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自動運転と自動撮影 ~AIによる3つの方向性~

自動化の登場と進化

自動化の定義を、「人間がおこなっていたものを機械がおこなう」または「人間が判断していたものを機械が判断する」としておきます。つまり自動化には身体的ものと知能的なものがあるということです。

①力(動作・反復)のアシスト
②操作のアシスト
③知能(思考・判断)のアシスト

①と②が身体的、②と③が知能的と分けることができます。

自動化技術の進化は①から③に向けて進んでいます。
その始まりは、産業革命よりも前、グーテンベルクの印刷革命が文字を書く(書き写す)作業を繰り返し可能にしたことと言うこともできますし、
水車によって穀物を加工することまで遡ることもできます。

機械や技術の面で語ることが多い自動化ですが、ユーザーの視点からも考えてみたいと思います。
洗濯機の登場によって、洗濯が自動になったことよりも、それによって人間の時間の使い方に変化を与えた影響に注目してみます。

オートマとAEの登場

多くの人類が体験した自動化の代表として、クルマの「オートマチックトランスミッション(オートマ)」とカメラの「オートエクスポージャー(AE、自動露出)」があります。

この2つに共通なものは、洗濯機や炊飯器のように自動化になって「良かった」という単純な受け止め方では無かった点です。

初期のオートマやAEは、それまで人間が磨いてきた技術に十分に追い付いていなかったこともあり「やっぱりマニュアルじゃなきゃ」という意見がありました。

その後、自動化技術が進歩し「人間がやるより速くて高精度」となりましたが、それでも「やっぱりマニュアルの方が面白い」という感情面・体験価値での意見がでるようになりました。

現在では「楽しいオートマ」、「楽しいAE」 というものをメーカーが工夫してユーザーに提供しようとしている状況です。


自動運転と自動撮影

ナイト2000などキャラクターUIによって自律的にクルマが動くことはドラマの中ではかなり以前から実現しています。

写真撮影もAIBOやパーティーショットが自動撮影してくれます。

2020年には自動運転車が実証実験フェーズから、社会に利用される段階に進むと言われています。

ドローンは色々な規制によって自由に飛ばせない状況ですが、安全技術と社会的な整合がとれれば、中学校の部活でも気軽に活動記録を撮ることができるようになるはずです。

3つの方向性

機械としての完全な自動化
ユーザーはそれを利用するだけで、その内部で何がおこなわれているかを気にすることがなくなります。

将来的には本当の機械による自動化が実現すると思いますが、当面は自動化機械がネットワークに接続されており、ユーザーに分からないようにメンテナンスやサポートがネットワーク側にいる人間によって実施されている形態になります。AIはそのサポート業務をサポートすることになります。

ここで重要なのは、実現技術ではなく、ユーザーが意識する必要がなくなるという視点です。

キャラクターUIで「ほぼ」自動化
あくまでも物事の実行は機械がおこなうが、機械とユーザーの間にキャラクターを置くことによって、ユーザーがある適度の関わり(リクエストやコントロール)をおこなう形態です。

機械や利用に関わるシステムをキャラクターUIによって一元化し、それとの対話によって、ユーザーのリクエストを実現することができます。

ユーザーが主体で半自動化
ユーザーは従来通りの操作を維持し、その上で安全性や娯楽性を向上させるように自動化技術が使われる形態です。

自動運転でもGoogleは完全自動を目指し、国内メーカーはこの半自動を目指しているように感じます。

まとめ

自動化の進化の方向が、単純に「完全自動(無意識運用)」になるのではなく、ユーザーの主体性や存在価値、自己実現のようにいろいろな精神状況によっていくつかの方向になることは、これまでのクルマとカメラの自動化に対する人間の反応から間違い無いように思えます。

今後AIやロボティクス(ドローンなどを含む)が、実際の社会の中で使われるようになり、また違った第三の反応がでてくるのかもしれません。

これまでも一部の人たちは、人間の社員に音声で命令をすると、自動的に働いてくれるシステムを使ってきました。
命令や情報が不十分だったのに、結果が思い通りでない場合、その社員に怒りを表す人もいました。

これからキャラクター型のAIや、ユーザー操作をアシストするAIが実現していったときに、私たちは適切な関係をつくり最高のアウトプットを出すことができるのか、それとも感情的に依存しすぎたり、逆にまったく依存できない状態になってしまうかもしれません。

そんなときにUIデザイナーがどのようなデザインをおこなうのかとても楽しみです。

そして今、若手のデザイナーたちがそのことを意識して仕事をしていてくれることを願います。

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