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服と相思相愛になる

私の同僚にヨーロッパ系の男性(30歳くらい)がいるのですが、彼は徹底したミニマリスト。服はセカンドハンドのお店で主に買っているようで、持っている服の枚数は増やさない。よっぽどのことがない限り服も買い替えません。
先日、彼の着ているセーターの肘に穴が開いていました。それを見つけた
同僚が指摘すると、「この間この横に開いていた穴を塞いだんだけど、また穴が開いちゃった」とのこと。同僚があきれて「もう、そんなにボロボロなら新しいセーターを買えばいいじゃない」と言ったら、彼は「僕のこと知っているでしょう?よっぽどのことがない限り買い換えないし、それにこのセーター、暖かくて気に入っているんだよね」と答えたのでした。確かに見ると品質のよさそうなモスグリーンの丸首のセーターで、袖と首元はベージュで縁どられ、なかなか良いデザイン。彼にとってはきっと着心地も良く、ずーっと愛用しているブランケットのように安心するものなんだろうなあ、とほほえましく思いました。どこで買ったんだろう?ご両親から贈られたセーターで、それをずっと大切に着ているのかな?それともお父様のお下がりとか?と勝手に想像が膨らんでいきました。
なんか、こういうストーリーのある服っていいですよね(って勝手にストーリーを作っていますが 笑)。服と着ている人との間に愛がある。そしてそれは見る他の人にも伝わる気がします。
今の世の中は安くて小ぎれいな服であふれていて、あまり思い入れを持たずにそういった服でさくっとワードローブを揃えることももちろん可能です。金銭的に余裕がない時はもちろんそれでいいし、服に思い入れがない人だって、それはそれで生き方だと思います。
でも私は服と相思相愛の関係を築いていきたいなあ、とこの同僚を見て思いました。彼は取りたてておしゃれではありませんが、服に限らずモノを丁寧に選んで、一つ一つのものを活かし切っていて、見ていてすがすがしいのです。
さて、相思相愛になれる服って、どんなものか?これは人それぞれだと思いますが、私にとっては愛を持ってデザインされたもの、良い素材、丁寧な縫製、作り手の顔が見えたり、販売している人に愛があること、そして何より着心地がいいことが挙げられます(値段は関係ありません)。だから、出来る限りお店に行って現物を見て買うようにしています。
そういう服をまとっていると、なんだか守られているような、ほっとした気持ちになります。そして自分がウキウキと気分よく着ている服はたいてい褒められます。
服選びって難しくて、何年たっても失敗することもありますし、ワードローブ作りに終わりはありません。でも、これからも値段に関係なく、惚れ込んだ服だけを迎え入れて、それこそ肘に穴が開くまで着続けられたら、それが私にとっての究極の理想です(なかなかそこまで行きつきませんが…)。そしてもし、私のもとで天寿を全うできなかったら、責任を持って次に着てくれる人に手渡せるように、心掛けていきたいです。


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