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サウナの詩を読みます (松戸 湯楽の里)


仕事が終わり、カラダも頭の中も重くグッタリしている。
立ち上がり、車を走らせる。

荷物も衣類も重いものは全てロッカーに脱ぎ捨てて、入口をくぐる。

地元の人々に混じって念入りに体を洗う。
それは自分にとって儀式の前に身を清める行為と同じだ。

カラダの水滴を拭いて、サウナ室の扉を開ける

サウナストーブが目につくところにないボナサウナは
ロウリュウなしでも空気は暖かく柔らかい。

サウナ室には木材と蒸気の香りが充満する。
決して、オッサンの汗の香りではない。

ふと見た温度計は驚愕の100度を指していた

湿度を大量に含んだ柔らかい蒸気にふれていると
まずは二の腕から汗が滴り落ちる。

続いて、胸から腹部に汗の伝ったあとが1本、また1本と無数に増えていく
ナイアガラと呼ばれる状態だ。

身体が十分温まったことを実感し、サウナ室を後にする。

シャワーを最も熱い温度にして全身の汗を流す。
この手順を省略するものには汗流しカットマン!!
という不名誉な称号が与えられてしまう。

戸惑うことなく水風呂に入る。
肩まで浸かりじっとして5秒ゆっくり数える。

冷水と体のまわりに薄い膜が出来あがり、冷たい水風呂も快適に過ごせる。
これをサウナーは神秘的に羽衣をまとうと表現する。

水風呂に身を委ねて2分、足の先がピンっとなる。
全身が冷却された証拠だ。

水風呂を後にして誘われるように外気を求め露天スペースへと出る。

南国を思わせる木の皮で編まれた椅子に腰をかける。
全身の力が抜けて自然と空を仰ぐ。
そこには千葉の夜空が広がる。

そっと目を閉じてしゅんとする。
高温から水風呂で一気に冷やされた体が
外気でゆっくりと常温に戻っていく。

この時、脳はディープリラックス状態に落ち入り
日々の雑念がまるで不安定なパソコンを再起動したように
リフレッシュされる。

この流れを3回ほど繰り返して辿り着くのがいわゆる"整う"という快楽の極みだ
車に戻る、帰路へと着く
その体は動きが軽く頭もスッキリしている。

車を走らせ遠方まできた甲斐があったと実感する瞬間である。

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