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Onlineで日本語を教える|#12 オンラインレッスンで外国語スキルはどのくらい必要なのか

  こんにちは!オンラインで日本語を教えているこゆきと申します。
今日初めて見つけてくださった方、いつも見てくださる方、本当にありがとうございます。

 今日は私の普段のオンラインレッスンでどのくらい外国語のスキルが必要なのかについて、書いてみたいと思います。これまで約3年ほどオンラインレッスンを行う中で、自身の語学力に向き合うことが多くありました。学習者さんの語学力・言語運用力に舌を巻き、自分の外国語力を嘆く毎日です。
 私自身のレッスンの様子をご紹介しつつ、実際に外国語がわかる・できる事が本当に必要なのか、またどの程度必要なのか、自分なりに考えてみたいと思います。

1: プロフィールで見る先生方の外国語スキル


 多くの場合、オンライン日本語レッスンを行うためには、プラットフォームにプロフィールを登録し、学習者さんを募集します。このプロフィールには、教師・講師の使える言語を表示するのが一般的です。

 私が見る限り、日本語だけしか使いません、という先生は少数派であるように思います。レベルに関わらず、英語はほとんどの先生が使える言語として登録されています。さらに、英語以外の第三・第四の言語をかなり高い水準で運用できる先生も多くいらっしゃいます。ネイティブレベルで使える言語が複数ある、いわゆるバイリンガル、トリリンガルなどの先生もいます。
 これを見る限りでは、オンラインで日本語を教える先生方は、その多くが自身も外国語学習者であり、言葉を学ぶことに興味がある人が多いのかな、という印象を受けます。実際に、自分が外国語が得意だから外国の方に日本語を教えているのだ、という方もいらっしゃるでしょう。
 また、あらゆるプラットフォームでプロフィールに使用言語の表記があるということは、やはり外国語の先生を選ぶ時に必要な要素であるからなのでしょう。ゼロから始めるときは共通言語を使える先生を探したいと思うのが一般的なのだろうと思います。

私の場合


 私の場合は、ちょっと欲張りですが、英語・中国語・スペイン語を使用言語に登録しました。サイト上で自分をアピールしたいという目的で、ほんの少しできるだけでも書いたほうがいいという考え方もあるようですが、私は外国語を勉強するのが好き、というただただマニアックな人間なので短期間勉強しただけの言語ならたくさんありますが、さすがにできると言えるレベルではありませんので、プロフィールには書いていません。

 英語については会社員時代にずっと仕事で使用していたので、遠慮せずに使えるとアピールすることにしました。実際はまだまだ鍛錬が足りないので、今もオンラインレッスンを受けて勉強しています。
 中国語は大学で専攻していたので、一時期はちゃんと使えたのですが、卒業後は使う機会がまったくないままとなり、かなり忘れてしまったので復習中です。そこで初級レベルで登録しました。(大学の恩師には、あんなに教えたのに!と怒られそう)
 スペイン語は、仕事にも学校にも関係はありません。旅行で行ってスペインが好きになったので勉強を始めました。2年ほどオンラインレッスンを受け続けていますが、中級の壁を完全に破ることができないままでいます。そこでこちらも初級レベルとして登録しています。

 私のレッスンを受けてくれている学習者さんのうち、特に初級の方はこれらの情報をよく見てくださっている印象です。英語・中国語については、使える人を探した、という方も多いです。スペイン語については、残念ながら母語とする方にはまだ出会っていませんが、最近スペイン在住の学習者さんがレッスンを始めてくださったので、時々、言葉の説明のために単語程度を使うことが増えました。
 一方で、上級者の方については、私が日本語以外の言語を使えるのかどうか、全く気にしていない・プロフィールでも注目していない、という方も珍しくありません。学習者さんがぽろっと中国語の単語を発した時に、あぁ、と私が理解できたら、え、中国語知っているんですか?と、不思議そうな顔をされたこともあります。

2: 直接法か間接法か


 あくまでも私の場合に限りますが、完全に日本語だけで教えてほしい、自分の母語は使わないでほしい、と言われたことはまだありません。初級者に限らず、上級者であってもレッスン中に母語を使う方もいらっしゃいます。

 私がプロフィールに使用言語を複数登録しているからなのか、オンラインレッスンにはそのようなニーズが多いからなのかはわかりません。
 日本語学校などの教育機関で教鞭をとる先生方とは状況もニーズも異なるのではないかと思います。

 学校のような教育機関にはさまざまな母語や言語背景を持った方がいらっしゃるので、授業中にそれぞれの母語で説明をする、ということは、生徒全員の母語が同じであるという場合を除いて現実的には不可能です。世界の共通言語とされる英語でも、日本人にとってそうであるのと同じで、全員が意思疎通に使えるとは限りません。そこで、通常は「直接法」と呼ばれる、日本語だけで日本語を教える手法がとられます。

 これと対照的に、学習者の母語や講師との共通言語を使って教える手法を「間接法」と呼びますが、私のオンラインレッスンは一部の上級者のレッスンを除いて、間接法で行っています。最も使用頻度の高いのは英語、その次が中国語です。実際にどのようにレッスンで使用しているのか、一部をご紹介したいと思います。

3: レッスンで英語が必要なのはいつ?


 英語を母語とする方、または私との共通言語が英語であるという入門・初級レベルの方とのレッスンは英語で行っています。ただ、練習する日本語以外が全部英語だと、せっかくネイティブの私とレッスンしてもらうのにもったいないかなと思い、レッスンでよく使うフレーズなどは、テキストなどでもっと後で習うことになっているようなものでも、少しずつ日本語に切り替えて覚えてもらっています。レッスンの最初に、聞こえますか?などと聞くような言葉も、どんどん日本語に切り替えます。(もし、テキストなどの進行に合わせるなら「聞こえる」はかなりレッスンが進んでから習います)

 そのため、実際に英語を使うのは、今日はこんなことを勉強しますよ、という導入部分や、文法の簡単な紹介、単語の意味を説明するとき、などです。私はバイリンガルではないので、文法などの説明をカンペキに英語でできるわけではありません。必要に応じて翻訳機能や辞書を駆使して話しています。そんなわけで、英語のレベルとしてもそれほど高度なものは必要ではないと思います。イメージとしては、CFERのB2くらいならなんの問題もなく対応できるのではないかという感覚です。B1でも、臨機応援に対応できるならレッスンには支障がないのではと感じます。

 しかし、問題は質問に答えるときです。

 残念ながら私の場合は、自分が話すよりも、相手の話した英語を理解することのほうが難しいです。私の日本語英語と同じく、ノンネイティブの英語は聞き慣れるまで理解しにくいこともありますので、質問してくれてもすぐに反応できないこともあります。これらに対応するためにも、引き続き英語の学習を続けていかなくてはと考えています。

 往々にしてこちらが準備して説明する内容よりも、質問に答える内容の方が複雑だったりややこしかったりするものです。そんなわけで、これらの質問にも余裕をもって対応するためにも、日本語の知識はもちろん、もう少し自分の英語力を高めないといけないなと思っています。

 これ以外に英語を使うのは、メッセージに返信するときです。
受講してくださっている方だけでなく、私のプロフィールに興味を持ってくださった方からの問い合わせも英語で送られてくることが多いです。また、プラットフォームによっては、トラブルなどの問い合わせに日本語対応がされていないこともありますので、英語でメッセージのやりとりができるスキルはやはり必要かもしれません。

あったらいいなと思う英語のレベル


 効率よく仕事をするためにも、簡単な英語でスムーズに返信できるスキルは必要だと感じます。相手も英語ネイティブでない場合は、かえって難しい言い回しや慣用表現を使わないほうがいいこともあると思うからです。ちょっとしたやりとりを、いちいち翻訳ツールや辞書に頼って書いていると、それなりに面倒で手間がかかりますので、英語だけでテキスト(文章)のやりとりができるスキルは、持っていると効率的に仕事ができると思います。

 ただし、相手が英語ネイティブである場合などは、簡単でわかりやすい英語だけではやや足りないように感じることがあります。もちろん、相手もこちらがネイティブでないことは十分知っているわけですが、それでも丁寧さや教養(あるのかどうかはおいといて💦)を英語で表現できたほうがもっと良いのではと思うのです。

 実際、ある10代の学習者さんの親御さんと英語のメッセージでやり取りしますが、短い文面からでも高い教養を感じ取ることができます。私にはそのような文章が書けないので、いつも表現などをこっそり参考にしているのですが、これは付け焼き刃ではマネができそうにありません。本当に自力で書きたいなら、しっかりとした「英語の書き方」を学ぶ必要があるかもしれません。そこまでオンラインレッスンの講師に求められないだろうという考え方もありますが、報酬を得てお仕事をするにあたって、書いたもの・話したことで自分が評価されることもあると思うので、私は今後もう少し勉強していきたいなと思っています。

4: レッスンで中国語が必要なのはいつ?


 中国語を母語とする方が学習者に多いプラットフォームにも登録しています。こちらは台湾を筆頭に、中国、香港、ときどき韓国の方もレッスンにいらっしゃいますが、圧倒的に中国語(普通話)の出番が多いです。初級の方だけでなく、上級の方もレッスン内で中国語を使うことがあります。

 よくあるのは、◯◯って日本語でなんですか?と中国語で聞かれる場面です。先述の通り、私の中国語レベルは「地に落ちた」(大学の恩師に怒られ…以下略)ので、この質問に答えることができるかどうか、実はとってもムラがあります。スムーズに聞き取れることもありますが、わからなくて書いてもらうことが多いです。
 また、日本語を話していると思っている時に、急に外国語が混ざると簡単な言葉でも聞き取れない現象ってあると思うのですが、これが邪魔をしてわからないことがあります。(言い訳がましいですが)

 たとえば、会話レッスンでこんなやりとりになったりします。
 ここではあえて、中国語をひらがなで表記している箇所があります。日本語に混ざって突然聞こえるイメージで書きました。

 学習者(学):昨日、大学の授業で、えっと「たおるん」はなんですか?
 わたし(私):あ、討論(とうろん)ですね
 学:はいはいはい、それ、討論しました。

 学:予約したいですが、いつよーこんですか?
 私:え?よーこん?
 学:はい、いつ、あの、よーこんですか?
 私:(よーこん、を頭で再生してしばし考える)
   あ!日本語じゃないのか、有空you kong(空きがある)ですか?
 学:そうです、いつ有空ですか?

 また、初級レベルの方は、文章の中にそのまま中国語を混ぜて話すので、これも聞き取れない時は書いてもらって答えています。

 学:美容院に行きます。
 私:美容院に、行きま・・・?
 学:あ、行きました。シャンプーです。
 私:シャンプーをしましたか?
 学:はい、シャンプー、しました。シャンプー、我帶去的。
 私:え?(不意を突かれて頭がフリーズしている)
   うぉーたいちゅーだ?(思わずリピートしてしまう)
   え?我帶去的?(やっと脳内で漢字変換できた💧) 
   持って行く?自分で?ですか?
 学:はい、シャンプー、持って行きます。

 これは、ちょっと状況が予想外だったので、よけいに聞き取りに時間がかかりました。どうやら、自分のお気に入りのシャンプーをお酒のボトルキープみたいに美容院に置いておき、それを使ってもらう仕組み?があるそうです。

 また、上級の方の場合、会社で中国語と日本語の通訳のようなことを頼まれることが多いのでその練習をしたい、というリクエストがあります。これはまぁまぁよくあるご相談です。通訳・翻訳は特殊なスキルで、言葉がわかるからといって誰にでもできるわけではありませんし、とてもエネルギーを使うことなので、日本語の上手な中国語ネイティブに、あまり気楽に頼んじゃいけませんよと思いますが、会社の中で致し方ない状況なのもよくわかります。

 本当に脱帽レベルの日本語力の方が多いですが、そういう学習者さんと中国語のニュース記事を使って、日本語で説明する、という練習をすることがあります。この場合、私自身も中国語のニュースを読んで理解していないといけません。学習者さんも、私が読めると思ってこの練習をリクエストしているので、できる範囲でそれに応えたいと思っていますが、ちょっと大変です。ただこれは中国語が読める講師だからこそできるレッスンのひとつだと思うので、前向きに考えることにしています。
 本当は私がもっと中国語を使えたら、他の練習方法を提案できるかもしれないなと考えることもあります。そのためにも、まだまだ精進が必要なようです。

台湾のニュース記事を使ったレッスンノートの一部
(中国語だけ見た学習者さんが日本語に翻訳、私は言い換えや単語の提案を赤字で追記します)

あったらいいなと思う中国語のレベル

 また、このプラットフォームでは、中国語でメッセージを書く学習者さんも多いです。もし、まったく中国語に馴染みがなかったら、かなり面食らうのではないかと思いますが、今は精度の高い翻訳アプリもありますし、ちょっとしたことなら自力で読めたり書いたりできなくても事足りるのかもしれません。私は調べながらできるだけ自力で書いていますが、長いメッセージが来て素早く読みたい時は、アプリを使うこともあります。こちらも、英語のようにさっと返信できるともっと便利なのにと思います。(恩師にやっぱり怒られ…)

 とりあえず今は、耳で聞き取れないと困る場面が多いので、中国語は聞き取りを中心に勉強していきたいと思っています。
 急に早口で言われてもわかる、またちょっと長い文章でも、しっかりキーワードを聞き取って理解できる、くらいのレベルになれば、かなり役に立つのかなと思います。

5: 外国語を使わずにオンラインレッスンは可能か


 以前に比べて翻訳ツールやAIによる翻訳は、本当に精度が高くなりました。自力「だけ」で外国語を読み書きできることは、実はそれほどアドバンテージにならないかもしれない時代です。さらに、技術の向上が助けてくれるのは文字の読み書きにとどまりません。音声の書き起こしツールも同様に、かなり高い精度で話し言葉を文字に変換してくれます。zoomなどの会議アプリでも、聞き取った言語をさらに他の言語に翻訳して表示できる機能が使える場合もあり、まさにライブで字幕がつけられるような状況です。お互いに相手の言語が理解できなくても、ツールを使えば会話が可能だというのが現状です。

 そのような中で、外国語が使えることが、オンラインレッスンの教師・講師として価値あることなのかどうかについては簡単に答えを出すことはますます難しくなってきました。

 今回は、教える側に外国語学習経験があることが、学習者へのアドバイスに役立つのかどうか、については考察の対象にはしていませんが、実際に新しい技術を活用すれば、まったく外国語学習経験がなくても、学習者の母語で質問されたことを理解したり、それに相手が望む言語で回答したりすることもできそうです。うっかり間違って理解するかもしれない人間のスキルよりも、よっぽど信頼できると考える人もいるかもしれません。

 結論として、外国語が「わかる」「できる」状況でなくても、技術をうまく使えば、外国語を使ったオンラインレッスンは現時点で、すでに可能なのではないかと思われます。

6: 教える時に本当に必要な外国語力とは


 ツールの力を借りることができるのに、本当にオンラインレッスンで外国語を使える必要があるのでしょうか。知らないままでもできるのに、わざわざ苦労して勉強する必要があるのでしょうか。そこに時間をかけるより、日本語の知識や教授法を磨く方がよいのでは、と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

 そもそも、ひとくちに外国語を使えると言っても、「できる」「わかる」にはさまざまなレベルと目的があり、どの程度をもって「できる」「わかる」というのかも、意見や判断がわかれるところです。例えば、書いてもらわないと聞き取れないことがある私の中国語レベルは、そもそも「わかる」とは言えないと評価されることもあるでしょうし、よーこんと言ったら通じたから「わかってくれた」と思われることもあるでしょう。

 実際のところ、学習者さんが講師に語学力を求めるのは、「自分にわかる言語で詳しく説明してもらえること」以上に「自分の言ったことが理解してもらえること」のほうが理由として強いのではないか、と感じています。

 そもそも、わからないことを知りたい時は、まず質問する必要があります。これが目標言語(例えば日本語)で、スムーズにできるのは一部の上級者だけではないでしょうか。言い換えたり、簡単な表現を探したりして、なんとかして日本語で聞けるという方もたくさんいらっしゃいますし、それこそが勉強になるのだから母語に頼ってはいけないという考えもあるかもしれませんが、いざとなれば母語や英語で聞けばわかってもらえる、というのはマンツーマンレッスンでは大きな安心感につながるのではないかと思います。
 学習者が講師の説明を聞いているだけ、というレッスンは、少なくともオンラインレッスンでは一般的な形態ではないと思うので、やはり、講師側が一方的に話せることよりも、学習者に聞かれたことを理解して答える、ことのほうが役割が大きいと考えられます。

 ニュアンスの違いをネイティブに細やかに、自分のわかる言語で説明してほしい、というリクエストもあるかもしれません。私の個人的な経験では、細かいニュアンスが気になるほど語彙や表現が蓄積された方であれば、日本語での説明を理解することが可能なケースが多いように思います。似た言葉の使い分けは、初級から上級まで、常に学習者を悩ませますが、言葉での説明よりも、実際に使われる例を見比べてもらうほうが理解がはやいことも多いです。また、これまでのところ、ニュアンスや言葉の意味の違いを、日本語を使わずに母語や英語だけで説明してほしいと求められたことはまだありません。

 ちなみに話しはちょっとズレますが、ある言語における言葉のニュアンスを他の言語で説明する、というのはまた別の意味で難しいと思うのですが、いかがでしょうか😅

7: 現時点での私の結論


 今のところ私は、英語や中国語を自分が流暢に話せることよりも、様々なアクセントが使われるあらゆる状況で、相手の言っていることを聞いて理解することのほうが必要だと感じています。仮に話すのが苦手でも、何を言ったか・聞かれたかを聞き取ることができれば、対応することができます。英語や中国語で答える必要は必ずしもありません。日本語やイラストなどを使って説明してもいいわけです。
 もちろん、回答も自分の分かる言葉でしてほしい、というニーズもあると思いますが、そのような方はおそらくプロフィールで教師・講師の言語レベルをしっかりご覧になっているのでは、と思います。たとえば、私の記載した中国語初級レベル(そもそも初級の指す幅が広いですが)で、中国語だけで全部説明してもらえるに違いないと期待することはないと思うのですが…実際はどうなんでしょう。期待するのかな、どうかな。

外国語を(レベルを問わず)使える、ということが、オンラインレッスンにおいて有利に働くのは事実だと考えます。学習者さんの安心感につながる以外にも、レッスンのバリエーションを広げることができるため、ニーズに応える方法を増やせます。また、問い合わせ対応も効率的になるのは前述の通りです。

 またレベルについては、教師・講師の目指すものによって異なると思いますが、流暢である必要はまったくなく、また高いレベルで運用できないことそのものも、大きな問題ではないと思います。
 やはり、発信よりも受信、相手の言っていることを理解できることのほうが重要なので、会話力もそれほど問題ではないかもしれません。

 私自身は、より自分の語学力を高めることで、レッスンで対応できることが増えると思うので英語と中国語については、さらにレベルアップしたいと思っています。オンラインレッスンを行うのに必要な外国語レベルはどの程度か、という話であればごく初級から、といえますが、高いレベルであればあるほど、教師・講師側と学習者さん双方にとってメリットがあるのではないかと思います。

8: 学習者さんこそ、外国語学習の成功者


 先述の通り、教える側の学習経験や学習過程での成功体験が教えることに有利に働くかどうかについて今回は触れていませんが、これについても日々考えているところです。

 というのも、私は今も昔も、外国語学習については、これぞ最適だと言えるような学習方法に出会えたことがありませんし、常に試行錯誤している状態です。英語については、多くの方と同じく学習歴は中学入学以来となるわけですが、かといってそれだけの年数に見合うレベルに達しているとは言えません。長年勉強しているからといって、短期間で目に見えてレベルが上がった、などというような明確な成功モデルを持っているわけでもなく、そうなると自身の成功体験などから、学習者さんにアドバイスするということはとても難しいと感じます。何年もこんなことやあんなことをやってきました、と言うことはできるし、そのうちこの方法は比較的聞き取りに効果があったかもしれない、くらいの「感想」を申し述べることくらいはできるかもしれません。しかし、私の経験を踏まえてこれをおすすめします、などと言えることもありません。

 唯一、外国語学習者として日本語の学習者さんとシェアできることといえば、いかに語学が難しいかということと、いかに語学がおもしろいかということに、本気で共感できることくらいです。

 私のレッスンを受けてくださる方の半数以上が上級者で、実に高いレベルで日本語能力を運用できる方が多いです。慣用句などを適切且つ効果的に使って、こちらがびっくりするような、素晴らしい表現力を見せてくださる方もいらっしゃいます。このような上級の学習者さんがノンネイティブとして申し分のないレベルで日本語を話すのを目の当たりにすると、そのレベルで運用できる外国語が自分にはないことを痛感します。
 また初級レベルの方であっても、会話するために様々なストラテジーを駆使し、知っている言葉を使ってたくさん表現してくださる方も多いです。

 私の英語などよりずっと高い水準で上手に日本語を操る学習者さんたちは、ある意味外国語学習の先輩とも言えます。語学習得において、一定の成功をおさめていると言っても過言ではありません。それに満足せず、さらに上達を目指していらっしゃるのですから、感服しきりです。

 上級の学習者さんは、自分にとって何が効果的か、すでに把握されていて自律的に目的を持って会話レッスンを受けていらっしゃる方も多いです。そのような方は、私のような特別な専門家ではない講師から勉強法のアドバイスをもらおうとは考えていないこともあります。また、私も恥ずかしながら向学のため、率直に質問することがあります。どのように勉強されているのか、どのように効果を検証しているのか、また自律的な学習についてどう管理されているのか、もちろん日本語でお聞きすると、あらゆる方法や考えを日本語でシェアしてくださいます。

 先日、上級の学習者さんと、どうしたら会話での外国語を上達させられるか、という話題で話した時、実に明快でシンプルなお答えを頂きました。その方は、外国語を上達させる唯一の方法かもしれない、と前置きした後でニッコリ笑ってこうおっしゃいました。

外国語を上達させる唯一の方法は、つまらないプライドを捨てることです。

上級の日本語学習者さんの金言

 私たちのその日の会話は、できなくて恥ずかしいとか、こうでなくていけない、といった思い込みをすべて捨ててしまうことが、外国語の学習に必要なのだという、ごくありきたりな結論に達しました。
 オンラインレッスンを行う上で、自分の外国語力が低くて恥ずかしいと感じたり、もっとできないとだめだ、と感じたりすることはありますが、まずそれも捨ててみるのが良いのかもしれません。今できることを工夫し、さらに上達を目指してたくさん恥をかくしかないのです。たぶん。

 私の外国語学習は自分の楽しみのためでもありますが、それがレッスンに活用できるなら、私はもっと多様な方法で学習者さんの日本語学習をサポートできるかもしれません。あらゆる可能性を広げるために、地道に頑張っていこうと思います。

 最後まで読んでくださって、ありがとうございます。もしご興味があれば、また見に来ていただけると嬉しいです。そして、ご経験を積んでいらっしゃる諸先輩方におかれましては、どうか温かい目で見守ってくださると幸いです。

 それでは、また🫡

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