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設計とデザイン、エンジニアとデザイナー 最近感じていること

設計を英語で表現するとdesignとなります。

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メーカーの開発がグローバル化する中で、これまで設計と呼んでいた行為を「design」と呼称する例が出てきています。

そうなるとややこしくなるのが、これまでデザイナーがおこなっていた「デザイン」との関係です。

海外ではもともと、designをおこなう人にengineerとdesignerがいるという状況が自然に成り立っていたので、designという大きな活動の中でいくつかの役割があるという認識に慣れています。

さらにデザイン思考が浸透してきて、エンジニアがユーザビリティやビジネスといった人や社会との関わりについても視野を広げてきたことで、これまでのデザイナーと思考領域が重なってきています。


多様性や思考領域が広がるなら歓迎

別の表現を使うことで別の概念として独立していることのメリットは明確な存在でいられることですが、同じ用語で呼ぶことになるとその違いが分からなくなり融合していきます。

これは良いことでもあるのですが、部門間の勢力(発言力)が大きく違っていたりすると、弱い方の役割が強い方に吸収されて消えてしまう懸念があります。

融合し、部門間の壁を無くし、コミュニケーションを増大させることができれば、多様性や思考領域が広がりる良い方向へと進むきっかけになりますが、各企業でこの辺りは大きく差がでてくるかもしれません。


デザインコントロールとユーザビリティエンジニアリング

多くの製品が各国の法規制によって様々な要求に合致することが求められており、認証や許可を得るためにデザインプロセスとその結果をドキュメントに残しデザインコントロール(設計管理)によって報告することになります。特に人の生命や健康に関わる製品分野ではより厳密な対応が必要です。

最近では単に機器が機能するだけでなく、ヒューマンエラーをおこしにくい設計が求められます。ユーザビリティエンジニアリングやヒューマンファクターと呼ばれるもので、従来のユーザビリティの向上活動とは少し視点が違いリスクマネジメントやヒューマンエラーの防止対策に重点が置かれています。

このようにデザインコントロールとユーザビリティエンジニアリングが重視されるようになることで、デザイナーの活動に影響を与えより重要な役割を果たすようになるか、逆にエンジニアに主要な活動を移管されてしまうかは注目していきたいと思います。


コンカレントエンジニアリングとインクルーシブデザイン

多様な背景を持つメンバーで要望や知恵を出し合い、開発の中間、後半で問題が出ないようにしたり、発売後に当事者の実際の役に立つようにすることが最近の開発のトレンドになってきています。

デザイン思考のプロセスではユーザーの観察や共感の中でユーザーとの関わりを持ってきました。これが更に発展しユーザー自身が開発プロセスに参加し共創するインクルーシブデザインへと繋がってきました。

一方開発の上流段階からこれまで後工程を担当する社内の部門や社外のパートナーと全体構想を作り上げ協創するコンカレントエンジニアリングが重視されてきています。オープンイノベーションとも深く関わることから早急なプロセス構築が求められています。

この2つの活動は本来同時に実現すべきもので、これまでのプロセスを大きく変えることになるため、デザイナーとエンジニアが共に協力して進めていかなければなりません。


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