勤路記47.そのうち後光が

どんより曇りでまだ暑い。
先日の『安住紳一郎の日曜天国』(TBSラジオ)で安住アナが「この暑さは木曜まで、そこで秋が来ると私は信じております。皆さんもそこまでなんとか乗り切りましょう」と言っていて、その言葉をお守りのように拠り所にしている。


ぼんやりと歩いていたら、道のいつも歩くのと反対側を歩いていた。

毎日視界の端にうつりこんでいる景色がくっきりする。
この家の植え込みはこんなに多種だったのか。
この家はナスを育てていて小さなナスがこんなにも実っているのか。
この家の表札は実は立体的に文字が浮き出ていたのか。

あまりの発見の連続に脳が覚醒してくる音がして、そのあといつもすれ違う園児が一生懸命母親に何かを訴えるのを聞き、ゴミ出しの老人(知らない人)と会釈を交わし、開いているのを(時間帯的に)みたことがない店の前にヒョロヒョロと植物が植えられているのをみた時にクワっと目が見開いて「…みんな…毎日…生きている…!」と悟りを開いたような気分になった。

手塚治虫がブッダの悟りシーンを臨場感たっぷりに絵物語にしてくれたおかげで、うっかりどうでもいいことが、それをなぞるように自己再現できるようになっているんだな。

この世の理(ことわり)全ては知る由も悟る予定もないが、毎日生きている実感だけでもわりと楽しめる。

夜には雨が降り涼しくなった。

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