ことぶき

ココア共和国について、本について、日常について感じたことを雑多に書いています。

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    ココア共和国に掲載されている詩を読み、雑多に感想を書いています。

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ココア共和国2023年5月号全記

はじめに 招待詩の欄に変えて、さらっと廃止させていた『はじめに』ですが、今回だけ入れさせてください!「雑記」じゃなく、「全記」に変えた理由を……誰も気づいてないかもしれませんが。 このシリーズ、もう1年以上やってるんですが、徐々に取り上げられる人が少なくなっているなあ、と思ったんです。初回は40篇ほど取り上げさせて頂いたのですが、最近は10篇くらいになってしまっていて。 あともうひとつ、傑作集独特の良さがいまいち掴めていない。いや、感覚的には分かる気がするのだけれど、言語

    • ブログ それからの詩、あるいはマイナーであるということ

      マスカルチャーが群雄割拠している時代である。YouTube、Netflix、Twitter、TikTokのみならず、漫画や小説、音楽、ゲーム、すべてスマホに詰めこむことが出来て、いつでもどこでも楽しめるので人が集まり、人が集まるので金も稼げる。金を稼げるのでまた人が集まる。 この文章を読んでいる人の多くが、詩をもっと広めたいと思っているだろう。僕もそのうちの1人だ。しかし、金なしに社会には広がらない。人は集まらない。自分でも書いていて不愉快だが、おそらくこれは事実だ。 で

      • 猿と月

         月に兎を連れた猿は、ぼんやりと煙草を吸いながら眺めるしかないのでした。森には心優しいドラゴンがいました。小柄で非力なドラゴンの瞳はそれに反して大きく美しく、みんなドラゴンのことが大好きでした。  その夜、森が焼けました。ある者は逃げ、ある者は守り、ある者は火を沈めようとはたらきましたが、二日かかってとうとう森は木々を失い、荒れた野原だけが残りましたが、悲しむ暇もありませんでした。火が起きた夜から、ドラゴンの行方が分からなくなっていたからです。みんな、ドラゴンを夢中になって探

        • ココア共和国2023年4月号雑記

          招待詩『あたらしい空気で部屋を満たす』菅沼きゅうり 前号の『夜は何が食いたい?』でもそうでしたが、作者さんのうんこの使い方に惹かれます。 <彼女のほうはご機嫌だよと言っているけど/一日じゅう長い髪の毛をゆびで梳きながら/映画を見たりだらだら、病んだねことおしゃべりしているのだ。ご機嫌なわけないな。/うんこもしてないかもしれない。/もうそろそろ彼女を訪ねなくては。>この、うんこの箇所。余分なんですよね。いや、補足というか、読者のイメージを鮮明にさせるのに効果的なのですが、こ

        ココア共和国2023年5月号全記

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        記事

          富くじ

          目が覚めたのは陽が射したからでなく、妻に身体の上に乗られていたからだということに気づくのにすこし時間がかかった。 妻は一昨年のクリスマスにやったショルダーバッグを肩にかけ、厚化粧をし、コートを羽織り薄いスカートも履いたまま、息も絶え絶えだった。まだ寝ぼけていたおれは抱きしめようとすると、頬を張られた。妻は涙ぐんでいて、娘が子ども用の椅子に座って卵をぐしゃぐしゃに潰したのを食べているのが見えた。 「どういうこと」と妻が投げつけた通帳を見ると、残金がほとんど無くなっていた。明

          ココア共和国2023年3月号雑記

          はじめに ええと。前号で僕はココアへの投稿をやめてしまったので、自分の詩についてここで話せなくなりました。どうしようかなあ。招待詩をいままで扱わなかったのですが(悔しくて)、そのなかから読みたいと思います。なにしろ書くことがないので。 『愛おしい腕』森崎 葵 この、巡り巡る思考。僕なんかがわかるなんて言うとおこがましいのですが、分かります。 <そんなとき私は昔望まずともちぎれてしまった/あの愛おしい左腕のことを考える/あの土地に埋められたままの左腕は/私が来るその日をず

          ココア共和国2023年3月号雑記

          夜乃やみ(林 やは)著『青に溺れて眠らない』本記

          30以上ある詩を纏めた本を短く評することはとても難しいのだけれど、この詩集にはあとがきがあって、そこからヒントを、いくつかの共通点を見出すことは出来る。 作者が何に重きを置いているのか。これは林やはによって書かれたものではない。夜乃やみ、まだ林やはが林やはでないころに書かれたもので、処女作より前のものである。 とはいえ、同一人物であることは変わりないので、林やはの源泉をたどることが出来るものだ。 まずはあとがきからみていく。 タイトルにある「青」、「眠り」だけでなく

          夜乃やみ(林 やは)著『青に溺れて眠らない』本記

          ココア共和国2023年2月号雑記

          はじめに この号は、2022年12月に投稿されたものが掲載されています。僕はこの号で引退、これきりココア共和国に投稿しないと決めていたので、この雑記で培った力を最大限出して、ココア共和国で評価されるだろうと思える詩を投稿しました。『大けっさく』。結果、秋亜綺羅さんに「傑作だ。天才だ。」と言っていただき、傑作集Ⅰにも載せてもらえました。表紙にも名前が載ってる。やったあ。 引退なのですこしだけ話させてください。この詩をいじくりまわしているとき、アメーバを思っていたんですよ。自分

          ココア共和国2023年2月号雑記

          雑記『君たちはどう生きるか』、あるいは芸術のこと

          『君たちはどう生きるか』。話題になっていますね。僕はほとんどジブリに触れてこなくて、というか映画をほとんど観てこなかったので、この映画の内容について何か言えるような立場にないんです。だからあらすじを書いたりしないし、ここがどうだった、みたいなことも書きません。書けません。でも、まったくあの映画に触れたくない、という方は読まない方がいいと思う(そんな人、そもそもこの記事にアクセスしてないか)。掬った灰汁くらいは書いてしまうつもりだから。 ジブリで、観たと自信を持って言えるも

          雑記『君たちはどう生きるか』、あるいは芸術のこと

          掌編 『マイ』

          最近、全身がぴりぴりしていてどうしようもないんです。というのも、ひどいストーカーに遭っておりまして。 名前はーーまあ、この時代、色々ありますから伏せますが、男性アイドルです。広くメディアに長く出演されている方なので、これを読んでくださっている方で知らない方はいない、と言えるような方だと思います。 私ももう32歳で、しかし男性経験もほとんどない身ですから、ありがたいのですが実家に住んでいるということもあり、非常に迷惑しているんです。 たとえば。私は週3日、タオル工場のアル

          掌編 『マイ』

          掌編 『火を点ける』

          煙草……ガキのころ、おれにはたくさん親戚がいて、どうしてかみんな煙草を吸ってた。おれは何よりクリスマスを楽しみにしていた。みんなが集まるのもあるが、従姉妹の姉ちゃんと会えるのは、クリスマスだけだったから。 姉ちゃんはーー名前はすっかり忘れてしまったーー醜いおんなだった。にきびやそばかすだらけで口の端は汚れていて、糸みたいに細い目に目やにをつけて、鼻はひん曲がり唇は腫れ、いつもよれたタンクトップを着てほつれた短パンを履き、身体は痩せすぎていた。いつだったか、4歳の姪っ子よりも

          掌編 『火を点ける』

          ココア共和国2023年1月号雑記

          はじめに 2022年1月号から始めたこのシリーズも、とうとう1年周ってしまいました。この号では僕は掲載されませんでした。『廃墟に棲む女』という詩で、そうかあ。これはなかなかいいんだけどなあ。 僕は落語が好きで。この詩も『野ざらし』という落語のネタを少しだけ拝借しています。要は、とってもいい女なんだけど、そいつは幽霊なんです。花咲かじいさんよろしく、隣の男がその幽霊を夜部屋に入れているのを羨んだ主人公が、男と同じことをして呼び寄せようとするのですが、「待てよ……幽霊ってことは

          ココア共和国2023年1月号雑記

          雑記 1年で2000編の詩を読んでみて

          ココア共和国という詩誌に掲載されている詩をすべて読み、書けそうなら雑多に感想を書き、見せられそうなら公開する、という試みを去年1月に始めました。 タイトルの2000編というのは、ちょっと曖昧で。ココア共和国2022年12月号が139編、それを15冊としての概算です。けれど、その号によって掲載数もちがうし、でもひとつひとつ数えていられないので。まあ、なんとなくで。 2500よりは少ないんじゃないかな。でも、2000は確実に読んだわけです。それも、普通にさらさらと読むの

          雑記 1年で2000編の詩を読んでみて

          ココア共和国2022年12月号雑記

          はじめに この月に載ったのは、『燃えゆ』ですね。これはキャンプファイヤーの詩です。 なんだかねえ。思いついたときは、「すごい!傑作だ!」と震えるのだけれど、こうして見てみると、インパクトに欠けますよね。だからといってこれをやすやす超えられるものを書けるわけでもなく。難しいな。あ、でも傑作Ⅱなんですね。じゃあいいのか……?偉そうに分析しておいて、全然自分のことは分からないままなんです。 傑作集Ⅰ『カルト』こひもともひこ ことばあそびだけの詩があって、思想を反映するだけの詩

          ココア共和国2022年12月号雑記

          掌編 『蜘蛛』

          リサは初めての女ではなかった。僕らは大学で知りあった。彼女は僕の4歳上で、2年留年していた。どうやって知りあい、どのように仲を深めたのか、何年も経ったいまとなってはあまり覚えていない。 彼女に訊ねたことがある。 「なに言ってるの。バレンタインデーの前日、あなたが同じゼミの池畑くんと一緒に、バレンタインに何か欲しいからって、私と、たまたま一緒に食堂にいたレミに話しかけてきたんじゃない。昼間から酔っ払って、印象最悪だったわよ」 「ちなみに、何時だったか覚えてる?」 「14

          掌編 『蜘蛛』

          ココア共和国 2022年11月号雑記

          はじめに まず、宣伝させてくださいー!木葉揺さん主宰の詩誌『カフェオレ広場』に参加させていただきました。初めて詩誌にお誘いもらったのだけれど、とても楽しかったです。なんか、URLとか貼っつけた方がいいのかな……。木葉揺とか、『カフェオレ広場』とか調べたら、購入できると思うので!とりあえず!買ってください!頑張って散文も書きましたので!参加者みなさんとっても豪華なので!!あとがきで加えてすこしだけ話しますが、そんなの読まなくていいから見てみてね!!!では、自分のものの振り返りか

          ココア共和国 2022年11月号雑記