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なぜ Dispo と may.kit がクリエイターの可能性を拡張するのか

① デジタル創作物への「著作権意識」の高まり

デジタル上でも、個人の制作物に対しようやく著作権というものが浸透してきました。
というのも、SNS上で作品を公開するクリエイター(映像制作・写真・絵など)の引用に対し、『無断転載NG』などと注意書きをプロフィールに添えたり、無断転載防止を呼びかける投稿などを頻繁に目にするようになっているからです。

例えば、試しにTwitterで [無断転載] と検索してみると、多くのクリエイターらが無断転載に対し注意喚起や非難する様子がうかがえます。

現存する創作物だと「他者が作ったものを無断で複製・販売すること」に対し権利侵害だという意識があるでしょうが、デジタルなものに関してはたったワンクリックでダウンロードできてしまう手軽さもあり、人々の認識浸透に時間がかかったことでしょう。

しかし、ここ数年でデジタル創作物に対しての認識が一気に深まりつつあり、最近の事例でいえば「ファスト映画」(映画の本編を無断で使い、字幕やナレーションを付けて10分程度にまとめた違法な動画)投稿者の逮捕が目新しいものでしょう。その他大々的なものでいえば「漫画村」(2016年閉鎖)や「ミュージックFM」(2018年閉鎖)などが挙げられます。

②「クリエイターエコノミー」の爆発的成長

コロナ禍による自粛期間、自宅に居ることを余儀なくされた私たちは、
余暇時間の多くをデジタルで回遊することに費やしました。

結果、人々の創作活動の意欲増進につながり、ソーシャルメディア上でもクリエイターへの理解・認知・興味関心の高まりを感じ取れます。その勢いを後押しするように、クリエイター資金管理ツールやファンコミュニティ形成アプリ、ストリーミングアプリなどなど、クリエイターエコノミーと呼ばれる市場で数多くのスタートアップが台頭し始めています。

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クリエイターが既存の巨大プラットフォームでユーザーのアテンション(関心・注意)を奪い合うことに終始してしまい、資金獲得が困難になり、持続的活動ができずクリエイターとしての道を終えてしまうことも少なくはなかったでしょう。
素晴らしいことに、そうした状況のクリエイターの活動を支えるスタートアップの力により、マネタイズやファンコミュニティ活性の新たな窓口が誕生しています。

②著作物 × クリエイターのマネタイズ

で見たように、クリエイターのみならずデジタル上に公開されている制作物には著作権を付与することができ、世間でもその認識が浸透してきました。
そして、で見たクリエイターエコノミー市場で台頭するスタートアップらの力により、日々クリエイターに優しい世界が形作られようとしています。

これら①②に関連することがここ最近で際立っています。
まず1つに、言わずと知れたフォトシェアリング・ソーシャルアプリ「Dispo」が撮った写真をNFTとして販売する機能を実装しようとしていることです。(※ 【NFT】ブロックチェーンの一種としてカードや絵、動画などを代替不可能な情報とすること)

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リリースによるとあくまでテスト段階で、ここでのNFTに起用されるブロックチェーンはDispoのパートナーであり、販売できる写真は当然ながらDispo上で撮影したものに限られます。反面、Dispoユーザであれば誰もが気軽にNFTに触れマネタイズを可能にしており、この販売機能によりNFTという新たなマネタイズ方法を探究できます。

こうした意味で、Dispoの新機能にはフォト・クリエイターの新境地を切り開く可能性があると言えます。

ついで2つ目に挙げるのは、この9月に400万ドルの資金調達を果たしたと発表された楽曲制作ソーシャルアプリ「mayk.it」です。(残念ながらまだ国内ではDLできない状態)

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他ユーザーのビートやボーカルをリミックスし自由に楽曲を作成でき、それを元にしたTinderのようなゲーミフィケーション型マッチング機能も実装されています。
制作した楽曲をエクスポートしアプリ外で販売もできるのですが、とっておきは制作に関与した全ユーザー(リミックスにビートやボーカルを起用されたユーザー)が著作権を有し、販売利益は均等にスプリットされるという点。

これにより、著作権を無視した不当なマネタイズを防止でき、制作に加担したユーザーは正当に利益を受け取ることができます。
cookie問題から個人が有する情報の保守に意識が移りつつある昨今、こうした個人の権利を尊重するクリエーション環境を創出したことには多大な価値があると言えます。

③新アプリは「ローカル・クリエイター」だけじゃない

新たなクリエイター市場を生み出そうとするDispoとmayk.itは、
アプリ内というローカル環境でのクリエイティブ活動を可能としていました。
しかし、振り返ってみればこうした「ローカル・クリイター」はDispoやmayk.itの他にも見て取れたはずです。

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例えば、LINE のスタンプや着せ替えは今や企業のみならず一般ユーザーも制作・販売しマネタイズを可能にしています。また、3Dアバターソーシャルサービス ZEPETO では、着せ替えの他にアプリ内ステージを創り上げるゼペットクリエイターという存在が公式的に認識されています。

一見 Dispo や mayk.it もローカル・クリエイターを生み出しているだけのように見えますが、Dispo は NFT を / mayk.it は正当な著作権利益をクリエイターにもたらそうとしています。

これら2つのアプリはマネタイズ手法という切り口からクリイターの活動領域を拡張する可能性を秘めているといえるでしょう。

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