祈りのような

2年前弱に劇団のブログ用に書いてお蔵入りしてた文章があったのでノートに供養してみます。
また違う場所へ、平和を祈りながら。


こんにちは。制作のくちこです。
私のページでは、好きな漫画やアニメ、映画について言語化できる場にしたいな、と。。。
駄文となりますが、是非ご一読お付き合いくださいませ。
今日は2作品について語りたいと思います。

①東のエデン「この国の”空気”に戦いを挑んだひとりの男の子と、彼を見守った女の子のたった11日間の物語」

 ボーイミーツガールな始まりなのに、ミーツされたボーイが全裸なんですよ。全裸に携帯を持ってる。そこからもう変。しかもその携帯がなんでも叶えてくれるんです。そんな携帯を手に、最終的にはミサイル迎撃に挑む、、、というなんとも壮大な作品です。
 作中では「noblesse oblige」という言葉が何度も繰り返されます。ご存知の通り、19世紀のフランスで生まれたこの言葉は「貴族」と「義務を負わせる」の合成語であり、いわゆる「持つものの義務・責任」を意味します。(持つもの、は幅広く捉えてください。)主人公の滝沢くんは「責任」を「持たされてしまった」訳ですが、それでも彼なりに、正しい責任を選択していき、最終的にミサイルまで迎撃してしまう姿はとってもかっこいいです。
 キャラクターデザインが、私が大好きな羽海野チカ先生(ハチミツとクローバー、3月のライオン)だし、何よりもまず、オシャレでかわいい。のに、テーマは重たい。そのギャップに風邪をひいてしまいそうなのが癖になる。そして、EDが1番オシャレなので絶対見てください。
 また、脚本・監督が神山健治さん(攻殻機動隊シリーズ)なのであの世界観が好きな人にもハマると思います。

②残響のテロル「この世界に、引き金をひけ。」

 とある若者2人が核燃料再処理施設から強奪したプルトニウムを囮に様々な爆破テロを仕掛けた。彼らと彼らを追う刑事の対決が続く序盤、とある人物が乱入したことで三巴へと変化していく中盤、そして2人が始めたテロの意図、背景が明らかになっていく……というのが大まかな流れです。
 もう、重たい。ものすんごく重たい。画面がずっと暗い。サントラの音が暗い。楽しいシーンがひとつもない(多分)。私がAimerを知るきっかけになったEDの楽曲もめちゃくちゃ大好きなんだけど、ものすんごく暗い。でもそれがいいんです。
 作品として、核兵器を扱う時点で相当の反発が予想されるのに、あえてそこに切り込んでいく。放送を観ていた大学1年生の当時は、核兵器でなくても良かったんじゃないか、と思っていました。でも今回、ロシアが抑止力特別警戒態勢で核兵器の使用を示唆したことで、その囮としての威力を現実世界で体感しました。こういうことなのか、と。
 この作品は賛否両論に分かれると思う。ただ、作中では、2人のテロ行為は必ずしも正当化されてはいない(と思う)。彼らを追う柴崎刑事の言葉、行動、姿、在り方がこの作品の醍醐味なのです。そこだけは全身全霊でおすすめできます。
 音楽が菅野ようこさんで、サントラがものすごく良いです。超暗いけど。主人公のナインが聴いていた「寒い国の歌」なんでしょうね。サブスクあるので是非。

P.S.
この原稿を書き始めた今日は、2月28日。
ロシアの軍事侵攻が始まったのが24日。それからずっと戦闘は続いている。
午後からロシアとウクライナの停戦交渉が開始されるようだ。
戦争は停まるのだろうか。

これまでも「理不尽な暴力」はミャンマー、イスラエル・パレスチナ、ウイグル自治区、数えきれないほど世界のあちこちで起こってきた。

そして、アニメや映画、古くからある古典でも、「戦争」「テロ行為」それら「暴力」は描かれてきた。
なぜそれらを表現するのか。
それは、それらを肯定するためのものでは決してなくて、
いかなる暴力も許されてはならないことを私たちに示すために、繰り返し繰り返しテーマとされてきたのだと、
現実世界で起こる戦争や紛争、人権侵害を目の当たりにするたびに強く感じるのです。

世界のあらゆる地域のあらゆる人が暴力に侵害されない日が来ることを、
文字通りの「平和」を、祈って。