勤路記51.だから歩いていくんだね

キンモクセイがここそこからいい匂いを振りまいている。フッと香りにだけ気が付いて、キョロキョロ探すと民家の玄関脇にひっそりとオレンジの粒みたいな花をパラパラ咲かせてたりする。油断ならん秋。

奥ゆかしく見せかけてそういうタイプ、人間にもよくモテ枠でいるよね。

通学途中の長男にも嗅ぎなさい嗅ぎなさいと勧めたら、鼻をスピスピいわせて嗅いだあと「鼻が詰まっていてよくわからないな!」と言っていた。

初秋の鼻はなるべく通しておくように、と親然として教えた。

そのあと「マジカルバナナ」をしながら学校に着いた。
秋田といったら「こまち」(子)
こまちといったら「新幹線」(私)
新幹線といったら「北は函館北斗駅から南は鹿児島中央駅まで!」と元気よく早口で言う様子は立派な鉄オタで頼もしい。

1人になり、歩きながら仕事のことを考えるとモヤモヤがワーっと襲ってきそうになったので「365歩のマーチ」を高らかに心で歌いながら歩いた。なんだか元気と勇気がでた。


(その夜、夫にそのことを話そうとして「365度のマーチ」と言った。365度。1回転してちょっとはみ出る)

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