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英国裁判所、AIは特許出願において発明者となることができないと判断

英国の裁判所である控訴院(Court of Appeals)は、2021年9月21日、特許出願においてAI(人工知能)は発明者となることができない、との判断を示しました。

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特許出願においてAIが発明者となることができるか否か、という問題については、以前の記事(オーストラリア米国)でも紹介しましたとおり、オーストラリアの裁判所がAIも発明者になることができるという判断を示したのに対し、米国の裁判所はAIは発明者になることができないという判断を示しています。(なお、その他の法域では、これまでに、欧州特許庁が出願を拒絶し、南アフリカでは特許が付与されています。)

英国においては、同じ出願人(Dr. Stephan Thaler)が行った英国特許出願について、英国知的財産庁が、AIは発明者になることはできないとして、出願が取り下げられたものとみなす決定をしました。出願人は、この決定を不服として英国高等法院(High Court of Justice)に上訴しましたが、高等法院が知的財産庁の決定を維持したことから、出願人は更に控訴院に控訴しました。

今回、控訴院を構成する3名の裁判官のうち、2名の裁判官は、発明者は自然人である必要があり、AIは発明者となることはできない、と判断しました。これに対し、残る1名の裁判官は、特許出願において、AIを発明者として記載することは許される、と判断しました。このように、裁判官の間で判断が2対1で分かれ、結論としては、出願人の控訴は棄却されました。

ただ、控訴院の3名の裁判官の間で判断が分かれたことから、今後、本件は英国最高裁判所に上告される可能性が高いと考えられます。

(文責:乾 裕介)

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