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なにをやってもダメ?部下のやる気をつぶしているのは上司?!

「部下に積極性がなくて困る」「いくら言っても自分から動こうとしない」というお話をよく聞きます。でもひょっとしたら、それは部下ではなく上司のあなたに原因があるのかもしれません。


目の前にエサがあるのに餓死してしまう

こんな逸話があります。魚のカマスを水槽の真ん中をガラスで仕切り、半分には空腹のカマス、もう半分にはエサとなる小魚を入れます。カマスはエサを食べようと小魚に突進しますが、仕切りがあって食べれません。

何度か挑戦しますが、ガラスに頭をぶつけるうちに突進するのをあきらめてしまいます。そこで仕切りを外し、自由に小魚を食べられるようにします。すると、お腹はペコペコのはずなのに、口元まで小魚が泳いできても食べようとしません。カマスはなにをしてもダメだと無気力になってしまっていて、そのまま餓死してしまうのです。

同じような実験は動物でも行われています。

学習性無力感

ペンシルベニア大学の心理学者マーティン・セグリマンは、電気ショックの流れる部屋の中に2匹の犬を入れ、一方の犬はボタンを押すと電気ショックが止められる装置のついた場所、もう一方の犬は何をやっても電気ショックを止めることのできない場所に入れます。

前者の犬は、ボタンを押すと電気ショックを回避できることを学習し、電流が流れるとすぐにボタンを押すようになりました。後者の犬は何をやっても回避できないため、ついには何もしなくなり、その場にしゃがみこんで電気ショックを受け続けるようになったのです。

その後、簡単に跳び越えられる壁に囲まれた別の部屋に犬を移動させて同じ実験を続けたところ、前者の犬は壁を飛び越えたのに対し、後者の犬は先ほどのカマスのように、その場にうずくまり壁を跳び越えようとはしなかったのです。

このことを専門用語で「学習性無気力」といいます。何をやっても無駄だという認知を形成し、学習に基づく無気力感が生じるというものです。これは人間でも同じです。

部下の仕事を頭ごなしに否定してはいけない

例えば上司が、部下に「積極的にやれ」といくら号令をかけても、部下から出てきた提案を頭ごなしに何度も否定しては、部下はやる気をなくし、いずれは無気力となってしまいます。そこで上司はさらに部下に発破をかけますが、むしろ逆効果です。

多少いびつな提案であっても、とりあえず部下の話を聞いてやらせてみることが大事です。そうすることによって、失敗しながらも挑戦する意欲が継続するのです。そこからさらにいい提案が出てくるかもしれません。北風は強く吹けば吹くほど、旅人をさらに萎縮させてしまうのです。


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