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印象的な転職エージェントたちのお話し

私は、現在、60過ぎても社員としてIT・通信系の仕事をしています。在宅で海外のプロジェクトの設計書や図面を審査して、承認したり修正を要求するコメントを付けるような仕事です。たまに、ZoomやTeamsやGoogle Meetで海外の業者に口頭で優しく説明をしたり、指示を出したりします。

昨年まで、海外に数か月単位で出張したり、駐在したりもしていました。コロナ禍の真っ最中でもです。PCR検査は、日本と海外で10回以上して、すべて陰性でした。陰性でも、帰国時には成田空港付近のホテルに数日間隔離もされた事が一度ありました。コロナ禍のおもしろい話も書きたいですが、それは、また別の機会に。

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さて、転職の話し、今の会社、日本の設計コンサル会社には、50歳代の後半で正社員転職しました。日本の方は、皆さん驚かれますが、IT業界では普通です。今の会社へは、転職エージェントは使わず、前の会社での私の実績を知っている在職社員からの推薦を受けて、2回の面接のみで入社しました。
これまでの転職回数は、かろうじて一桁におさえられているという、日本では「異常」と見なされるレベルの転職回数を誇ります。求人票「転職回数3回まで」などと書く、由緒正しき日本の習慣を堅持する会社には一瞥もくれず、好きな仕事をしてきました。そんな転職活動の中で出会った、驚愕!転職エージェントたちについてのお話です。


トランシーバーと携帯電話の区別がつかない文系エージェント


ヨーロッパ資本系会社で携帯電話のネットワークを構成する機器を製造し、日本の移動体通信事業者(ソ〇〇バ〇〇とか)にネットワーク機器とソフトウェアの両方を販売をしている会社に7年くらいかな、働いていました。その外資から転職しようとしてお会いした転職エージェントの方のお話です。

その人は、いくら説明しても携帯電話とトランシーバーの違いが理解できない人で、高度なトランシーバーが携帯電話だと思っているようでした。一般の方は、端末(スマホ、タブレットとか)しか見ることがなく、ネットワークセンターに並んでいる機器やネットワーク監視センターをイメージする事ができないためかもしませんが。

私の仕事が、移動体通信事業者のエンジニアにネットワーク機器の保守運用技術を教えている部署だというと、「携帯電話の使い方なんてだれでもマニュアルを読めば分かる」みたいな反応で、まったく話が噛み合いません。

「よくそんな仕事で給料もらってたね」と私を見る彼の顔に書いてありました。

トランシーバー(アナログ)というのは、端末の変調方式と周波数が合って受信電力が下限値より高い狭い範囲に限り、だれでも通話ができます。そこには、電話番号はありません。通話料金も無料です。電波が届かない場所との話しはできません。そこには、保守運用するシステムなどありません。

携帯電話は、端末(電話)間に構築された複雑なシステムがあり、世界中の端末間、固定と移動端末の両方を繋いでいます。ビルの上に建てられた無数の無線基地局、ハンドオーバー制御システム、パケット交換機、交換機同士をつなぐ世界中に張り巡らされているネットワーク、加入者がどこの(国のどこの)機器に接続されているか常に把握しているDB、SIPサーバを含むIMSサブシステム、固定網とのインターフェイス、旧バージョン(3Gとか)へのインターフェイス、課金システム、各種サービス定義提供システム、不正アクセス防止、ネットワークを24時間監視し、問題を発見し解決する監視システムなどなど、説明しても馬耳東風。

その後、別のエージェント経由で、ヨーロッパ系通信機器メーカーから、日本のN〇〇という会社で日本向けの携帯電話ソフト開発プロジェクトに携わることになり、インドでの開発拠点の契約交渉をまとめ上げてから、海外支店の支店長を拝命しました。ちなみに、下の写真はインドではありません。

海外支店の社員といっしょに 日本人は3人のみ

イギリスからの電話


東京の自宅の夜7時過ぎ
LinkedInという仕事関係SNSに職歴などをアップしていました。それを見たイギリスの転職会社から国際電話がかかってきました。いきなり、ロンドン東部のコックニー訛りの英語で「イギリスの会社が東京で会社を立ち上げるが、ついては、英語ができる優秀な日本のエンジニアやマネージャを探している。あんた、紹介してくれないか」と宣う。
まず、なぜ「あんたはどうか」と聞いてこないのか?カチンときた。
次に、何で、私がイギリスの見ず知らずの人に、そんなことをしなければならないのか理解できなかった。
そっか、日本人は親切なことで知られているからなのか?日本人よ、外国人旅行者に親切にすることを直ちにやめよ!
LinkedInに自分の携帯番号をアップしたっけなぁ。

日本に居るインド人社長から


イギリスの話しと少し傾向が似ている話しです。
N〇〇で付き合いのあったインド人で、彼は、エージェントではありません。彼は、日本のインド資本のソフト開発アウトソーシング会社に転職して、英語のできる日本人エンジニアを探している様でした。彼が電話で言うには「バイリンガルの日本人で、組込み系ソフト開発エンジニアを知らないか?知っていれば、紹介しろ。後は、こちらが受け入れ準備するから、楽だろう」まるで、私が、紹介することが当然で、私の利益になるというような口ぶりでした。
「それは、すごい、そんな人がいたら必ず紹介するから、またね。」と電話を切りました。それ以後、彼とは連絡を取っていません。

面接のための交通費は自腹


数年に及ぶアフリカ駐在から帰国して、半年以上無職だったころの話し。若かったこともあり、海外駐在で貯金もあったので、悠長にJapan Timesの月曜版なんかで週一回、職探しをしたりして妻に呆れられていた頃。

大手の転職サイトにも登録していました。そこで紹介されたのが、1990年代の日本スターバックス。今では皆さん、だれでも知っているスターバックス。当時の日本では、一般には知られていなくて、これから、日本で展開するアメリカのコーヒーチェーンということでした。
転職エージェントからは「ITの仕事」というだけで、明確な説明も無く、何の仕事かなと自腹で交通費(荻窪~青山)を出し行ってみると。社内データ処理ネットワーク構築のためのアーキテクトであるとの説明。面接は、即終了。私がエージェントだったら、「シスコのCCNP資格は、必須」で探すような案件です。

大手の転職紹介会社であるため、信用していましたが、私の経歴とのミスマッチしている事が理解できないエージェントだったようです。「IT」というくくりでしか理解していなかった文系担当者だったようで。
ITといっても色々あるんですよ。

面接のための交通費などのお金や時間は、私持ちで、彼の懐は痛まず、紹介すれば仕事をしたことになり、運よく面接に通ればお金が入るため、自分の実績作りのために私の時間と交通費を利用していたのか。
面接後に帰宅して明らかなミスマッチと結果報告をすると「すみません」の一言もありませんでした。エージェントの常識、スキル、知識量を疑ってかかる必要を痛感しました。大手になるほど、こんなエージェントが多い気がします。
この後、カナダの通信機器メーカーに入社しました。

転職希望者を見下してキレるエージェント


ある小規模な転職エージェントに面談に行った時の事、小さいオフィスでなかなか見つからず苦労しました。時間にかろうじて間に合い話していると。

彼の話し方が、兎に角偉そうでした。求人内容を説明する時も、人を見下しながら、「分かるか君~」、「分かったらハイと言えばいいんだ!」みたいな事を言い出しました。前職は、小学校の先生だったんでしょうか。何か不愉快なことが直前にあったのでしょうか。

狭いオフィスの横に長い会議机を挟んで、私の正面に座り睨んでくる。こいつは、キレても反撃してこないと観られたのか。私でも限界はある。時間をなるべく無駄にしないように適当に切上げることにしました。資料を持たされましたが、すべて捨てました。

「ハラスメント」などという言葉が存在しなかった、昭和の終わり頃の出来事でした。

暇つぶしに転職希望者を呼びつけるエージェント


最悪のエージェントです。
そのエージェントのオフィスは、六本木ヒルズのすぐ近くにあり、立派な受付にいた美麗な受付嬢に、重厚な家具がおいてある執務室(面談室)に通されました。いったいひと月に何人の人を企業に売れば、こんなオフィスを六本木で維持できるのだろうと考えながら、私が30分以上かけて経歴を説明をした後、彼は退屈気に「海外で何か感動的なエピソード聞かせてよ。」と来ました。私に紹介できる具体的な案件について提案してくる様子も無し。

海外で苦労している日本人の感動ドキュメンタリーをTVで観て、似たような話を聞いて暇つぶしでもしたかったようです。大人として失礼のないように対応して、早急に退室しました。そして、思いました、ああ、今日も交通費と時間を無駄にしたなぁと。

六本木ヒルズ ソ〇〇バ〇〇の休憩室から撮影


これまで、いろいろな転職エージェントとお会いしてきました。ネガティブ方向に驚愕する人達ばかりでは、もちろんありません。感謝している方もいます。
また、今の会社へ入社した時もそうですが、エージェントや転職サイトの助けを借りずに転職したことも何度かあります。


転職エージェント以外で失敗談としては、
TVでCMを出しているような転職サイトでも、毎月1万円を知らずに引き落とされていたことがあります。クレジットカードの明細で引き落とされていたのが発覚。そのサイトは、まるで詐欺のような書き方で、毎月引落すボダンを押させる手法。皆さんもお気をつけて。結局、10万円以上取られて成果ゼロでした。そのサイトのCMを見ると、未だに、すぐTVの消音ボタンを押します。

今までの転職は大変でした。簡単だったことは、2~3回しかありません。転職回数が多いので、上記のようなエージェントと合ってしまうことは避けられませんでした。でも転職で後悔したことは、一回だけです。刺激的なキャリアで、日系、外資系、国内、海外でそれなりの仕事はして、キャリアアップしてきたつもりです。
生涯1社で転職したことが無い人がもらうような退職金と合計では同額に近い金額を受け取っていますし、財産形成もまあまあ、東京23区内にマンションも購入し、特に老後の心配はしていません。

大変でしたが、転職してよかったと思います。これまで、時々思い出してはトラウマのように不愉快になっていた出来事ですが、これでスッキリしました。最後までお付き合いいただきありがとうございます。(終)


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