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100万円の世界線 デジカメが進む道

昨年末からCP+に向けて各社の新製品発表が続いています。

経済ニュースではカメラ事業の厳しい状況が伝えられていることと、計画上のオリンピックイヤーの次の年ということもあり、今年は盛り上がらないのではないかと心配していましたが、ところがどっこい元気過ぎてついていけない人が続出という話を書きたいと思います。


ソニーがオリンピックモデルを出してきた!

26日の深夜に突如発表されたのが「α1」です。簡単に言えば様々なスペックを高めることで、あらゆるシーンの撮影を可能にし、また表現領域においても幅を大きく広げることができるカメラということになります。

当初の予定では2020年に行われることになっていたオリンピックに向けてニコン、キヤノンが一眼レフの最終モデルを出してくることは当然予想できていたため、その先の2022年冬季オリンピックに向けて2021年シーズンからプロカメラマンに提供できるように準備してきたと考えられます。

室内の芸術性を問うフィギュアスケートなどは、連写をしても音が静かなミラーレスに適した被写体であり以前からαシリーズが活躍してきたフィールドです。常時撮像素子を使い続けるミラーレスにとって気温の低い冬季オリンピックから実績をあげていくことは理にかなったものかもしれません。

結果的に今年オリンピックが開催されればそこで使われる可能性もでてきたわけです。

またこのカメラは決してオリンピック(スポーツ)向けカメラというだけでなく、スタジオ撮影を始めとしてファッションフォトやウェディングなどプロの道具として撮影機能だけでなく、画像伝送を始めとしたワークフロー全体において高い対応性を持っており、特に重要なキーデバイスとして「Xperia PRO」が同時に発表された意味は大きいと思います。

オリンピック会場を始め今後主要な場所から整備されていくことになる5Gのミリ波通信に対応したスマートフォンと組み合わせることで、リアルタイム通信だけでなく、映像を確認する大きなモニタ、ユーザーインターフェイスの拡張などが実現し、一つのシステムとして長期に渡ってアップデートが続けられていけば、簡単に陳腐化してしまうデジタル製品の中で別の価値基準を持つことができるかもしれません。

丁度α1とXPERIA PROを合わせると100万円となり、次世代のカメラ体験ができるようになります。

富士フイルムの1億画素カメラ第二弾!

27日には富士フイルムから2年前に100万円カメラとしても話題になったGFX100の事実上の後継機として「GFX100S」の発表がありました。

こちらは各部の見直しによって価格を下げ、100万円から卒業してもう少しユーザーを増やしていく狙いとなっています。

それでも一旦100万円オーバーで出した製品をリファインして値段を下げていくことで、本物感を維持したまま徐々に手の届く製品になるというのは今のカメラ業界においては必要な展開だと感じました。

ソニーの100万円カメラでも、当然将来的には下のクラスにスペックが下りてくることになりますので、一足先に富士フイルムがそれを展開したことでどのようにカメラユーザーが反応していくのか楽しみなところです。


マイクロフォーサーズも100万円

オリンパスからOMデジタルソリューションズへと会社が変わるタイミングで100万円のレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO」の販売を開始しました。非常に売れていて生産が追い付いていない状況の様です。

これまでマイクロフォーサーズと言えば、レンズが小型化できるということで同じ換算画角とF値であれば他社のAPS-Cやフルサイズのレンズに比べて「安い」というのが普通でした。小型で多くの交換レンズをカメラバックに入れられるというだけでなく、価格面でもレンズシステムを構築しやすかった訳です。

そんな中で品質とスペックにこだわって登場したのが150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROです。子供の運動会で使うには明らかにオーバースペックですが、フィールドを駆け巡る野鳥撮影や山岳撮影、短時間に移動を繰り返すモータースポーツなど、このレンズでなければならない世界があり、仕事の必要性で買う人と何かの覚悟を決めて買う人がいるのです。

またこのレンズを買う人は、これまでマイクロフォーサーズを使っていて更に上を目指す人だけでなく、他社の大きくて重たいレンズを売ってその資金を使う人がいるということが重要です。当然それに合わせてボディや他のレンズもシステムとしてマウントスイッチがおこなわれるからです。

100万円という大台に乗せることで販売数は限定され、希少価値によって中古市場での値崩れはないと予想できます。マウントスイッチは大きな判断が必要ですが資産価値が下がらないのであれば、また他のマウントにいくことも容易になるためより他社のシステムを使っている人にとってチャレンジしやすいと考えることもできます。


CP+で情報を得て、ショールームで体験

いずれの100万円製品もCP+が例年のようにパシフィコ横浜で開催されていれば並んででも実体験してみたいものですが、残念ながら今年もオンライン開催となってしまいました。

これまでのCP+の魅力(魔力?)はどんなに自分と関係のない(買えない)カメラやレンズでも実際に触ってみることができたことです。

フィルムの時代には空シャッターを切るしかできませんでしたが、デジタルになったことで撮影したデータを持ち帰ることもできるようになりました。この体験を同じようにするためにはCP+の後で各社のショールームに行って確かめることになります。

一部のカメラ店では手に持って確認することができると思いますが100万円がポケットに入っていないとちょっと気が引けます。その点ショールームではCP+のように遠慮は不要です。オンラインのCP+で気になったものがあればどんどんリクエストしてみましょう。

メーカーによって対応が違ってくると思いますが、現在メーカーでは配信用のプロモーション動画やセミナー動画の準備とともに、その先の体験につなげるためショールームでの準備も併せて進めているはずです。

メーカーのホームページではショールームの案内も掲載されていますので、休館日やハンズオン予約など情報をしっかり収集してから訪問するのがお勧めです。

■ソニーショールーム情報

■富士フイルムショールーム情報

■OMデジタルソリューションズショールーム情報


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