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Lumix G9 Proのファームウェア2.0で「自動認識とユーザー介入」を試す

この記事は機器が自動で動作するようになり、それに対して人間がどのように介入していくかを体験してみたものです。

11月19日に、パナソニックのマイクロフォーサーズ機に対して新しいファームウェアが公開されました。今回は新機能としてフルサイズ機に搭載されていた「被写体認識(動物)」が含まれています。

ここから分かることは、Sシリーズ(フルサイズ)とGシリーズ(マイクロフォーサーズ)の開発プラットフォームは共通の部分があり、これからはソニーやニコン、キヤノンそしてシグマなどの最高機種と戦うSシリーズで開発した技術をマイクロフォーサーズ機に展開できる唯一のメーカーになるということです。

ミラーレスでは、APS-Cをエントリークラスや中級機として扱っているメーカーもあり、超望遠などの小型化に有利な小さいフォーマットの機種で上級機の機能を持つことが難しくなっていますが、パナソニックではマイクロフォーサーズにも上級機が存在するため今回の様な展開ができました。

フォーマットによる差を付けない方針を今後も貫くのであれば、将来はSシリーズのプラットフォームをそのまま使ってマウントだけマイクロフォーサーズにした機種が期待できるかもしれません。そういった意味で今回のファームアップの意味は非常に大きいと言えるのです。

新しい刺激を与えてくれる新機能

2年前の発売日に手に入れ、たぶんその時点でもっともデジカメらしいカメラとしてUIを味わいながら使ってきましたが、さすがに最近は使い方が固定してきてしまいUIに対する気付き(驚き)も無くなってきていました。

そんなタイミングで、私がもっとも多く撮影している鳥を自動で認識してくれるというのですから、盛り上がらない訳にはいきません。

配信日の19日にインストールし週末にさっそく使ってみました。

今回はLumix G9にOLYMPUS 40-150mmF2.8PROと1.4倍テレコン(MC-14)を付けて、望遠側で35mm換算で420mmF4.0として撮影しています。

飛んでる鳥を撮ってみる

近所の多摩川で、いつもカモが遊んでいる水路に行って試し撮りをしてみました。

撮影は「AF-C+動物認識」「AFカスタム設定1」に設定しておこないました。

最初は水に浮かんだカモを撮影、手前の草を超えて鳥にフォーカスを合わせてくれています。

飛び立った鳥をフォーカスが合っていな状態から追いかけはじめ、途中できちんとフォーカスを合わせてくれますが、何かの瞬間に後ろの土手にフォーカスが移ってしまうなど不安定な動作になっていましたので、フォーカスをもう少し粘る設定にした方が良いと思いました。

背景が無く大型の鳥であれば一度捕まえればフォーカスを合わせ続けてくれました。低速連写でフォーカスを合わせ続けながらフレームに入れて追いかけるだけなので楽に撮影できました。

木陰に隠れる鳥を見つける

この時期はまだ葉が落ち切っていないため、なかなか鳥を見つけることが難しいのですが、人間が見つけられない鳥を発見する程の認識はできませんでしたが、葉っぱなどが邪魔をしても奥にいる鳥を認識してくれていましたので、通常のAFで撮影するよりもストレスを感じずに済むかもしれません。

中央少し上に鳥(ヒヨドリ)がいます。

少し不思議な設定方法(UIが成熟していない)

まず比較のためにオリンパスのE-M1Xを説明します。人体認識とは全く別の場所に被写体認識の切り替えメニューがあり、飛行機、鉄道、レース(自動車・オートバイ)、OFFから一つをユーザーが明示的に選択することになっています。誤認識を別にすれば選択したもの以外は認識しないようになります。

さらに人体認識とも排他設定になっています。これらは全く別の場所で設定する上に、奥にある被写体認識の設定が優先されるようになっており、UI的には混乱があります。

それに対してパナソニックのG9Pro(Sシリーズも同様)では、従来の人体・顔認識と同じ「自動認識モード」の中に動物認識を追加した形の実装になっています。

人とペットを同時に認識した撮影や動物園での撮影など、いろいろな被写体を認識して撮影する場合にはパナソニックタイプの実装が便利そうですが、一方で特定の被写体だけを認識させたい場合などは、被写体選択をおこなわなくてはならなくなるため面倒です。

一応、動物認識をOFFにすることで人体だけの認識にできますが、その逆はできません。

将来的には認識できるものが増えてくれば、パナソニックタイプUIで、認識したいリストにチェックマークを付けていくようになれば使い勝手が良さそうです。(複数同時も単独も自由に設定できる)

カメラ任せとユーザー介入

今回のファームアップでUIとして最も重要な点は、被写体認識の対象拡大ではなく、カメラ任せを推進する一方で、ユーザーがその動作に介入できアシストすることができる機能が提供されたことです。

カメラが迷った時に、ユーザーが少し指示を出すことで正しい結果に導くことができます。
ファームウェア2.0にはフォーカスを遠い側優先にするか、近い側優先にするかを撮影者が指定する機能が追加されました。一見被写体認識と無関係に見えますが、カメラの動作に対してユーザーの意図を「被写体の前後関係」として大雑把に伝える手段として実用性が高そうに思います。(XY座標を指示するよりも操作が単純)

私は十字キーの上下にそれぞれ遠い側と近い側を割り当てて積極的にカメラと対話するボタン配置で使おうと思っています。

まとめ

飛んでる鳥にピントを合わせられたり、隠れている鳥を見つけ出したりできれば、初心者には十分にメリットがありますが、最近の被写体認識では「瞳」検出が流行りになっており、そこまでピントを合わせてくれれば上級者でも積極的に使いたいものとなります。

今回カメラ任せに撮影しましたが、目に枠が出る訳では無いので安心感はありませんが、瞳に対してピントを合わせようとするアルゴリズムは動いているみたいです。(もう少し使って見ないと本当のことは分からないです)

是非次回のアップデートでは、瞳検出枠の表示を検討してもらうか、被写体認識枠内だけのマルチフォーカスなどをお願いしたいと思います。

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