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王者SONY αに足りないもの?

ネットで配信されている販売実績ランキングではSONYの強さが長期間に渡って続いています。一早くフルサイズミラーレスを発売し、バージョンアップを繰り返しながら、旧機種を価格レンジを広げるために利用するなど、他社のラインナップ戦略とは少し違う展開をしていることも強さに繋がっています。

他にもレンズメーカーのSIGMAが自社カメラ用とSONYのEマウント用を同時発売するなど、長期間の販売実績が他社のビジネスのプラットフォームになるレベルになっています。

これまでの展開は正に「王者」と言ってよいレベルです。ただCANON、NIKONの追い上げが始まっていますので、次の展開に向けて戦略が必要です。

製品ラインナップとしては、コンサバティブな一眼レフスタイルのモデルだけでなく、趣味性の高いレンジファインダースタイルのフルサイズ機を出すなど他社に比べて余裕を感じます。またVlogモデルを発売するなどトレンド作りをリードしている感じがします。

そんなSONY αに弱点は有るのか無いのか、今後のビジネス展開を占うために他社とSONYを比較しながら考えてみたいと思います。


フラッグシップ

SONYのフラッグシップにあたるのがα1やα9で、CANON、NIKONのフラッグシップと明らかな違いが縦位置グリップの一体モデルが無いことです。これは一眼レフに対して小型であることをアピールする必要があったからです。高性能なエレクトロニクス技術を小さなボディに押し込むモノ作りはSONYの得意とするところで、小さくて無音のミラーレスは大きくて動作音のある一眼レフに対して、市場をひっくり返すだけのインパクトを持っていました。

一方CANON、NIKONは急激に一眼レフからミラーレスにマウントを更新していかなければならないため、一眼レフの置き換えになる同じスタイルのカメラが必要でした。そうしなければ従来通り一眼レフが上でミラーレスが下という概念を変えることができないからです。

そんなこんなの結果、現在SONYのフラッグシップ機がちょっと存在感不足な感じになってしまっています。

一眼レフとの戦いからミラーレス同士の戦いに移行したSONYが、今後縦位置グリップモデルを出してくる可能性はあると思います。例えば動画撮影の熱対策として大型ボディを必要とするかもしれません。現在でもモンスター級のα1やα9に縦位置グリップが付いたらどんな存在になるのか楽しみです。


メインストリーム

SONY αのメインストリーム機と言えばα7シリーズです。現在α7 IVがスタンダートも最新型になっています。また5年前のα7 IIIがまだラインナップに入っており、これからミラーレスのラインナップを作っていかなければいけないCANON、NIKONはそれに対抗するための安い新製品を出さざるおえない状況になっています。

新しいシリーズは背面液晶の動きがバリアングル式になっており、旧製品のチルト式から動画撮影を意識した最近のトレンドに合わせて変更になっています。見た目はあまり変わっていない様ですがモデルチェンジの度に確実に使い勝手を上げてきているところが長期に渡る人気の理由です。

旧モデルとは言え上位モデルの設計では、他社の低コスト設計のモデルと価格競争になった場合に不利な場面がでてくる可能性があります。そうなってくるとSONYとしても最初から低コスト設計したモデルを出してくる可能性がありますが、王者のブランド戦略としてはやらない方が良いと思います。


APS-C

SONYのAPS-Cはファインダーがレンズセンターに無いレンジファインダースタイルのモデルしかありません。より明確にフルサイズ機と撮影スタイルを切り分ける意図が感じられます。

一方CANON、NIKONはフルサイズと同じスタイルで弟分を作っており、APS-Cであってもフルサイズと同じ気分で撮影することができます。そのためAPS-Cのユーザーがフルサイズにステップアップすることができます。

SONYはAPS-C機とフルサイズ機の距離感が大きくステップアップのイメージがしにくいですが、APS-Cはより小型に特化しカバンへの収納性を提供しています。

こちらもフルサイズの低コスト設計モデルと同様に、SONYはAPS-Cの一眼レフスタイルのモデルは出してこないのが正解だと思います。


Vlogカメラ

高価なカメラやレンズを購入してでも良い映像を手に入れたい人は、それなりのアウトプット先を持っています。Vlogは本来奇麗な映像である必要はありませんが、人気のメディアではライバルがいるため良いカメラが欲しくなるみたいです。

Vlogカメラというジャンルは、従来のカメラ技術を使いUIを動画撮影に対応させて作られており、UXデザインによるカメラの再定義によって価値創出した良い事例となっています。

間違いなくSONYはそのジャンルを創ったメーカーの一つで、今後重要なジャンルになってくるはずです。


バリエーションモデル

フルサイズで一眼レフスタイル以外のモデルを持っているのはSONYだけです。フルサイズミラーレスで先行された各社はこのモデルが出たことで一歩先に進まれた危機を感じたはずです。

NIKONもAPS-CではZ fcという魅力的なバリエーションモデルを出しておりフルサイズ化してDfの後継機が望まれています。それが出てくることでようやくSONYに追いつくことができそうです。

その時にSONYがどんなバリエーションモデルを出してくるのかとても楽しみです。こういうモデルはカメラ文化を楽しむためには重要です。


カメラユーティリティアプリ

カメラとスマホを接続し、画像の転送やカメラコントロールをするアプリは各社ほぼ横並びで雰囲気もとてもよく似ています。ユーティリティアプリはカメラのUIを拡張し、インターネットと接続する今後の最重要アイテムです。

デジカメは画作り設定を含めて、ソフトウェアで様々な調整をおこなうことができますが、これまで従来のカメラ操作の延長でそれほど複雑な設定は提供されていませんでした。

一方でRAW現像ではより細かい設定をする人も出てきたことから、撮影時の設定でも同様の細かさを楽しむ可能性はあります。当然カメラだけでそれだけの操作や表示をすることは無理がありますのでアプリを拡張UIとして利用していくことになります。

この詳細設定の楽しみ方は、個人が全てを設定するというよりもコミュニティの中で設定データが流通し、それを個人が少しづつ変更してMyセッティングにしていく楽しみ方になると考えられます。そういう意味でもインターネットに繋がる仕組みが既にあることは重要なポイントです。


フォトサービス

各社のカメラビジネスの考え方が最も表れるのが、ユーザーに開放されるフォトサービスです。ユーザーにどんな体験(UX)をして欲しいのかが明確に分かります。

SONYは「サークル活動」、CANONは「フォトレシピコレクション」、NIKONは「フォトギャラリー構築」が楽しみ方のコンセプトになっています。写真を撮る、良いカメラやレンズを買う動機となる部分ですので、撮影機材の提供だけでなくこのようなユーザーとの連携が今後ますます重要になってきます。

それぞれのコミュニティの魅力によってカメラブランドを選ぶ時代が来て欲しいと思います。私が考えるカメラブランド運営は下の項目ほど文化的、UX的要素が強くそこがしっかりと出来てくることで、安心して高価なカメラやレンズを揃えていくことができるようになります。


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私の考えるSONY αブランドの話はいかがでしたでしょうか。また機会があればCANONやNIKONについても詳細に考えてみたいと思いますのでお楽しみに。では!

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