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近況のご報告——博士後期課程進学と結婚移住

前回から1年以上もnoteを更新していないにもかかわらず、フォローいただきありがとうございます。

この1年は、大学院で日本の絹文化や養蚕について研究しながら、あまりSNS自体を頻繁に更新していませんでした。

というのも、私にとって節目となるライフイベントや、今後の自分の生き方を決断するタイミングが連続し、「どこから何を書こうか…」と尻込みしていたからです^^; 

現在進行形で起こる自己変化に驚きながら、それでも変わらない私の歩むべき道とは何かを探る日々。まずは、久しぶりの投稿のウォーミングアップとして、近況のご報告をしていきたいと思います。

博士後期課程への進学——科学技術史と生命倫理の探究へ

先日、東京工業大学環境・社会理工学院の修士課程を修了しました。修士論文では、動物福祉や動物倫理など、生物の生命に対する「エシカル」を起点に、今日に至る養蚕業における歴史と、養蚕信仰という繭の豊作や除災、蚕の死への弔いの精神に注目し、実際に関東甲信越地方の養蚕農家へインタビュー調査を実施しました。修士論文については、またどこかのタイミングで発表したいと思っています。

そして、今秋からは引き続き同大学院にて、文化人類学の領域で研究を続けていくこととなりました。

修士課程に在籍している頃から、博士課程に進学しようという気持ちは固まっていました。修士論文を書きながら、「2年でまとめるのは難しいな」と思っていたので、博士後期課程の3年を通して研究生活を続けていきます。

私は大学の学士を卒業してすぐに修士課程に入学したのですが、まわりには働きながら研究をしていたり、仕事と研究を繋げて取り組まれていたりする方が多数いらっしゃり、大学院生活の多様なあり方に触れることができました。

性別や年齢、肩書きにとらわれず、自分の興味関心分野を追究する姿や、そうした方々が在籍する大学院の環境って素敵だな、と思います。こうした大学院生活についてもnoteでまとめたいトピックの一つです。

博士後期課程では、生命科学と、科学技術を生み出してきた科学技術者の精神に焦点を当て、研究したいと思っています。

修士課程では、日本の養蚕文化や養蚕農家たちが信仰していた「養蚕信仰」について研究していたのですが、深く掘り下げるほど、技術を生み出す生産者と信仰の繋がりを感じていきました。

養蚕農家の間で広まった民間信仰、製糸工場とキリスト教、そして民権運動へと繋がる蚕糸業の動向など、産業を動かす人々の精神的支柱としての信仰・思想にとても興味があります。

同時に、現代のウイルス学の礎を築いたとされるカイコを対象とした研究の歴史を深堀りすると、生命倫理の問題にも触れていきます。これこそ、私が修士課程に進んで探究したいと思った「エシカル」に繋がるな、と思います。

私が在籍する東京工業大学は2024年から東京医科歯科大学と統合し、「東京科学大」として再スタートします。このタイミングで研究できるのも何かのご縁だなと感じ、博士後期課程は生命科学も視野に入れ、科学技術史や生命倫理を探っていきたいと思います。

結婚と移住——秩父と東京を行ったり来たり

そして、プライベートなこととして一番大きいのが結婚です。ご縁あって、養蚕農家の方と結婚し、埼玉・秩父へ移住しました。

女子高・女子大での”エンパワメント”を経て、自分がやりたいことに邁進し、一人で生きていける自立力をつけねば…と思ってきた私にとって、「結婚」という新たな環境は想像以上に自己変容をもたらしています。

秩父はコンパクトにまとまった穏やかな街で、論文執筆がとても捗ります。面白い取り組みをされている方や、移住者との繋がりもでき、顔の見える距離感で一緒に暮らしを作る経験もできる。

さらに、現在秩父市で1戸しかいない養蚕農家がすぐ隣にいるという、シルク研究者にとっては非常にありがたい環境に感謝です。

これから、研究関連や大学院生活・キャリアについても、なるべく現在進行形で書いていけたらと思います。

まずは、ご報告までに✍️