言葉を続けてくれる。知ってるような顔をしなきゃいけない場面では、こんな切り抜け方もある。

また、いざ自分が管理職となり、上司としてアポ同行してみると、実は上司の立場のほうがライトに質問がしやすいことにも気づきました。

今では「御社にとっては当然すぎることかもしれませんが、私が聞くのだから、実はここって大事なポイントなんですよ」くらいの感覚で、そもそもの質問も含めて臆せず聞けるようになりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?