なみちゃん

限界女子大生の現実と妄想が詰まっている場所です

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  • 大人はもっと綺麗だと思ってた

    田舎の芋少女が都会のリアルに汚されていくお話。

最近の記事

結婚するなら君がいい。

大学一年の春。 私はグラウンドで君に出会った。 その頃の私は、全く別の夢を追いかけていて、野球で生きていく強い意志を持っている君と同じ道に立つことなんて考えていなかった。 ピッチャーであり、エース候補と呼ばれた君のマウンド姿に、私は一目惚れした。 「ねぇ、私君のマウンド姿、今まで見てきたピッチャーの中で一番好きかもしれない。」 マウンドを降りてダウンする君に私はそう声をかけた。 「物珍しいね、ありがとう。」 女の子と接することに慣れていない君の笑顔を見るのには、

    • 嘘でもいいから可愛いって言え。

      大学二年の冬。 出会ったのは一人の同い歳の男の子だった。 「俺、彼女一人しかいた事ないんだよね。」 切れ長の目、スっと通った鼻筋。 身長が平均よりも低い私とは30cm以上離れた背。 見た目は完全に私の好みそのままだった。 そんな彼と2人で会ったのは年末。 彼は社員寮に暮らし、私は学生寮。 周りの社員が帰って人がいなくなった社員寮に私は呼ばれた。 「…お酒、飲む?」 自ら部屋に招き入れておいて、 少したどたどしい彼の様子が可愛かった。 「うん、飲む。泊まってっ

      • 依存する意味

        「また会おうね、じゃあね。」 付き合っていない男女が交わす「またね」ほど意味の無いセリフはない。 けれど、私はそのセリフを何十回と繰り返す。 普段の私は絵に描いたような真面目な子。 夢に向かって真っ直ぐで、パワフルで、明るい。 普段の私を知る人には大体そう言われる。 私もそう思う。 だって「そう見えるように」してるから。 ただ環境柄、私はストレスが多い。 女の子扱いされることのない男社会。 揉まれる事は覚悟の上で、今の生活をしている。 「夢」の為だから。 で

        • 精神安定剤

          私はごく一般の大学生。 「一般」の定義が分からないが、 普通の人よりかは男遊びが酷いように思う。 身体の関係、と名のつく男は片手には収まらない。 そんな感じの大学生だ。 別に欲が酷いから発散している訳でもない。 普段の生活でのストレスが人より多いが為に、 コミュニティ外の男と会う時間でそのストレスから解放されようとしているつもりである。 傍から見たらただの尻軽女だろうが、 私はそうやって上手にバランスとって生きてるのだ。 しかし彼らはいつでも不確かだ。 彼らを信用

        結婚するなら君がいい。

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        • 大人はもっと綺麗だと思ってた
          7本

        記事

          来世は恋人として。

          私が一人の男に沼り、彼を忘れるために遊びに明け暮れていた頃。 出会ったのは、一人の爽やかなお兄さん。 いつもの様にアプリをぶん回し、いつもの様に夜に会う予定を立て、いつもの様に合流。 適当に夜の道をドライブして、ホテルへ向かう。 無双していた私からすると、ごく普通の身体の関係の作り方である。 「俺本当に恋人作るのトラウマなんだよね」 アプリで身体の関係で遊ぶ人は、男女関わらず過去の恋愛にトラウマがある人が多い。 彼も、その一人であった。 「じゃあ気楽に会える関係

          来世は恋人として。

          大人はもっと綺麗だと思ってた⑺

          彼に会えなくなって一ヶ月が経った。 彼には何をLINEしても会えない趣旨の返信しか返ってこなかった。 先輩の告白は適当に断った。 私の心はあの日から、何も動いていなかった。 何度も何度も彼と交した最後の言葉を思い出しては涙を流す繰り返しだった。 会いたい。 あれだけ呆気なく突き放されたのに、 彼を追いかける価値などないと分かっているのに、私は彼に会いたくて仕方がなかった。 次の恋など、出来るはずもなかった。 そんな中、大学の友人が出会い系アプリを始めたという話を

          大人はもっと綺麗だと思ってた⑺

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          翌朝。 「おはよう」 まだ日が登りきっていない薄暗闇の中、 私はアラームで目を覚ました。 まだ半分夢の中にいる彼に一声掛けて、 私は一人で身支度をする。 「ねぇ」 彼が私を呼んだ。 「ん?」 「こっちきて」 ベッドに近寄っていくと、彼が私の腕を掴んでベッドの中に引きずりこんで行った。 「わっ!ちょっと、何するの!」 笑いながら彼の腕を力なく押し返した。 「私もう時間だよ?」 「まだ時間じゃない。」 駄々をこねる彼が愛おしくて仕方なかった。 ベッドの上で二

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          「ねぇ先週の課題やったー?」 「え、あれまじ終わらん、やばくね?」 「分かる〜私も終わらないんだけど!」 いつも通りの騒がしい大学キャンパス内。 私はもぬけの殻でただ教室の角に座っていた。 課題…やらなきゃな…。 頭では分かっていても、 手が動かない、頭がずっとボーッとしている。 彼との関係に名前をつけたい。 でも、これで会えなくなるのは嫌だ。 永遠に二つの想いが葛藤している。 もう頭がおかしくなりそうだ。 『いつも通りの時間に来て』 彼からの少し冷たげなLI

          大人はもっと綺麗だと思ってた⑸

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          それから毎週のように私たちは会っていた。 会う度に彼は、 「次はあそこ行きたい」「これ食べ行こう」 と次の話をしてくれた。 ある日いつも通り二人で部屋でくっつきながら、紅葉の特集をしているテレビ番組を見ていた。 「ねぇ私、紅葉が終わる前に見に行きたい」 私なりに勇気を振り絞って誘う。 「ええやん、行こう、どこが綺麗かな?」 嬉しそうにスマホで調べ出す彼に、 すぐにでも気持ちを伝えたくなった。 でもまだ気持ちを伝えて、関係がこじれて会えなくなったら…という怖さが勝

          大人はもっと綺麗だと思ってた⑷

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          翌週、私たちは夜景をリベンジする為、車を走らせていた。 「疲れたら変わるからね?」 お互い免許を持っていたので、車の運転は交代交代で行こうと話していた。 「俺の最近ハマってる曲流してあげる。」 彼がおもむろに曲を選んだ。 歌詞が今の二人をそのまま表しているようで、少し気まずくなった気がした。 私だけだったろうけど。 「ここから山道だね、道細いな…」 山の麓につき、車のライトをハイビームに切り替えて狭い道を進んで行った。幸いにも対向車がおらず、すいすいと山道を登っ

          大人はもっと綺麗だと思ってた⑶

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          それは大学二年の秋、部活の試合で他大学へ遠征した時の事。 「部活楽しいですか?」 話しかけてきたのは、相手大学の選手。 試合の裏方で仕事をしている時、 相手も同じ場所で試合の補助をしていた。 手さえ動かしていればいいので、 私達は口の暇つぶしに会話を始めた。 「高校はどこ?」 「この選手はどういう選手?」 最初は部活の話をしていたが、 次第にプライベートの話になっていった。 「彼女はいるの?」 そう聞いてくる彼の顔を見て、 私は「いたらいいのにね」と笑って首を

          大人はもっと綺麗だと思ってた⑵

          大人はもっと綺麗だと思ってた

          私は男が嫌いだ。 すぐに嘘をつくし、精神年齢低い人が多い。 適当な所ばかりで馬鹿みたいな言動も多い。 本当に大っ嫌いだ。 なのに私は、その男達にとっての『都合のいい女』を演じ続けている。 . 二年前の秋、私は大学に通うために田舎のちいさな町から都会に出てきた。 恋愛もろくにしたことがなく、恋愛年齢は恐らく中学二年生くらいで止まっている。 素敵な出会いがあればいいなぁと、 呑気に考えながら一人暮らしを始めた。 最初の頃は家事やバイト探しに追われる日々。 自分のこ

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