幸せに生きる

ここからは、少し元気になってから読んでください。
 
ここまで、さまざまな検査や薬や治療法を紹介してきました。もし、あなたに合うものに出会えたなら、きっと活動できる時間や、動ける距離は増えていると思います。
 
まだ完全には、ふだんの生活を不自由なく送ることは難しいかもしれません。でも、朝早めに起きて、ひとりで外出できる日もあるのではないでしょうか。
 
以前より動けるようになったいまこそ、自信をもって立ち上がり、以前からやりたいと思っていたことを試してみましょう。気軽に始めて、無理ならあっさりとやめればいいのです。
 
治療のゴールは、症状や疾患そのものがなくなるだけでなく、その人が幸せに生きることにあると思います。
 
私たちは、幸せになるように生まれてきています。
 
幸せの定義はひとによって大きく異なるでしょう。それでも、誰もが社会との関わりなしには生きていくことができません。
 
私たちは複雑な「縁」に結ばれたつながりの中で、絶え間なく、ものや気持ちのやり取りを続けながら暮らしています。
 
あなたの周りを見渡してみてください。肉親やパートナーなどの身近な人たち、そばにいなくても、手紙やメッセージで支えてくれた人たち、直接ではないけれど、振り返ってみると大切な役割を果たしてくれたと思える人たちがいるはずです。
 
いまは、あなたがその人たち、ましてやもっと大きな「社会」に、何ひとつ貢献できる気がしないかもしれません。
 
でも、その人たちからの好意を喜んで受け止めることが、相手にとって何よりの「ギフト」になっていることを忘れないでください。
 
また、何かを得ることによって感じる幸せは、意外とすぐに醒めてしまうことが多いようです。私の経験からいっても、自分のほしいものや、地位や評価のためだけにがんばるのは、限界があります。
 
逆に、自分から何かを「与えた」ときのほうが深く、そして長くこころが満たされるように感じます。
 
いつか、あなたが誰かのために行動するとき、もしくは動かざるを得なくなるときがあるでしょう。そのときはきっと「与える」幸せを実感できると思います。
 
POTSの症状は、完全になくすことは難しいかもしれません。それでも、あなたはあなたらしく幸せに生きられます。
 
自分がやりたいことは、自分にやらせてあげる。無理なら、やめればいいだけ。
 
いまは、頭も体も思いどおりに動いてくれないかもしれません。でも、がんばっている自分を愛し、信じてあげましょう。
 
自分ファーストでいいのです。
 
どうか、この世界にたった一人しかいないあなたを大切にしてください。


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