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VIVANT最終回松坂桃李に全部持ってかれた。

初回放送から度肝を抜かれたドラマ
「VIVANT」が最終回を迎えた。

1話目を見終えたときの感想は、
「説明できないけど何か凄い」
「何かめっちゃ面白かった」

そんなざっくりした感想を勢いに
任せてnoteに綴ってから早2ヶ月。

エンディングを迎えた時に、
「何か面白い」の「何か」は一体
何なんだろうという自分なりの答えを
見つけられるのか楽しみに見始めた
最終回。見終えての感想は

「松坂桃李に全部持っていかれた」

もちろん最終回にのみ橋爪功さんが
出演したり、小日向さんが不倫男で
終わったり、綺麗すぎる伏線回収が
続いたり、真のモニターだったり、
疑われてたのに何も裏切らなかった
ドラムの可愛さだったり、ベキは
本当に死んだのか問題だったり、
考察班の考察を超えてくる作りや
ドラマとしての面白さへの感動と、
おそらくあるだろう続編への期待
など色々な気持ちが入り混じった。

しかし私はその半分くらいしかまだ
頭で処理できていない。その責任は
全て黒須、もとい松坂桃李にある。

松坂桃李の黒須が良すぎて、頭が
追いつかなかった。黒須と乃木の
シーンを処理するために1時間は
小休憩が欲しかった。松坂桃李の
演技にアワアワしている間に伏線
回収はどんどん進んでいくからただ
「黒須…」と呟きながら見ていた。

というわけで、見ていない人にも
分かるように、松坂桃李演じる
黒須の何がそんなに良いのかを
このnoteでまとめていこうと思う。


【そもそも黒須とは】

黒須駿は、乃木と同じく、国内外で
民間人に紛れて諜報活動を行う
特殊部隊「別班」のメンバー。
表面上は、JKT資源開発勤務で、
地下資源などの探査掘削の研究開発
エンジニア。丸菱商事で出世レース
から外れて別班の任務に打ち込む
乃木と異なり表向きでもエリート。

これを踏まえた上で、ここからは
登場した4話以降の黒須見どころ
箇所を各話まとめていこうと思う。

【第4話:スタイリッシュ黒須登場】

テロ組織・テントのメンバーかつ
乃木の友人であり同僚の山本が、
公安に追われているところに颯爽と
現れた黒須。黒の革ジャンに身を
包んだ黒須は怯える山本に対して、

「俺は黒須。そんなに警戒しなくて
 良いよ山本さん」

「落ち着けって味方だよ、
 俺もモニター。組織に言われて
 あんたを公安から逃がすために
 来たんだよ」

とちょっとダルそうに伝える。
この時点で視聴者は、乃木さんの
敵か!と判断する。しかしこの後
乃木が別班であると明らかになった
ことで黒須は味方だと判明する。

乃木と黒須にとって敵である山本は
自白剤を投与され、ペラペラ情報を
話し出す。その姿を見て黒須は
超楽しそうにニコニコ笑いながら

「お前優等生だな~」

と言う。多分性格めっちゃ悪い。
でもこのシーンで、山本を煽るとき
黒須は基本乃木の表情も見ている。
ここは松坂桃李天才ポイント①
やりとりからも黒須は乃木の手下
ポジションだとすぐ理解できるが、
黒須は乃木のことがかなり好きだと
目だけで分かるのだ。乃木の顔色を
伺う表情が要所要所で見られる。

好きな人の好みを伺うときの感じ。
ホラー映画嫌いって話で盛り上がる
中、最初は「俺もあんまり…」と
言っていたけど、好きな子が
「私は結構好きだけどな」って
言ったら「あ~でもあれは好き」
って切り替える男子みたいな(?)
とにかく黒須にとって乃木はかなり
特別なんだと登場初回から伝わる。

【第5話:乃木に対してNOがない黒須】

第5話辺りからは特に黒須が乃木を
かなり慕っているのが分かる。
アリにテントの情報を吐かせるため
家族に拷問をしたときも、乃木が
「黒須やれ!」と言えば、何の迷いも
なく、アリの家族を突き落とした
(フリではあるけど)。

もちろん、国のための任務だから
当然のことだが、黒須の行動は、
乃木の指示がセットだと5話で
刷り込まれた感じがする。

黒須は多分乃木に言われればNOと
言わない。忠犬とも言える。

【第6話:黒須、ギャップ辞めて?】

テントの情報を掴むため、乃木と
黒須がデータ解析を依頼したのは
山本から不倫をネタに脅され、
誤送金システムを作らされた太田。

山本に良いように使われ、犯された
太田はデータ解析後、ナイフを
自分の首に当て、解析した情報を
渡したら私を犯して殺す気だろ、
それなら自分で死んだ方がまし、
本当に任務のためならそれを
証明しろと乃木に言う。

それを聞いた乃木は、山本を殺した
動画を見せるように指示する。
その動画を見た太田は
「訓練したんでしょ?見せてよ」
ナイフを乃木に手渡した。

受け取った乃木が、「黒須」
呼びかけると、乃木はバナナを、
黒須は乃木から受け取ったナイフを
投げ、綺麗に壁にバナナが刺さる。
急なバナナに怯んだけど、2人の
コンビネーションが凄いのはこの
シーンで十分に伝わった。

そしてシーンは変わり、丸菱商事の
乃木も出席している経済産業省
資源エネルギー庁・洋上風力発電
設備特区開発事業入札会場。

「JKT資源開発さん?
 いらっしゃいませんか?」という
声の後、少し慌てて黒須登場。

「ああ~!すみません!
 トイレに行っていたもので!
 お、落札ですかあ!?
 ありがとうございます~!」

とにこやかに爽やかに言う黒須。

誰!?誰なの!?

私の知ってる黒須はそんな爽やかに
笑わないけど!?表向きはそんなに
にこやかなの!?モテるだろ!?
なあ!?モテるんだろ!!と荒ぶる
視聴者(私)を差し置いて、やれやれ
顔でにやりと微笑む乃木。
何、その後方彼女面!!!!!
(前方にいたけど)

出世レースから外れている普通の
社員を演じるハイパーエリートな
乃木さんを見せられてるから、
てっきり黒須もポンコツ社員かと
思うじゃん。愛嬌あるエリートは
一番良くないよ。それでいて、
別班任務の時は笑顔で人煽るの
本当に良くないよ。
欲張りセット過ぎるから。
これは松坂桃李天才ポイント②
公開を控えるゆとりですがなにか
でもそうだけど、松坂桃李は
格好良い役も似合えば、ほんわか
役も似合ってしまうのだ。
ハイブリッドが見られるVIVANT
本当にありがとう。

…と荒ぶれたのは6話までだった。

【第7話:乃木に裏切られる黒須】

第7話で状況は一変する。
自分の父親がテントのトップだと
知った乃木は、驚きながらも
任務を遂行することを決める。
そんな乃木を誇りに思ったはずの
黒須は、この後最悪な状況を目の
当たりにすることとなる。

テントを仕留めに行った現場で、
乃木が別班の仲間を銃で撃つのだ。
避けた黒須以外は即死(仮)。

1人生き延びた黒須は、信じていた
乃木が仲間を殺し、テント側に
寝返ったのを目の当たりにする。

「何やってんだ…あんた…
 おい、気でも狂ったのか!!」

と叫ぶ黒須。今まで乃木さんと
呼んでいたのに「あんた」と呼ぶ
ところから黒須の悲痛さが伝わる。

テントの基地に着いてからが、
一番切なかった。乃木に対して、
隣の牢屋から読心術を使う黒須。

「これ、作戦ですよね?」
「乃木さんなら心臓を狙ったように
 見せて急所を外すなんて簡単だ」
「裏切った体でここに侵入する
 作戦でしょ?そうなんでしょ?」

と伝える。どうしても乃木が別班を
裏切ったことを信じたくない、
作戦だと言って欲しい、最後に
つけ加えた「そうなんでしょ?」に
頼むから作戦だと言ってくれと
言わんばかりの黒須の悲痛な願いが
滲み出ている。しかしその言葉に
乃木は首を横に振った。

「本気で国を裏切ったのか…?」

信じられない口ぶりの黒須に乃木は

「どうしても…会いたかった…」

とつぶやく。

「会いたいって…父親に会うために
 国を裏切ったってのか?そんな
 ことのために仲間を…ふざけんな
 てめえこの野郎!!!」

黒須が、乃木を前に初めて感情を
思いっきり出したシーンだ。
しかし、そんな黒須の怒りはもう
乃木には届かない。

「君には分からないよ僕の気持ち
 なんて。僕がずっとどんな
 気持ちで生きてきたか」

という言葉で乃木は誰よりも自分を
信じてくれていた黒須を突き放す。
ここで松坂桃李天才ポイント③
自分の信じてきた乃木はもういない
と察した絶望や裏切られたことへの
怒りが入り交じった目。本当天才。
というか第7話辺りからずっと
黒須の目が天才。台詞がなくても
全部伝わる。黒須の目定点カメラ
欲しかった。

【第8話:乃木に怒り狂う黒須】

乃木と黒須の前に、乃木の実の父で
テントのトップであるベキが現れる。

ベキは乃木に拳銃を手渡して言う。

「やれ、本当に裏切ったなら、
 私の前で殺せ」

抵抗する黒須だったが、テントに
羽交い締め状態にされ、乃木に
銃を向けられる。信じてきた乃木が
自分のことも裏切ったことを
痛感させられる黒須。銃を放つが
乃木の撃った弾は黒須が咥えていた
チェーンを貫いた。

「ふざけんな…やられてたまるかよ
 国のためならいつ命を落とした
 ってかまわない。でもお前に
 やられるのだけは御免だ!
 やるならベキ!お前がやれ!!」

あんなにキラキラした目で
「乃木さん」と呼び、慕っていた
黒須は乃木を「お前」と呼び、
乃木は黒須に銃を向けている。
結局銃にはもう弾は残っておらず
黒須が仕留められることはない。
しかし、そこで乃木に撃たれた
他の別班4人は全員即死だったと
報告が入る。

「ふざけんな…本当に殺しやがって
 俺がお前を殺してやる!おい!
 何か言えよ!おい!」
 

涙ながらに乃木に掴みかかる黒須を
見て、ああ…2人の関係性は
変わってしまったと視聴者すらも
痛感させられるシーンだ。

その後、ベキが本当に息子だと
信じ始め、DNA鑑定を行うことに。
その様子を見ながら、

「DNA鑑定か…外れたら死ぬしか
 ねえな…フハハッ…もし当たっても
 俺がお前を親父諸共ぶっ殺す。
 こんな道を選んだ自分を後悔させて
 やる。覚えとけよ…」

と言う黒須にはもう乃木を
慕っていた頃の面影はない。

鑑定結果は当たり。乃木は本当に
ベキの息子だと証明される。
テントに別の場所へ移動させられる
ときも黒須は怒りをにじませる。

「俺だけ殺すのか?息子だから
 許されるのか?放せ!あいつを
 殺すまでは死ねない!!」

あんなに慕っていた乃木を殺すまで
死ねないと叫ぶ黒須が苦しすぎて
もう見ていられなかった。

【第9話:ピュアすぎる別班員黒須】

黒須が連れてこられた部屋には、
縄で縛られた乃木が吊されていた。

「何が起こった、
 あんた何かしたのか?」

変わらず憎しみに溢れた声でそう
言った黒須の表情は次の瞬間一変。

即死だったはずの別班員が4人とも
生きている証拠の映像をテントから
見せられたのだ。それを見た瞬間、
黒須は、声を震わせながら一言。

「乃木…さん…?」

呼び方…!戻ってる!!!!!
この間まで「乃木いいいいい!」
とか「あんた」って呼んでたのに
すぐに呼び方が戻る黒須…。
良かったねという気持ちと同時に
それがテントにバレたと言うことは
今から目の前で乃木が消される
可能性があるということでもある。
ずっとしんどい黒須…報われて…。

【第10話:もう黒須のことしか考えられない】

乃木が自分を裏切ってはなかった
ということに気付いた黒須。

「黒須がよけられる位置を
 狙いました。2発目は空だという
 自信があったので」

という言葉を聞き、テントを騙す
ために、仲間も欺いたことを知り
嘘だろ…と呟く黒須。

黒須が吊された縄も切り落とされ
地面に落ちると、乃木は一目散に
駆けつけ、黒須を支えた。その後
2人きりになった瞬間のシーン。
ここが松坂桃李天才ポイント④

乃木の胸ぐらを掴み、壁に追いやる
黒須は、深く息を吐いて一言。

「俺にだけは…言って欲しかった…」

ずっと信じてきた乃木に裏切られて
絶対に許さないと思っていたのに、
それすらも作戦だったことを知って
最初に出る言葉がこれよ…そして
これを言ってるときの松坂桃李の
表情が本当に天才過ぎる。
自分でも呆れてしまうくらい、心底
人として乃木に惚れ込んでいるのが
伝わってくる、切なさと安堵と、
嬉しさと、大好きが溢れかえった
表情。刺さりすぎて進めなかった。

しかも「俺には」じゃなくて、
「俺だけには」なのもかなり
ポイントが高い。この間までは、
裏切られていたと思っていたはず
なのに、自分は別班の中でも乃木に
とって特別だという自信が伝わる
この台詞から、乃木のことが全然
嫌いになりきれてなかったことが
分かるのが愛おしい。

そんな黒須を抱きしめながら、

「すまなかった…君も皆と同じように
 心臓の上を狙ったんだが、まさか
 交わされるとはな」

という乃木に対して、

「当然です。ずっと乃木さんの傍で
 鍛えてきましたから」

と誇らしげに言う黒須。
もうエッヘン!って言わんばかりの
誇らしげな顔してた…揺るがない
バディ感がアツすぎて、VIVANTは
どんどん進んでいくのに、私はもう
取り残されていた。黒須消化用の
休憩時間取って欲しかった…

そして、終盤。ベキがまだ復讐を
諦めていないと気付き、止めるべく
日本に戻ると野崎に伝えた乃木。
その電話を聞いていた黒須も

「俺も行きます」

と名乗りをあげる。しかし乃木は、

「バルカにも動きがあるかもしれない
 これを…預かっていてくれ」

と守り刀を黒須に手渡して先を急ぐ。
今度は自分のことも頼ってくれた
嬉しさと同時に、乃木への心配が
詰まったヒロイン感溢れる黒須の
表情があまりに良すぎた。
松坂桃李天才ポイント⑤だ。
本来ヒロインであるはずの薫先生を
差し置いて、この瞬間は確実に
黒須がヒロインだった。
ヒロインにもなれてしまう松坂桃李。
末恐ろしい俳優だと思う。
このシーン直後のツイートからも
私が冷静ではいられなかったことが
よく分かる。

堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、
役所広司らがTBSでドラマをやる
という噂を聞きつけて、何の役でも
良いから出させてくれと直談判して
黒須役を勝ち取った松坂桃李。

しかし、スタイリッシュかつ
スマートに別班の任務をこなす姿、
表向きの明るいエリート的側面、
そして自分でも呆れるほど、心底
乃木の能力に惚れ込んでいることが
分かる表情、裏切られたときの
激しい怒り、裏切られていなかった
安堵、教えて貰えなかった切なさが
説明台詞なくとも伝わってきたのは
松坂桃李の表現力あってのものだと
思う。松坂桃李に黒須役を当てた
制作陣の皆様にお歳暮を贈りたい。
ハムとかが良いだろうか。やっぱり
パーフェクトスティックにしようか。

(余談だけど、ノコルと2人バルカに
 残された黒須さんが、パーフェクト
 スティックでノコルの服を洗濯する
 映像だけでもくれないかな。)

見ていない人に伝わったのかは
分からない。途中から熱が入って
自分が何を書きたかったのかも
正直見失ってしまった。
でもとにかく言えるのは、
松坂桃李の表情演技がとんでもなく
素晴らしかったということだ。
おかげで放送終了してから
黒須のことばかり考えてしまう。
まだ見ていない方、既に見た方
どちらもともに、一度黒須の表情に
注目しながらVIVANTを見て欲しい。

きっとその翌日、ついつい
パーフェクトスティックに手が
伸びてしまうに違いない。

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