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お笑いのある世界に生まれてよかった

 こんにちは。お久しぶりです。皿です。
最近は何をするにも気分が乗らず、それと並行してnoteの更新もできておらず。久々に書きたいという気持ちを奮い立たせてくれたのがM-1グランプリ2020でした。

 みなさんはご覧になりましたでしょうか?

 ここから先はご覧になった方々向けの内容になると思います。(※ガッツリネタバレがあります)
 専門家でもなんでもないですが、大好きなお笑いから沸き出した感情や考えを書き留めておきたかったので記します。

◼️内容

1.ネタの感想
2.漫才とは論争について
3.終わりに

1.ネタの感想

 改めて今年の大会は素晴らしいものだったと思う。多種多様なかたちの漫才が揃った、見応えたっぷりの大会だった。

 決勝組の感想を出番順に述べる。素人感想なのでかる~く読み流してください。画像はM-1グランプリ公式ツイッターのものです。
※コンビ名をタップするとYouTubeのネタ動画に飛びます

インディアンス 「ヤンキー」

 向日葵のような漫才だった。底抜けの明るさとずっと前に進んでいく感じ。止まらないボケの応酬に「笑わされてしまう」状態だった。
トップバッターに来てくれてよかった。インディアンスのおかげで会場の緊張状態がほぐれたと思う。国民もインディアンスも最高~~!

東京ホテイソン 「謎解き」

 フォーマットは変えずに、でも既存の枠内で進化をしていくスタイルが素晴らしい。「ケシゴムコスコスコスコスパーティ」なんて言葉使う機会はないけど人生のどこかで急に言いたくなる。
 点数が思っていたより低くて驚いた。全員終わった後に点数をつけていくシステムだったとしたら、確実に順位が変わっていただろうと思う。

ニューヨーク 「面白い話」

 ニューヨークの悪さがよく出ていて、らしいネタだった。「(軽犯罪的なことを)やってても普通言わんやろ」が前提なのがまず悪い。でも、ちゃんとおもしろい。準決勝での軽犯罪ボケはもう少しエグみがあったので、自分達のスタンスを確立しつつ、地上波向けに寄せることができる調節のうまさもすごいと思った。
 最終ラウンド落ちが確定した時の屋敷さんの“無”の顔、何度見ても面白い。

見取り図 「マネージャー」

 しゃべくりと物理的暴力を交えた漫才。巧みな言葉づかいもインパクトのある動きも、伏線回収もちゃんと取り込む、その器用さに感動した。おんもしろいねぇ。リリーさんの「ゴボウ前」という噛みをネタ終わり後のトークで「砂利でうがいした」ことにして取り返す対応力。平場も強い見取り図をもっと全国ネットに出しておくれ。

最終ラウンドネタ「故郷」

 最終ラウンドのネタもよかった。相手の故郷を蔑む傷の負わせ合い漫才。見取り図の得意技「○○って誰(何)~?」は、一度見る側の分からなさを残したまま進行するので、相当高い技術がないと難しいと思う。東京の芸人さんの勢いが凄かった中でのコテコテの関西の香り。たまらなかった。第3位、おめでとうございます。

おいでやすこが 「カラオケで盛り上がらない」


 「寝て起きたら漫才しか残っていませんでした」のつかみ、好きすぎる。お互いのピン芸のよさを薄めることなく合体させていてよかった。小田さんのキレ芸は唯一無二だ。人が怒っている姿なんて不快でしかないはずなのに、なんであんな面白いんだろう。不思議。

最終ラウンドネタ 「バースデーソング」
 歌っているこがけんさんに小田さんがキレるという構造は変えずに、テーマのみを変えた決勝ネタ。あんなバチバチにキレている小田さんの横で気持ちよく歌い続けるこがけんさんの異常性も癖になっちゃう。ユニットで決勝まで行くのは伝説になりそう。おめでとうございます。

マヂカルラブリー 「フレンチ」

 2018年の敗者復活戦でも披露していたこのネタ。おいでやすこがのネタのウケを見て、CM中に「吊革」とネタ順を入れ替えて、先にこのネタをやったらしい。凄い判断力。
 ドアに生身でブチ当たっていくところも、店長の心臓を握っているところも、野田さんがやってると不思議とあり得そうでおもしろい。終わり~~~🍴
 上沼さんの94点で、自然と涙を流してしまった。いいシーンだった。

決勝ラウンドネタ「吊革」

 優勝を決めたネタ。今まで(恐らく)中央線に乗ったことはないけど、絶対にあんな列車ではないことだけは分かる。苦しいくらい笑わせてもらった。MCの今田さんが、司会進行が困難になるほど笑っている姿もよかった。ほんとうに素晴らしい漫才だった。優勝おめでとうございます!

オズワルド 「改名」

 本来はつかみで終わるはずの個人名をネタにした漫才。名前だけで4分間面白いってすごいなあ。穏やかなはずの伊藤さんのツッコミが確実な怒りに変貌していくのが面白かった。「静かであれ」「もっとうるさく」という意見の板挟みは気の毒だったが、これからのオズワルドをもっともっと見ていたいと思えた。考えてみれば自分の名前も4/6があ段。改名しようかな。

アキナ 「地元の女の子」

 憎たらしい山名さんのボケと、怒っちゃいるけど優しさを感じさせる秋山さんのツッコミ。アキナらしいネタだったと思う。お二人が「(ネタがスベったのにカッコつけたことをして)恥ずかしい~!!!」というムーブを自分達で創りだしているので、今回のネタは面白かったことにするより、スベっていたという空気感をこちら側が作ることでそのノリがより爆発力のあるものになるのでは、と勝手に思っている。やり方がうまい。アキナのお二人のアツい芸人魂を感じた。

錦鯉 「パチンコ台になりたい」

 「おっさんずバカ」というキャッチコピーにすべてが詰まっている。馬鹿だな~。レーズンパン、そんなに見た目で損してないしな。技術とか間とか構成だとか、そんな細かいことはもうどうでもよくて、はちゃめちゃに笑わせてもらった。まさのりさん、隆さんのことをいつの間にか大好きになってしまうネタだと思う。これからも元気でいてください。
あと、ツイッターで見たCRまさのりプレミア演出がおもしろかった。

ウエストランド 「マッチングアプリ」

 井口さんの目の奥、本当に漆黒で怖い。“復讐”という言葉があまりにも重い。河本さんはメンタルが強すぎる。ひっくるめて結局笑っちゃう。たぶんこれから淘汰されていってしまうタイプのお笑いだけど、ときたま欲しくなる刺激だ。井口さんの過去の事件を知っている人とそうでない人とでは女性関係のネタのウケ量は違っただろうなと思う。復讐はどの芸人さんにも当てはまっていて、トリがこのネタだったことで、全芸人のネタの伏線回収になっていたなと勝手に思っている。あ~面白かった。

2.「漫才とは?」論争について

今大会に関して、主にインターネット上で「漫才とは?」論争が勃発している。

「漫才とは?」みなさんはどう考えるでしょうか。

 ここからは私論になる。私は、昨年のミルクボーイ優勝時に松本さんが仰っていた「これぞ漫才というものを見せてもらった」という発言から、しゃべくりかつインパクトのある漫才がこの大会で評価されやすくなっているのではないかと感じていた。だからこそGYAO!の3連単は1,錦鯉2,オズワルド3,東京ホテイソンで踏んでいたし、敗者復活戦も金属バットカベポスターからし蓮根に投票した。「漫才とはしゃべりが基本」思考の持ち主だった。

 しかし、今大会が終わって余韻に浸りながらじっくり考え、いろんな漫才や意見を見る中で

①マイクがセンターにある
②二人以上
③掛け合いがある

 この条件がそろっていればもう漫才だと思えるようになった。③の掛け合いに関しては、マヂラブのようなノンバーバルの掛け合いも含む。マイクを挟んで、体ひとつで、ボケてツッコんで笑わせる。その構造さえあればもうなんだって漫才ではないだろうか。

 プロが散々考え抜いてきたことを改めて自由に素人が考えてみる。そんな時間があってもいいと思う。もっといろんな意見を聞いてみたい。

3.終わりに

「おもしろい」というひとつの感性を動かす芸術である「お笑い」を競技化すれば論争が起こるのは当たり前だ。どんな考えがあってもいいし、あるからこそ文化が盛り上がる。だけど、「この面白さが分からんなんてセンス無いw」「こんなので笑うやつは××だな」というような感性の潰し合いはよろしくない。これではお笑い文化が衰退してしまう。自分の感性も他者の感性も大切にすべきだとは思う。

 お笑いを社会の大部分で共通の話題にできるM-1グランプリはやっぱりすごい。このどんよりとした世の中を笑いで包みこんでくれる芸人さんもすごい。お笑いを軸に生きている私にとって、この一年は特に、芸人さんたちに支えられたといっても過言ではない。

「お笑いのある世界に生まれてよかった」

(2019年KOC 空気階段・水川かたまりさんのコメントより)
この言葉は、私の中でいつまでも守り続けたい言葉である。

 全芸人・視聴者に笑いの魔法と愛と勇気を届けたマヂカルラブリー、改めて優勝おめでとうございます!

【追記】
今回のタイトル画像は敗者復活戦出番順抽選会でのランジャタイ国崎さん。突飛なボケがおもしろかったので。敗者復活戦についても、のちのち書きたい。

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