ケイ

短編小説、ショートストーリーを書いています。作品名には『二重カギカッコ』をつけています…

ケイ

短編小説、ショートストーリーを書いています。作品名には『二重カギカッコ』をつけています。受賞歴はプロフィールにまとめました。創作のほか、旅行記、SUBARU乗りのカーライフについても書きます。テーマは「本」と「旅」。アイコンはリト@葉っぱ切り絵さん。

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  • 視聴感想

    ドラマ、映画、アニメなど映像作品の視聴感想をまとめます。

  • 短編小説、ショートショート

    短編小説、ショートショートはこちらにまとめています。創作作品はタイトルに『二重カギカッコ』をつけています。

  • 呑みながら書きました投稿まとめ

    3ヶ月に1回の「呑みながら書きました」通称呑み書きに投稿した記事をまとめます。自分の好きなものについて、飲みながら推敲せず一気に書いています。誤字少なめ、尻切れ多め。

  • 商店街シリーズ

    駅に続く商店街を中心に、行き来の中でちょっとずつ関わりあう人たちの出来事をそれぞれの視点で書くショートストーリー集です。

  • 旅行記

    日本各地に出かけた記録をまとめていきます。

最近の記事

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『ヨーグルト』

「また!ない!」 大声を上げて、冷蔵庫の扉を力いっぱい閉めた。 ドカンと大きな音がして、私の身長より高い冷蔵庫が揺れた。 中からはガシャガシャンと激しく瓶が当たる音と、ゴロンと何かが転がる音がした。 力加減を間違えた。 一瞬焦って黙った私に、リビングから「食べた」と声が聞こえた。 反省の色もない、落ち着いた低い声。 わざとだ。 怒りが湧き上がりながらも、冷蔵庫をそっと開けて被害状況を確認する。 ドアポケットから飛び出したスパイスの小瓶がいくつか、ラップのかかったお皿に

    • 空いた日は手紙書き

      もともと筆不精なのと、最近ではすっかり手軽なLINEやショートメッセージなどで近状連絡をする習慣がついてしまったので、手で書く手紙がなかなか進みません。 ご年配の親族などとの連絡は今も変わらず手紙か電話が主流なので、空いた日にまとめて進めます。 写真の現像(これも膨大なデータから選ぶところからなので準備に時間がかかる)、写真の裏に日付とコメント(1枚1枚手書き)、手紙の下書き(iPad)、便箋に清書、封筒に宛名書き、手紙と写真を入れて封をして切手を貼って、投函。 ざっと書

      • 映画『悪は存在しない』の不穏

        現在上映中の映画『悪は存在しない』を観てきました。 正直に言うと、私にとっては大変難しい映画でした。 この映画に興味がある方は、ぜひ予告以上の内容を知らない状態で劇場に行って、まずはそれぞれ自分の感想を持って欲しいというのが一番です。 このnoteの中でもネタバレに当たる部分には触れないよう心がけます。 舞台が長野県の自然に囲まれた里山が舞台です。湧き水を汲み、野草を採り、薪を割り、野生動物が身近な生活に、都会からの計画が持ち込まれて変化が起こります。テーマが身近に感じられ

        • 『縁側と猫』

          近くにいた母親と兄弟たちの温もりはかすかに記憶に残っている。 僕が物心ついたときには生まれたときの家族とはすでに離れ離れになっていて、毛の色が違う別の猫たちと一緒にねぐらで暮らしていた。 人間が誰も住まなくなった空き家は、僕たち猫が身を隠すのにちょうどいい。庭は草むらになっていて、行き来をしても外からは気付かれない。木造の扉や雨戸は朽ちて、あちこちに空いた隙間から出入りできる。 僕たちは気ままに軒下で雨宿りをして、南向きに張り出した縁側で日向ぼっこを楽しむ。 「あら、今日

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        『ヨーグルト』

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          変わること、変わらないこと #呑みながら書きました

          こんばんは! 3ヶ月に1度の呑み書きです。 いつもだいたい呑みながら書いているので、誤字脱字は少なめです。タッチタイピングに慣れ過ぎていて、タイプミスを即座に気付いて即座に直すことも含めて頭で考える前に手が勝手にそうしてしまうのです。 その代わり、構成を考えずに好きなことや思うことを思い付いたままに書くスタイルで毎回やってますので、今回もその方向でいきます! 生ジョッキ缶、ポテサラと手羽中の唐揚げでーす。 ええと、退職しました。 割と安定した会社に長年勤めていたので、周

          変わること、変わらないこと #呑みながら書きました

          はじめての電車通勤

          今年に入って転職しました。 長年の安定した正社員生活から、全く別分野の非常勤雇用です。 職場が変わり、通勤方法が変わりました。 私の人生、ずっと地方在住です。 小学校は徒歩、中学高校も自転車か路線バス、大学は徒歩圏内に借りたアパートです。アルバイトのために途中から原付、車を持つようになりました。 社会人になってからも車が必須な地方暮らしで、自身も運転は好きな方だから特に不便も不満もなく毎日ハンドルを握る生活でした。 通勤通学で日常的に電車を使う環境は今までなかったのです。

          はじめての電車通勤

          『オムライス 600円』

          その店に一歩足を踏み入れてすぐ、しまった、と思った。 薄暗くて狭い店内は大きさの揃わない机と椅子が不揃いに並び、それぞれ統一感のない柄のクロスがかけられている。 壁には古い映画のポスターやどこかの風景写真、あるいは有名アニメのイラストが無秩序に貼られていて、その合間を埋めるように色褪せたジグソーパズルがかけられていた。場違いな予感に足が止まった。 他に客がいる様子もない。 「いらっしゃいませ!」 人の気配を察したのか、店内から待ちかねたように元気の良い声がかけられて、私は逃れ

          『オムライス 600円』

          文学フリマに行ってみたい、そしていつか出してみたい

          ちょっと環境が変わって、合間時間がちょくちょく発生するようになりました。 せっかくなので、書いている途中の話を進めたり、新しく持ち歩くツールの工夫もしてみたり。 人に挿絵を頼んで書いている一話1500文字くらいの話が連続で五話くらいになったところ。これ、もう少し続けられたらまとめて紙の本にしたいな。 そして文フリとかに出してみたい。 次にある東京会場の文学フリマは5月。 行けるかな。 行ってみるつもりで計画してみようかな。 *** そうそう、今回はじめて、前から気

          文学フリマに行ってみたい、そしていつか出してみたい

          月と太陽『天国と地獄』

          映画やドラマの視聴記録を付けていこうと思いながら、なかなか続かないので、都度メモすることにします。 最近まとめ見してるのはアマプラで配信中の『天国と地獄〜サイコな2人〜』。 2021年冬ドラマ。 綾瀬はるかさんと高橋一生さんの入れ替わりストーリー。 脚本は森下佳子さん。 シリアスなミステリーとコメディタッチの描写が織り交ぜられて、魅力的なキャラクターが物語を引き立てています。 ドラマ『白夜行』が好きだったので、シナリオや表現に重なる部分を感じながら、安定の面白さでリアルタ

          月と太陽『天国と地獄』

          風の可視化

          真冬の仕事帰り。 職場を出て駐車場へ向かう道で、雪が舞っていた。 低すぎる気温のなかで雪の粒は小さくて軽い。 車に向かって歩いていると、地面から十数センチほどの高さを、帯のように横長にまとまった雪がこちらに向かってきた。 その雪の帯が足元に当たると、風の圧を感じた。 風の形が見えている。 見上げると、街頭に照らされた空中に同じような雪の塊が流れていて、街路樹に当たって葉が揺れた。 冬の風は小さな雪粒によって可視化されていた。

          風の可視化

          よしながふみさんについて語っておきたいんだよね #呑みながら書きました

          3ヶ月に一回の呑み書き、今回も参加します! 今期は『大奥』も『きのう何食べた?』もドラマ化されて、すっかり売れっ子で認知度の高いよしながふみさんについて、知ってることを語りたい。 彼女を最初に知ったのは、Wings(ウィングス)という漫画雑誌。 なかなかアダルトな内容が多くて、そういう寛容さは今思うと時代の先駆者だったかもな。10代の少女が知っていいのかどうかっていう世界が広がっててね。 『西洋骨董洋菓子店』っていう、ボンボンが経営して下僕みたいなグラサン男が仕えてゲイ

          よしながふみさんについて語っておきたいんだよね #呑みながら書きました

          本選びと服選び

          本を読むのも好きだし、本屋も好き。 店頭では話題作をチェックして、興味のあるコーナーで少し試し読みをしたりする。 よく言われるように、最初の数行に目を通してみると興味を引くかどうかの判断基準になる。過去に読んだことのある作者なら内容を想像しながら、はじめての作者なら概略やプロフィールも合わせてみながら、心を惹かれたらそのまま購入する。 迷ったうえで見送ることもある。その後覚えていたらやっぱり買うし、忘れてしまったらそれまで。 期待度に対する結果ははわりと直感が働いているよう

          本選びと服選び

          書くことリスト

          最近、何も手についてない。 毎日忙しいし、時間があればあれしてこれしてと追われているのに、何も残ってない感覚があってもどかしい。 書くことは残る。 よし書こうと思って着手してても書ききれていないのは、書く時間の確保ができていないのと、書く習慣ができていないのと両方ある。 読むのもそう。 本は欲しいときに買わないと忘れてしまうのに、まだ読み終えていない本があるからと手を出さず、次に思い出したときはまた別の未読の本を思い出す。 こんなことをいつも繰り返し考えていて、じゃあD

          書くことリスト

          ありがとう、私の足にあるニューバランス

          遠出が多い私にとって、靴は行動を共にする存在です。 機能さえ満たされていればOKな性格なので「今日はどの靴を履いていこう」という迷いはほぼなく定番の靴を履いています。 お別れのタイミングは靴自体の寿命がくるとき。 かかとが剥げたりあちこち消耗していたものの、履けるうちは履いていました。 先日ソールがめくれてしまったので、これで寿命です。 購入したのは東京のどこだったか、電器屋や本屋が入っているビルの上層階で狭いスペースにあった靴屋。 天気があまり良くない中で、その時履いて

          ありがとう、私の足にあるニューバランス

          夏は山と花 #呑みながら書きました

          こんばんは! 長年SUNTORYの白角から角瓶へとサントリー愛を貫いてきた私ですが、ここにきてなんと伏兵が。 瓶に取り付けて定量を注げるポーラー。オマケに弱い私はつい買ってしまうし、買ってしまったら使うしで、最近ジンビーム率が高くなってしまいました。 味も全然違うから不本意なんだけど、トクトクトク、ポッって定量で止まるのが便利すぎて飲みすぎ帽子にもなるし。まぁ足りなくてもう一回って継ぎ足したら定量の倍になるんだけど。 あと角瓶よりちょっと安いし。昨今の値上がりひどすぎ

          夏は山と花 #呑みながら書きました

          映画『運命じゃない人』を久々に視聴。同じ内田けんじ監督の『鍵泥棒のメソッド』をアマプラで検索してたら見つけた。 みんな少しずつ意地っ張りで見栄っ張りであわよくばと狙いつつ、根が素朴。虚勢も優しさも人間らしい。

          映画『運命じゃない人』を久々に視聴。同じ内田けんじ監督の『鍵泥棒のメソッド』をアマプラで検索してたら見つけた。 みんな少しずつ意地っ張りで見栄っ張りであわよくばと狙いつつ、根が素朴。虚勢も優しさも人間らしい。