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ミラーレスカメラの魅力とは

ニコンとキヤノンから相次いでフルサイズのミラーレス機が発表され、一眼レフとの比較がおこなわれカメラ全体に注目が集まっています。

私はデジタルカメラが写真の可能性を大きく広げてくれると考えており、その必然的なカメラ形態として「ミラーレス」を推進してきました。

ミラーレスには、デジタルカメラが持つ本質的な魅力を実現するための要素が含まれています。今回はその本質について紹介します。

最近の「一眼レフが上で、最近ようやくミラーレスが追い付いてきた」という報道を見るたびに釈然としない気持ちになります。確かに販売数量や普通の写真を撮るうえではこれまで一眼レフが勝っていたことは事実ですが、トータルの撮影体験では既にミラーレスが上回っており、それを無視することができなくなり2018年のミラーレスラッシュになっていると考えています。

①ライブビュー表示

撮影設定の結果が「撮影前」に見られるのがライブビューです。一番大切なことなので最初に書きました。

撮影者が撮影結果を見ながら撮影することで、結果を確認しながら撮影をコントロールできるようになり、より大胆な表現に挑戦していくことができるようになります。

アートフィルターなどの個性の強いエフェクトを使いこなせるようになったのもライブビューのお陰なのです。

デジカメになったことで、直ぐに再生して確認することができるようになりましたが、写真作画にとってより重要な変化はこのライブビューによる撮影結果の事前表示でした。

②物体認識フォーカス

カメラが常に撮影情報を取得していることで、人物認識、瞳認識など、単なる物体との距離を測るという以上に、被写体そのものを認識し適切なフォーカス、露出、演出をカメラが判断しておこなったり、ユーザーをアシストすることができるようになりました。

今後カメラにもAI技術が組み込まれていくことになりますが、そのベースになるのが画像取得からリアルタイムに画像を処理してライブビューに表示する機能になります。

③プリキャプチャー

さかのぼり記録のことですが、こちらも撮影画像を取得し続けるということで実現している機能です。

ミラーレスのEVFにはイムラグがあるということを一眼レフの有利点に上げる発言がありますが、現在のライムラグは非常に短く、人間が目で認識してからシャッターを押すまでのタイムラグの方が圧倒的に長く、プリキャプチャーを使えば実質その部分を「ゼロ」にすることができるのです。

④小型・軽量

ミラーボックスやペンタ部を持たなくてよい分、小型で軽量のカメラを作ることができます。またマウントを新しく設計することでレンズ設計の自由度が上がり小型化することができます。

撮影を目的に行動する人の中には大きなカメラを持っていくことをいとわない人もいますが、もう一本レンズを持っていけたり、被写体を探す行動範囲が広がったり、撮影を楽しめる年齢が後5年延ばせるとすれば、撮れなかったはずの写真の撮影チャンスを広げることなります。

⑤明るいレンズが作れる

マウントを新設計することで、現実的な大きさ、重さ、価格の範囲で、より明るいF値のレンズを設計することができます。

憧れの「スペック」を持ったレンズを、ミラーレスで手に入れることができるようになるのです。

⑥マウントアダプター

これもレンズ設計の自由度の項目に含まれるかもしれませんが、これまでの一眼レフ用レンズが撮像面まで長めの空間を必要としていたことを利用したものです。

ミラーレスマウントとの隙間にマウントアダプターを入れることで、様々な時代、メーカーのレンズを付けられるようにしたものがマウントアダプターになります。

大きく分けると、次の3つがあります。
・所有レンズを新しいミラーレスで使えるようにするもの
・(ライカなどの)オールドレンズを使えるようにするもの
・他社レンズを使えるようにするもの

⑦ボディ内手振れ補正・ハイレゾ撮影

ミラーボックスが無くなったことで、その分のスペースと駆動電力を使って強力な手振れ補正をおこなうことができるようになりました。

これまでレンズの手振れ補正だけだったものが、レンズとボディの連動でより強力に補正できるようになり、ほとんどの撮影シーンで三脚を不要にしたこいとで、ボディやレンズの小型・軽量に加えて、撮影の荷物を軽くでき撮影の行動範囲を広げることができます。

撮像面を動かせることで実現しているのが、複数枚を撮影して、高解像と低ノイズを実現する事ができます。

⑧フォーカスエリアが広い

レンズと撮像面の間に何も無く、撮像面で光を受け取り、その情報を元にフォーカスを合わせるため、理屈上は撮影画像の全ての面でフォーカスを合わせることが可能です。

実際にはフォーカス専用の機能を撮像素子に埋め込んでいたりするので、ある程度の範囲がありますが、より自由度の高いフレーミングをおこなうことができます。

昔は画面の真ん中でフォーカスを合わせてからフレーミングをおこなっていましが、ミラーレスでは画面の中の好きなポイントをタッチするだけでそのポイントにフォーカスが合わせることができます。このような直感的なUIを実現できるのも広いフォーカスエリアのお陰なのです。

⓽無音撮影・無振動撮影

電子シャッターでは完全な無音・無振動撮影ができ、メカシャッターを使った場合でもミラー動作が無い分小さな音や振動で撮影することができます。

スマホでもシャッター音が鳴らないカメラアプリに人気がありますが、慣れてしまえば疑似シャッター音無しに、完全無音撮影でも撮影リズムをとることができるようになります。

将来は、被写体に対するインターフェイスとしてのみシャッター音が使われるようになるのかもしれません。

⑩多重露光などの特殊撮影

多重露光や長時間露光などはフィルム時代からできましたが、どのような結果になるのかは現像してみるまでは分からないというギャンブルに近いものいでしたが、再生画像とこれから撮影する画像を合成した状態で液晶モニターやEVFに表示できるため、だれでも気軽に楽しむことができるようになりました。


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いかがでしたか。 ここに書いてあることのいくつかは一眼レフでもできたり、カタログで「簡単撮影」や「クリエイティブ撮影」として紹介されているものもありますが、多くはライブビューモードでミラーレスと同じ状態で使っているときにだけ利用できるものです。

上記の魅力は、ミラーボックスが無いという物理的な特性、映像を撮り続ける動作的な特性によって生み出されるものになります。

特に映像を撮り続け、情報処理(画処理、物体認識)した結果をファインダーで確認するところに無限の可能性と魅力があることを感じてもらうことができたのではないでしょうか。

今後、各社でAIの活用を進めていくことになりますが、それによって撮影する楽しみをどのように広げてくれるのか楽しみです。

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