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100は個性のマジックナンバー

去年の末に発売されたチェキが売れているというニュースが入ってきました。エフェクトが100パターン楽しめるハイエンド機です。通常の記録写真ではなく写真表現を楽しむ体験価値がユーザーに響いたのだと思います。

10年前にはPentaxから100種類のカラバリを謳った一眼レフが登場しています。

万年筆のインクであったり、色鉛筆であったり、100色という数字は良く使われます。多様化の時代に「自分好み」を選ぶのには赤青黄色だけでは不十分という訳です。


自分らしさとマイチョイス「私の〇〇」

現在は職人に直接注文して生活用品を作ってもらっていた時代ではなく、発達した自由経済のもとで作られる工業製品を購入する社会になっています。一方では自由主義のもとで個性の時代と言われ自分らしさを大切にする風潮がとても強くなっている時代でもあります。

ランドセルの色が男女で実質的に決まっていた時代から今は自由に好きなものを選べるようになり、その延長現象として他の人と「被る」ことを嫌うようになっています。

写真のエフェクトにしても、製品の色にしても自分らしさを基準にして選択することで「私が撮った写真」「私の相棒」と思えるようになるのです。


ミックスと中間

例にあげた100パターンにも特徴があります。10パターン程度であれば一般的な名前があるもので構成できますが100パターンではそうはいきません。多くの製品で組み合わせが使われたり、中間的なものを作り出しています。基本となるものは少数でも中間は無限にあるためパターンを多くすると自然にそうなります。

またユーザーの気分としても、現在の個性は赤青黄色のようなハッキリしたものを選ぶよりも、何かを混ぜ合わせたり、その中間を選択することで「ニュアンス」を大事にしているように思います。

コーディネートを楽しみ、ハーモニーを見つけ出す。自身で作り出す体験だけでなく、出来上がったものの中から見つけ出す体験からも豊かさを感じることができます。


体験設計としての「100」

通常の機能だけを考えればユーザーが100パターンから選択するような必要はほとんど無く、必要があったとしてもオート機能で自動選択(調整)するようになるはずです。

ユーザーが手間を掛けて沢山の中から選択する体験価値とは何なのか、それぞれの製品の文脈の中で「100パターンあったらどうだろう」と考えてみるのも楽しいと思います。



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