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W杯ドイツ戦にむけて

いよいよ来ましたね。サッカーW杯、日本の初戦は本日22時キックオフ。初戦はドイツ。相手にとって不足なし。僕の予想は2-2のドロー。いい試合になるんんじゃないかと思っています(守田がいないかもしれないというのは激しく不安ですが…)。

根拠としては、現在の日本代表(森保JAPAN)が常に「目標には達してないがノルマは果たしている」ということです。アジア杯ベスト4、東京五輪準決勝進出、W杯最終予選突破、といったところですが、これを全て実現できているというのは実際凄いことですし、今回も「目標であるベスト8には届かないけどノルマであるベスト16には達する」んじゃないかなと思っています。

逆説的に、ベスト8というのはまだまだ早いんじゃないかなと。やっぱりメキシコくらいベスト16敗退を重ねる我慢はしなきゃいけないと思いますね。ロシアで一度ベルギーにいい試合したくらいではまだまだ歴史が足りない。

なぜ今の日本代表がノルマをきちんと達成できているかと言うと、やはり横内コーチを筆頭に優秀な分析チームがいるということだと思います。このチームは明確に試合にランク付けをしていて、Aランクとしていた(だろう)試合、例えば

アジア杯ベスト4のイラン戦
最終予選のオーストラリア戦
東京五輪グループステージのメキシコ戦
同準決勝のスペイン戦

これらの「絶対にやらなきゃいけない試合」では、見事に相手を分析してスペイン以外には完勝しています。これらの試合やアメリカ戦などについても「相手の調子が悪かった」ってことさらに言う人いますけど、日本の良さが出る時ってすなわち相手の特徴を消せている時なわけです。これは森保JAPANに限らず、日本代表がいい試合する時のほぼほぼ絶対条件。そこは理解しないと見誤ることになると思いますね。

もちろん全部の試合でこれができれば最高ですが、それは難しいし、できないことは完全に諦めて、切り捨てて運営しているんだと思うんです。だからこそ最終予選最後のベトナム戦みたいなことも起こるわけですが…(森保さんの優しさも相まって)

それって、代表の魂という意味では残念ですが、日本の現在地としては一つの方法だと思います。もちろん今の代表は決して悪いチームではないことも大前提です。今大会の圧倒的No.1優勝候補である、今世界で一つ抜けているブラジル相手に6月にあれだけの試合できてるわけで。あの時結構「情けない」みたいなこと言ってる人いましたけど、今のブラジル相手に、どの国だったら「何かできる」と言うのか…今のブラジル相手に「何かできる」チームなんて世界に3〜4くらいしかないと思うんですよね。結構いいチームだけど、そこに達してはいないということも冷静に理解する必要があります。

W杯で言えば、もちろん初戦のドイツ。ここに照準あててるのは間違いないし、逆に言うと勝ち抜けたとして、ベスト16で当たる相手のことまでは分析しきれない。なので、グループステージは突破できるけどベスト16で敗退すると予想します。

と、ポジティブなことを書いてきましたが、僕はあまり今の日本代表の方向性に納得はしていません。

おそらくですがロシアW杯の成功体験で、定石的な長期プランでのチーム構築を今の日本代表は諦めてるんだろうと思うんです。ロシアW杯直前の国内最終戦(ガーナ)を僕は見に行きましたが、まぁひどいものでした。チームの体をなしていなかった。もちろん本番に期待なんてできなかったわけですが、結果は全く異なりました。なんならベルギー戦は僕にとっての日本代表ベストマッチだったかもしれません。つまりは、クラブチームではない代表という寄せ集め集団で、なおかつ超強豪とかでない場合、なるべく積み上げたものなんてなくして、直前の調子でチーム組んだ方が上手くいくという皮肉的な真実です。

今回、ブラジル戦が行われた6月以降のシリーズでチームを0から作ることは既定路線だったんだろうと思います。もちろん特にディフェンスラインについてはこれまでの積み上げですし、蓄積が0だなんて言いません。ただ、こういうチーム作りを「長期的なビジョン」とは言えないし、少なくとも僕はそう思わない。

本選を想定して長期的ビジョンでチームを作り上げようとしたハリルを、直前で意味不明な形でクビにしたことを僕は今も許していませんが、あの時に日本代表はそういう方向に舵を切ったんだと思います。そしてそれは「W杯で結果を出す」という意味では必ずしも悪い手段ではない。むしろ一番いいかもしれない。

例えば、強固なインテンシティの3センターと4バックに、前田・浅野・伊東という韋駄天3トップで相手ディフェンスにプレスかけまくれたら、どんな強豪相手にもひょっとする可能性はあります。実際、東京五輪以前の直近で最も日本代表が世界大会で実績を残せたのは、ロンドン五輪での4位。この時のチームは1トップに韋駄天永井を置き、2列目にパンチのあるシューター3枚(清武、東、大津)というスタイルで世界を驚かせたわけで、おそらくこれはかなり効率がいい。本来的には日本に合っているスタイルだとも思います。

ですが、そういうスタイルを継続的に作り上げることは一切しないので、その時の4人はいずれもフル代表でそこまで活躍出来なかった(清武はよかったですけどね)。少なくとも日本においてはこの戦術は後に残らないんですよね。継続性もなにもない、つまりは奇襲になるので。個人的には「それでいい」とは思えないです。

繰り返しますが、でもそれは日本がW杯で勝つという意味だけにおいては最短で最善の手である可能性が高い。
ただ、僕はそんなやり方は大嫌いです。大好きだったザックJAPANが、W杯でうまくいかなかったことだけを金科玉条に手のひら返しでボロクソに叩いた人たちのことを僕は今も許していません。W杯はもちろん大切ですが、あの最高だった4年間を完全否定する根拠になるだなんて絶対に認めない。仮に僕だけになったとしても、あの4年間の思い出を肯定したいし、W杯の結果だけで全てを判定するような姿勢には抗っていきたい。

長くなってすいません。そんな僕の思いとは裏腹に、協会に限らずサッカー界全体が「W杯で勝つ」ことだけを目標にしているような今のムードでは仕方ないのかもしれないと諦めてもいます。
要は「カタールW杯で勝つ」だけを考えると、森保さんのやり方を否定はできない。ただ、僕はサッカーを日本の文化にしたいと思う人間なので、そういう意味では反吐が出ます。改めてロシアW杯以降に自分の代表への情熱が冷めた理由がここにあるなと感じています。

もちろん試合は全力で応援しますし、勝ってほしいとも思います。ただ、いろいろ複雑な感情を抱えながら見ることにはなるだろうし、これからもずっと日本代表を好きでいれるのかについては気持ちが揺らぐ毎日です。

(写真は2018年ロシアW杯壮行試合として行われたガーナ戦。試合後はお葬式のような雰囲気でした…)

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