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音楽は自分の感情を記録する。

私は何となく2000年頃の雰囲気が好きです。特に音楽とか。

それは当時の自分が大学生で、ひとり暮らしに慣れて自分の趣味や興味に緩く没頭しつつ、不安で楽し気な将来をチラ見していた時期だからなのかもしれません。

当時はサブスクがない時代でしたので、音楽のネタはタワレコで探すのが鉄板でした。そのころ住んでいた松山市には「ラフォーレ原宿・松山」という不思議な名前の商業施設があり、そこにタワレコがありました。

そのころの松山はまだコンパクトシティ的な雰囲気があり、チャリがあれば概ね生活に困ることはありませんでした。なので、休日や学校終わりになると、無印良品で買ったチャリに乗ってタワレコに通うのが日課になっていました。

バイト代の大半はCDと本と携帯電話代に消えていたのですが、割合的にはCDがダントツだったと思います。


音楽というのは不思議なもので、よく聴いていた音楽を久しぶりに耳にすると、あっという間にタイムスリップしたような感覚に陥ります。

例えば昨日のこと、部屋を整理していたらミシェル・ブランチのThe Spirit Roomというアルバムができました。

懐かしいなぁと思いながら久しぶりに聞いてみると、いろいろなことが蘇ってきたのです。

研究室の同級生と話した場面や、ポータブルCDプレイヤーで聴きながら見た風景など。その時の感情をともなって。

私は映像記憶に疎い方なので、過去のエピソードは折りたたまれてしまって、ディテールが消失してしまいます。しかし、昔聴いていた音楽を聴くと、断片的ながら映像と感情が浮かんでくるのが不思議です。


まだ若かりし頃、開発していた製品が導入中に大トラブルになり、稼働支援をしたことがありました。緊急事態ということで、サブリーダーだった自分と手練れのプログラマーの二人で朝一番の飛行機に乗って九州に飛び、そのまま3週間缶詰になったというエピソードがありました。

この緊迫した場面で、羽田空港に向かう電車で聞いていたのがChicaneのBehind the Sunです。アルバムジャケットが空港にぴったりですね。

このとき、緊張と不安と謎の気合いが混じってアドレナリンが出ていたことは間違いありません。

今でもChicaneは大好きでよく聞いていますが、Behind the Sunは特別な存在です。当時のエピソードを思い出しつつ、モードチェンジしてくれるからです。なので、未知のチャレンジで静かに気合を入れるときによく聴いています。


今は中年で大学生の頃とも若い頃とも何もかも違いますが、不安で楽し気な将来を見ているのは同じです。

おそらく今聴いている音楽を10年後に聴き返したとき、様々なことを思い出すのでしょう。

そのとき、あの時は不安もあったけどいろいろチャレンジしてよかったなと思えるようにしたいものです。そうなれば、2000年頃と同じく、2020年代の空気感も好きになることでしょう。

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