印象深い映画5選(やまのひつじ)

 4月の終わりからずーっと、SLC(スーパーローカルシネマ)のみんなと週1ペースで映画やらなにかしらの映像作品を見ている。
 「あっ、今日映画の日だ」って当日になって気がつくことも多くて実にあっという間に時が過ぎる。映像を見た後に感想を含めもろもろの取るに足らないことを言い合うのだが、その時間もあっという間で、解散はいつも日付が変わるか変わらない頃になる。そう、時間はあっという間なのだ。ということで思いついたタイミングで書き記そうと思う。タイトル通り、印象深い映画5選。順番に特に意味はない。

1.ショーシャンクの空に
 妻とその愛人を射殺したという罪(冤罪なのだが)で投獄された男の話。「それでも僕はやっていない」なんて話をしても通用せず、刑務所で待っているのはものすんごく理不尽な世界。主人公のアンディはそんな腐りきった刑務所の中でも腐らず努力を続け、最終的には脱獄に成功する。真面目なものがバカを見ることが多い世の中で、あきらめないでコツコツやっていたら
報われるんだ、そんな気持ちにさせてくれる。
 この映画に限らず、いわゆる"脱獄もの"は大好きで、海外ドラマでもプリズンブレイクが圧倒的1位である。

2.めがね
 もたいまさこ、小林聡美、加瀬亮……めがねの人たちが出てくる"なにも起こらない"映画。なにか映画らしい展開を求めている人には向かない映画だけれど、僕にはなにも起こらないことが心地いい。だってごはんは美味しそうだし、南国特有の島のゆったりとした空気感は、それだけで地面から1cmくらい浮いたようなふわふわとした多幸感をもたらしてくれる。特別なことって、なにもいらないんだね。というか、特別なものって、いつもそこに落ちているのかもしれない。そして、それを拾えるかどうかは自分の心持ち次第なのだな。

3.聖者たちの食卓
 インドには毎日10万人分のカレーを仕込む寺院がある。しかもそれは無料で振舞われ、作り手は300人のボランティア。野菜の皮がむかれて、それらが切られ、材料の山がうず高くなっていく様を見ていると「人間てすげー!」と素直に感心してしまう。みんなでつくって、みんなで食べて、みんなで片付けるというシンプルな行為は、気持ちをすっきりとさせてくれる。これが精神衛生上とてもいい。それにナレーションもなく、BGMもほとんどかからないことで臨場感が生まれ、自分もそこにいるような気分になれるのもいい。

4.女神は二度微笑む
 インドに出かけて消息不明となった夫を捜すイギリス在住の妻(エキゾチック美人)。謎が謎を呼ぶサスペンスと言ったところか。これを見たのは確か大阪だったか。何年か前に高速バスでの移動の隙間に見たものだった。初インド映画。インド映画といえば、歌って踊るみたいなイメージ(だいたいそうだと聞いている)だけれど、歌いもしなければ踊りもしない。終始、シリアスな展開が続く。ストーリーは前後もあやふやで断片的な記憶なのだけれど、最後に一気に押し寄せてくる解答の濃さにびっくりしたことはよく覚えている。Netfrixでも見られるそうなのでぜひ。もっかい見たい。登録してないけど。

5.ウトヤ島、7月22日
 これは最近なのでめちゃくちゃ覚えている。去年6月に高松に行った時に見たものだ。旅先の小さなで映画館で映画を見るのが好きで、このときもそうだった。みなさんご存知だろうか。2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で起こった無差別銃乱射事件のことを。ぼくはこの作品を見るまで、全然知らなかった。2011年と言えば日本も混乱の中だったから仕方がないと言えば、そうなるかもしれないが、それにしてもである。話はこうだ。ウトヤ島でサマーキャンプに参加してた10~20代の若者69人の命がひとりの男によって奪われたのだ。その事件を、生存者の証言に基づき97分間の本編のうち、事件の発生から収束までの72分間を主人公カヤからの視点でワンカットで描いている。もう生きた心地がしなかった。銃声、逃げ回る人々、混乱。恐怖、とまどい、あれもこれも全部。すべてがありありと感じられてリアル過ぎるのだ。衝撃的作品過ぎた。
 映画館を出ても、気持ちのおきどころがなくて、僕は夜の高松を2時間くらいさまよっていた。

(やまのひつじ)

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