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『パリピ孔明』が最高ミュージカルだった件

毎週の楽しみとすっかりなってしまったアニメ鑑賞。2022年の春期はなんといっても『パリピ孔明』が面白かったです。

内容としては、夢破れた諸葛孔明が現代の渋谷に転生、そこで出会った売れない歌姫EIKOの軍師となり、大スターへと成長させていくというもの。天才軍師として知られる諸葛孔明が現代に転生してエンタメ業界の名プロデューサーになるという、非常に心惹かれるハイコンセプトな作品です。

音楽シーンがすごい!

このアニメ、何と言っても音楽シーンが非常に優れています。

そもそもこうした音楽業界を描いた作品は数多くありますが、日本のテレビドラマや映画だとどうしてもオリジナル楽曲まで手が回らずせっかくの歌唱シーンだけ無音になってしまったり、既存曲が使われたりすることが多いです。最近だと『ファイトソング』がまさにPerfumeの既存曲を使用していましたね。

しかし、この『パリピ孔明』という作品は数多くのオリジナル楽曲がこの作品のために制作されています。そして、そのすべてが非常に良い。というのも音楽制作をあのエイベックス・ピクチャーズが担当しているのです。

にしても、アニメ作品ではこうしたオリジナル楽曲が作劇のために作られることが非常に頻繁に行われていますよね。『涼宮ハルヒの憂鬱』の”God knows”や『けいおん!』もたくさんのオリジナル楽曲が惜しげもなく使用されていました。なぜこれが日本のテレビドラマではできないのかは疑問です。

そしてこのアニメのすごいのは、実際にドラマシーンを演じる声優さんとは別の方が歌っているのです。この歌を実際に歌うのは総再生回数3億(Wikipedia調べ)を超える超人気歌い手の96猫さん。歌唱力はもちろん素晴らしいのですが、特筆すべきはEIKOとしてのキャラクターを見事に守り切ったその表現力。声優さんと別の方が歌われているとは恥ずかしながら調べるまで気づかないほどでした。

そして歌唱シーンが多い。ほぼ毎話あったんじゃないでしょうか。そのクオリティと量からいっても、もうこの作品はミュージカル映画と言っていいクオリティです。

このシーンなんかは『バーレスク』でライバルの嫌がらせで音響トラブルにあった主人公が歌で無双するシーンを思い起こさせるパワフルさがありますし、

この、アコギで二人で路上ライブをするシーンなんかは、まるでジョン・カーニーの映画のようにみえます。是非歌唱シーンだけでも見てほしいです。

スタア誕生の系譜

さて、この『パリピ孔明』という作品は各所でも指摘されているようにミュージカル映画の世界でさんざっぱら描かれ続けてけていた『スタア誕生』のテーマをなぞっているように見えます。すなわち、夢破れた男が若い女の才能を見出して育て上げることで再起をはかるというもの。

思い返すだけでも似たような話は山ほどあります。『アニーよ銃をとれ』もそうですし、当然『スタア誕生』もそう。有名どころだと『マイフェアレディ』もそうですし、『情欲の悪魔』なんかもそんな感じの作品でしたね。

しかしこの手のお話はだいたい苦い終わり方をします。というのも、夢破れた男はやがて成功した女性に嫉妬するようになるからです。いつの間にかに俺より偉くなっちまってと自暴自棄になったりしてしまうのです。ジュディ・ガーランドの『スタア誕生』でも最後男は自殺する運命にありました。

しかしその点、『パリピ孔明』は問題ありません。孔明の夢は天下太平の世を実現することであって、決してショービジネスでチヤホヤされることではありませんでした。あくまでEIKOさんの歌をこの世界に広めることは、天下太平の世を実現させるための手段にすぎません。(孔明とEIKOが安っぽい恋愛関係になることもありえませんしね)

だから、いくらどれだけEIKOが大スターになったとしても孔明が嫉妬に狂うことはありません。プライドを傷つけられることもありません。みんなハッピーです。世界中がハッピーになれるんです。

まじでおすすめです

みんながハッピーになれる素敵な作品という意味でも、『パリピ孔明』は誰にでもおすすめできる最高の作品でした。

OPの『チキチキバンバン』もEDの『気分上々↑↑』も最高ですし、EIKOというキャラクターは非常に可愛らしく謙虚で努力家でそれはまるでハロプロの宮本佳林ちゃんや田中れいなのようで(これはとにかく褒めてます)本当に魅力的でした。

是非、みなさん見てください!!!続編待ってます!!!!!!

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