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大切なものは表明しない@羆【全額寄付】

割引あり

師匠殿

桜もすっかり青葉に模様替えしました。散り際にピンク色が濃くなるのは、そこだけ別な品種とキメラなんでしょうか。あるいはよくある現象なのでしょうか。眼前の桜は、梢の枝に花が一輪も咲かず、頭頂部が薄くなった自分のようでもありました。
さて、4月10日はベストアルバム”science fiction”の発売記念で宇多田ヒカルが「トレビアン・ボヘミアン」のラジオ特番をやっていました。
「渇望していたけど手に入らなかったものが人生を豊かにする。この年になってからようやく気づけた」にちょっと引っかかりました。
第二外科で臨床実習をしていた学生時代、教授回診の最中にニュースが飛び込み、「宇多田結婚だって!」と行列の後ろの我々は盛り上がっていました。
当時19歳、才能あふれる彼女が渇望したのは家族の温もりだったのでしょうか。大切なものは表明しないのが常でしょうね。

凡人の私にだって渇望したものがありました。人並みになりたかった。いじめられぬよう、教師や親に攻撃されない、目立たぬような能力です。

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