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習熟のジレンマ/習熟とマンネリは紙一重

私たちは、芸事に仕事に、習熟しようと力を尽くして頑張ります。ところが、習熟を達成したとたんに、足元にはマンネリという落とし穴がポッカリ開いている。これが《習熟のジレンマ》。GAVIさんの投稿記事『ジャズが教えてくれた中間管理職の「学習することへの不安を減らす」具体策』と『ジャズが教えてくれた中間管理職の「学習することへの不安を減らす」具体策』を参照しつつ、習熟のジレンマについて考えてみたいと思います。以下、煩雑さを避けるため、敬語を使わずフラットに書きます。
トップ画像出典はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=hpBPUapfxag


1.参照するGAVIさんの記事

以下、『ヒップホップと……』を《記事1》、『ジャズが教えてくれた……』を《記事2》と表記します。


2.習熟すると、変わりたくなくなる


GAVIさんは、《記事1》の中で、ある時期のエアロ・スミスを次のように評しています。

1970年代半ばに絶頂期を迎えていた エアロスミス
1979年 ギターリスト ジョー・ペリー脱退
1981年 ギターリスト ブラッド・ウィットフォードも脱退
80年代前半には 忘れられたロックバンドに

1984年 エアロスミスは オリジナル・メンバーに戻って 8thアルバム『ダン・ウィズ・ミラーズ』をリリースしましが ヒットせず、、、

(太字部は楠瀬が太字化)

私は実は音楽にはうとく、エアロスミスも「『アルマゲドン』のあのバンドね」という認識しかないので、大変な勘違いをする危険を冒しているかもしれませんが、強引に言ってしまいます。

エアロスミスは《彼らのロック》に習熟しすぎてマンネリ化し自己複製を繰り返していたのです。

彼らとて、最初は手探りだったと思うのです。それは、音楽映画に描かれたミュージシャンたちの下積み時代を見ていて感じることです。

プロとして立つためには、演奏と歌唱の技術に磨きをかけなければなりません。しかし、優れた技術だけではステージで輝くには不十分なことを、これらの映画は教えてくれます。
なぜなら、上手なミュージシャンなら星の数ほどいるから。その数多の星々のなかで一等星として輝くためには、独自の、そして聴衆にとって魅力的なスタイルを確立することが不可欠です。

彼らは腕を磨き、スタイルを確立してスターダムに上っていきます。無意識のうちに身体が独自のリズムを刻み、独自のメロディーを奏でるようになる。これが習熟です。《無意識のうちに身体が》というところが、ミソです。

PC
を使い始めたころを思い出してください。キーボードに向かって、文字位置を確かめながらぎこちなく打っていたのではないでしょうか? それが習熟すると、文字配列を意識することなく、目を画面に向けたまま流れるように文字を綴れるようになる。

ところが、国際的な技術標準機関のようなものがあって、キーボード上の文字配列を変える検討を始めたとします。新しく購入するPCでは文字がこれまでと違った位置にくるのです。
世界中で反対の声が沸き起こるでしょう。だって、そんなことになったら、過去に積んできた訓練と苦労が水の泡ですから。

つまり、経験を積んで技術に習熟した人間は、それを変えたくないのです。ここでいう技術には、身体の技だけでなく感情や思考の様式も含みます

《記事2》で、GAVIさんは、次のように言います。

企業・組織内に
『このままでは生き残れないので何とかしなくてはいけない』
と”危機意識”の拡散に成功してたとしても
「新しいことには 新しい勉強が必要なんだろ? 年配のオレには 今更感もあって 出来る人に任せておけばいいんじゃない?」
そして 実務を若い社員に任せて 実行の可否判断を迫られると
「今 この方法で実施するのは 時期尚早だ もう少し分析しよう」

これは、すでにこれまでの仕事の仕方に習熟した人間の「変わりたくない」感情の発露だと私は考えます。
そして、ここで忘れてはいけないのは、

※オジサンたちは、無能だから変われないのではない。過去に有能だったから変われないのだ

ということです。それが、過去のしがらみがない若い人たちがオジサンたちを評価す津と《過去に有能だったから》の部分が抜け落ちて

※オジサンたちは、無能だから変われない

となるのです。

私は、オジサンたちは変わらなくてもいいと言っているのではありません。変わらないとデッドエンドです。主体性を持って生き生きと働き続けたければ、オジサンは変わるしかない
では、どうやって変わるか? それが次の3のテーマです。


3.習熟した人間が、どうやって変わるか?


答えはひとつ。新しいものを拒まず自分の中に取り込むのです。《記事1》で、GAVIさんは、エアロ・スミスの復活を次のように説明しています。楠瀬が一部加筆しました。また、太字部は楠瀬が太字化したものです。

ヒップホップ・グループ 【RUN DMC】は
♬Walk This Way♬ (エアロ・スミスが1975年にリリースし、ヒップホップファンの間で人気だった曲)のリフをサンプルして 独自の曲を作ろうと思っていた矢先にプロデューサーのリック・ルービン(デフ・ジャムレコード創業者)から
「♬Walk This Way♬のオリジナル歌詞と同じリリックでカバーをしたら面白いんじゃないか?」と提案されたんです
【RUN DMC】は 当初
「いやいや、さすがにロックとラップの融合みたいなのやりすぎだよ!」
と難色を示したのですが、この曲が大ヒット
ヒップホップの新たな扉を開いた 破壊的イノベーション
この曲に力を借りて エアロスミスは ロック・シーンの最前線に復活!

《記事1》からビデオもお借りします。

水と油に見えたものが融合して馥郁たる美酒が生まれたことを如実に示してくれる素晴らしいビデオです。

この曲の成立過程をGAVIさんは

【おじさん(リック・ルービン)】 と 【若者(RUN DMC)】そして【おじさん(エアロスミス)】のダイバーシティ&インクルージョン

と形容しています。

オジサン ✖ 若者 ✖ オジサン=イノベーション

だったわけです。

大丈夫、オジサンは変われる!

と自分に活を入れて、この稿を締めくくりたいと思います。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

『習熟のジレンマ/習熟とマンネリは紙一重』おわり



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