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創作裏話

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小説、ショートストーリーの執筆過程やきっかけなど裏話をまとめました。今この世界のどこかに暮らしている誰か、というイメージで書くことが多いので、執筆自体よりも取材や事前調査に時間を… もっと読む
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坊っちゃん文学賞に応募した猫の作品

第19回坊っちゃん文学賞は、2022年9月30日に応募締切、2023年2月に結果発表と授賞式がありました。 審査員長は愛媛県松山市出身のショートショート作家、田丸雅智氏。 400字のショートショート投稿サイト、ショートショートガーデンの運営もされていて、今回最優秀賞を受賞したそるとばたあさんもその繋がりでTwitterの相互フォローさせていただいています。おめでとうございます! 私の応募作品は入選しなかったので、noteで無料公開しています。 読んでいただけたら嬉しいで

2021年に応募した文学賞の記録と創作話

ようこそ、ケイです。 小説を書いてこのnoteで公開し始めて、もうすぐ4年になります。 いつか賞を取りたいと思って文学賞に応募しています。2021年に取り組んだ小説とその結果について備忘録も兼ねてここで紹介します。 第18回 坊っちゃん文学賞応募総数6,952点というさすがの数で、すっかりショートショートの登竜門のような存在になっています。 審査員長はショートショート作家の田丸雅智さん。意欲的にショートショート界を盛り上げている方で、文学の裾野を広げて実力者の底上げにつな

商店街シリーズまとめ

自分の中で「商店街シリーズ」と呼んでいる作品があります。 駅前にある少し寂れた商店街を舞台に、出勤する人、働く人、通りすがりの人、お互いを知らなくてもちょっとずつ関わりのある人たちの視点で書いたショートストーリー集です。 それぞれ一つの作品として単品で読めるようにしていますが、連作として見るとまた違ったストーリーや裏話を知ることができるようになっています。 noteを始めて間もない頃に書いた1作目から先日公開した5作目まで、スピンオフ的な1作品、そして"隠れ商店街シリーズ

埼玉への取材計画

取材に行きたいなぁ。 今は本当に便利な世の中で、ネットで検索すれば大抵の知りたい情報は出てきます。 でも創作は、想像と情報だけでは不十分で、実際にその場に立って同じ状況と奥行きを肌感覚で味わないと埋まらない空間があるのです。作品に直接記述されなくても、登場人物が立つ場所には空気と風景と音の立体感があるはずだから。 今行きたいのは、通勤時間帯の駅。 私は電車での通学・通勤の経験がありません。日常としてその行き来がなされている場に立ち会いたいと思いました。 都心すぎず、その

その場所でしか育たないもの

このところ、なぜか小説を書いていることについて書いたnoteにスキが増えています。爆発的に、という感じではなくて、ちょくちょくコンスタントにきてる感じです。 そのついでだと思うけど、固定noteにしている『ヨーグルト』にもアクセスがついてたりしてます。 ご覧の通り、人気のある書き手の方と比較するととても少ないんですが、それでも私にとっては「何かあった?」「どこかで紹介されてるのかな」と思う程度には、知り合いの知り合いっていう感じでもない心当たりのないアクセスがあります。

文学賞に応募しました

9月30日が締め切りの二つの文学賞「坊っちゃん文学賞」「星新一賞」に、昨年に続いて今年も応募しました。 応募の励み坊っちゃん文学賞が4000文字以内、星新一賞が1万文字以内と、どちらもショートショートの賞なので、参加しやすさもあってか応募数もそれなりに多くなっています。特に坊っちゃん文学賞はショートショートの賞にリニューアルされてから応募数がうなぎのぼり。 どちらも知名度があり、かなり難関な文学賞になっていると感じられます。 作品を完成させて応募を完了するという最低限のミ

2020年に応募した文学賞の結果と振り返り

2020年に応募した文学賞をまとめます。 どれも審査を通過しなかったので、無料公開しています。 第17回 坊っちゃん文学賞夏目漱石ゆかりの地、愛媛県松山市が主催する「坊っちゃん文学賞」。 2020年度(第16回)からは愛媛県出身の田丸雅智氏が審査委員長となり、ショートショート専門の賞になりました。 過去の受賞作および田丸氏の作風から、ファンタジー色のある作品を書いて応募しました。 元々400字のショートショートガーデン向けに書き始めて、文字数が収まらなかったため寝かせ

信州の暮らしを描きたい

ようこそ、ケイです。 小説書きを名乗っている私ですが、昔からおえかきが好きで、日常4コマや創作の設定などをノート(物理のほう)によく手描きしています。 絵のレベルとしてはマンガ家やイラストレーターといった本業の方に比べたら本当にらくがきのようなものです。個人的には表現の一つとして楽しんでいます。 今回、信州のことを描いて発表できる良い機会になるかもと思い、noteで2020年12月に行われた第2回コミックエッセイ大賞に応募しました。 その制作までの流れを紹介します。

『自己紹介』商店街シリーズ第3話

オレンジのカーディガンが似合う彼女はいつも同じ電車にいて、同じ駅で降りる。 時々目が合う。お互いにスッと目線をそらせるけど、彼女も僕の存在に気付いていると感じていた。 ある日、電車を降りて改札に向かう途中、肩にリュックを引っ掛けた男が駆け足で階段を登ってきた。 危ないなぁと思ってすれ違った直後、リュックが彼女にぶつかった。 男と彼女はあっと振り返って見合ったが、よほど急いでいたのかリュックの男はそのまま階段を駆け上がり、僕たちが乗っていた電車に駆け込んだ。閉まりかかっていた扉

小説書きの文学賞と締め切りまでの話

ようこそ、ケイです。小説を書いています。 この秋、文学賞に2つの作品を応募したので、その記録をここに残します。 手ごたえも結果もまだ何もありません。 書き始めは夏の初め創作小説を初めて公開したのは2018年夏。 2019年に文学賞に初めて応募して、2020年の今年も文学賞の応募を目標の一つに定めました。 ターゲットは秋に締め切りのある文学賞です。 応募作の構想を立てたところで、山籠もりをして集中して小説に向き合う時間を持ちました。 本格的な着手はこの時になります。

夢の世界からやってきた『線路』の物語

ここでいう夢は、将来に対する希望や願いではなく、睡眠中に見る幻覚の方です。 科学的な証明や裏付けもない属人的な現象で、かといってオカルト系の話でもなく、例えば「散歩していたらアイデアが降ってきた」みたいな話としてお読みください。 私はとても明確な夢を見るタイプで、しかもどんなにおかしな状況でも夢の中ではそういうもんだと思って成り行きに従って行動してしまいます。 目覚めて夢だったと気付いたとき、ついに夢で小説を書くレベルまで来た!って思いましたね。(言うほど書いてないのに

花束に包まれた『誕生会』のために私は文字数と闘った

(株)ベルモニーと南海放送の主催するショートショートコンテスト「節目」に応募した作品が、ベルモニー賞を受賞しました! 審査員の皆さま、関係者の皆さま、ありがとうございます! 『誕生会』本文公開 感想いただければ嬉しいです。 構想と執筆営業をしている知人から住宅街を巡る大変さを聞いたことがあって、何かほっこりするイベントに出会えないかなと思ったのが発想の元です。 テーマ「節目」のコンテストに応募するにあたり、年を重ねても奥さんが大好きなおじいさんのお話にしました。

初めて応募した文学賞と創作記録

ようこそ、ケイです。 短編小説を書きnoteを中心に公開し始めて、1年半ほどになります。コンテストにも何度か応募して、中には受賞した作品もありました。 でも小説家と名乗るのであれば、もっと公式な賞が欲しい。 そこで焦点を当てたのは「第16回坊っちゃん文学賞」でした。 今回から4000字以内のショートショート文学賞となり、審査員長は400字ショートショート投稿サイトSSG(ショートショートガーデン)主催の田丸雅智先生です。 ここでは、作品を書き上げて応募するまでの創作ウ

この手から物語が生まれるとき

ようこそ、ケイです。 今月はサトウカエデさんの小説『終わりの電車の向こうがわ』の登場人物を主人公にしたB面を書かせていただくという、大変貴重な体験をさせていただきました。 嶋津亮太さんが開催されている「 #教養のエチュード賞」への参加と合わせて、私の執筆経緯を書くことにします。 奇跡コラボのはじまりまず、サトウカエデさんの小説『終わりの電車の向こうがわ』が公開されたのがすべての始まりでした。 大人の恋愛、いやこの狡さを恋愛と言っていいのか、この作品で表現された心理は多