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誰かと作るカメラ <コラボレーションが面白い>

社内で新しいカメラについて議論をしても、決まった関係者だけの会話では価値感が近くなってしまうため、自社を基準にした他社否定ばかりになってしまったり、話題も限定されたものばかりになってしまう可能性があります。

それを防ぐために色々な写真家の方と交流を持ち視野を広げようとするのですが、どうしてもそのメーカーの特性に合った方にお付き合いが偏ってしまうため、社内と同じように話題が限定されてしまうことも少なくありません。

そこで注目されるのが「異業界とのコラボレーション(コラボ)」です。カメラ業界、写真業界とは異なる人たちと関係を築き、新しい視点やより深い被写体との関係を見つけていくことが必要なのだと思います。

最近気になったコラボをいくつか紹介してみます。


野球とカメラ

まず最近のニュースの中では、キヤノンとジャイアンツのコラボが色々な意味で印象的でした。

スポーツチームとのコラボ商品は、敵チームのファンからは見向きもされないという問題がありますが、チームとファンとの結びつきが強く安定しているため台数の見積もりを間違わなければ上手くはずです。


それにしてもラグビー・ワールドカップで盛り上がる2019年、そしてオリンピックの2020年にかけて、野球をピックアップしてくるあたりは、担当者の個人的な情熱なのか、マーケティングによる計算なのかは分かりませんが、今後の他社の追随も含めて注目していきたいと思います。

またコラボカメラの注目点として、500台限定で製造と販売が動ける仕組みと、その台数では販売利益は僅かしかありませんので、それ以上の「何か」を得ようとしている点です。自動車は速い段階で少量多品種の製造ラインを作ってきましたが、カメラもこれからはそんな時代になっていくのかもしれません。ただ今回の場合はスペシャルアクセサリーのパッケージだけなので10×10個の箱を平置き作業して5回繰り返せば終わる数なので、生産ラインとは無関係だと思いますが、何かのヒントを示していると考えています。


コスプレとカメラ

コミケが巨大な存在になり、芸能人やアナウンサーまでコスプレをして注目を集めるようになってきました。そこに本気で注目しているのがニコンです。特定のカメラのキャンペーンではなく、さまざまなレベルでコスプレと一緒に楽しむための撮影テクニックや機材を紹介する形で長期的な取り組みをおこなっています。

当然コスプレには「カメコ(カメラ小僧)」はセットですので、カメラメーカーが注目することに不思議はありませんが、その取り組みが半端なくしっかりしていて驚いています。ぜひ下のリンクをぜひクリックして確認してみてください。


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ニコンが単に被写体の一つとしてコスプレを選んだり撮影テクニックを紹介するのではなく、コミュニティとの関係をしっかりと作ろうとしていることを感じさせるのが、コスプレ専門誌による監修を受けているところです。

コスプレを楽しむ。より美しく可愛くカッコよくシーンを再現して作品を作り上げる。という共通の目標の中に写真撮影やカメラを位置付けようとしている感じがしてとても好感が持てます。


コスプレと直接関係しないかもしれませんが、田舎の風景の中で女子がSNS映えする写真を撮るという企画にニコンが協力しており、最初は「映えといえば都会のオシャレスポットじゃなくて?」と感じましたが、この企画は映画の主人公になったつもりで撮影を楽しむ壮大なコスプレなのだと考え直しました。

こちらのイベントは10/27まで申し込み受付していますので、学ラン男子とセーラー服の昭和コスプレを目指している人はチェックしてみてください。

<11/23追記>
イベントが開催され記事が出ていましたのでリンクを貼っておきます。まさに「体験」イベントになっていて、カメラ操作が中心でないところがコラボイベントとして素晴らしいと感じました。


コラボ好きメーカーと言えば

カメラメーカーの中で一番のコラボが好きはペンタックスだと思います。

ニコンのコスプレの様にイベントやコミュニティとの展開という訳ではありませんが、しっかりとカメラをその世界に染め切っているのが印象的です。

下記の画像はGoogle検索をした結果です。しっかり自分の記憶に残っているものばかりなので凄いと思います。

コレジャナイロボやエヴァンゲリオン、リラックマ、ナノブロックなど、時代を捉えたラインナップになっているのが面白いです。

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ペンタックスが庶民のための「面白コラボ」を作っている一方で、本当にブランドの価値をミックスさせたスペシャルモデルとして「憧れコラボ」を作っているのがライカです。

ライカとのコラボは、コラボ先の企業にとってもブランドを高める機会になり特別なものです。ファンションブランドはもちろんのこと、自動車メーカーからゆるキャラまで実に多彩で、多様なものへのリスペクトを感じ、そのことがさらにライカというブランドを高めているのではないでしょうか。

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コラボする意味

カメラの開発は、デジタルカメラになってからその間隔がどんどん短くなってきましたが、スマホの登場以来カメラが高い性能や付加価値をへとシフトしてきたためモノ作りとしてのカメラの開発期間は少しづつ伸びてきています。

そんな中で定期的に話題性を作っていくためには、製品のモノ作りだけでなく「コト作り」をしていく必要があり、その一つとしてコラボがあります。

さらにこれから色々な分野の人たちと一緒にコラボしていくことでブランドを作っていくことが重要になります。技術分野におけるオープンイノベーションの推進だけでなく、ブランドにおけるコラボレーションを上手く実現していかなければ生き延びることはできなくなるでしょう。

すでにカメラメーカー単独でブランドを作れる時代は終わりました。これからカメラメーカー各社がどんなコラボを展開していくのか楽しみにしていきたいと思います。



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