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革命的なことを普通にやり出すドラマ「テレビ演劇サクセス荘」

今から4年ほど前。当時はまだ
フレッシュ大学生だった私の口癖は
「TVerと結婚したい」だった。
朝起きて、学校の準備をしながら
TVerで面白そうなドラマを漁る。
学校への移動中、TVerで見逃した
ドラマを見る。夜寝る前に布団で
寝っ転がりながらTVerでドラマを
見て、夜更かしをする。
(※これを添い寝と呼んでいた)
コロナ禍になってからはなおのこと
TVerへの恋心を拗らせていった私。
このnoteではそんな魔性のアプリ
TVerのおかげで新たな世界が
広がった話を綴ろうと思う。


【第一印象、謎ドラマ】

ある日、いつものようにTVerで
面白いドラマはないかな~と
探していたところ、ある作品と
出会った。その名も、

「テレビ演劇 サクセス荘」

テレビ演劇…?なんだこれ、
バラエティーか?でもあらすじは
ドラマっぽいな…頭が「?」で
溢れかえった私は、得体の知れない
その作品を再生することにした。

確か最初に見たのは第2話。
見終えた時の感想がこちら。

「何か…よく分かんないぞ…」

失礼じゃないか!と思った人も
いるかもしれないけど、第2話の
タイトルとあらすじを見て欲しい。

第2話タイトル
「有罪!?無罪!?サクセス裁判」

あらすじ
ある夜、チャップが冷蔵庫に入れた
プリンが何者かによって食べられ、
リビングのごみ箱から空の容器
だけが見つかった。事件発生の時間
リビングにいたのはヒッピのみ。
しかし、ヒッピは食べていないと
主張を続け…。

あらすじとタイトルを見てもらうと
分かると思うが、プリンをめぐって
裁判を行うのが第2話のお話だ。

まず、まず、これだけドラマが
ありふれた時代に、冷蔵庫の
プリンがなくなったことを題材に
裁判をするドラマがあることに
私は衝撃を受けた。

裁判の議題が冷蔵庫のプリンなの
だから、それはもちろん裁判の
内容も本当にしょうもない()。

弁護人は現場検証だとプリンを
食べ始めるし、裁判官たちは途中で
指スマを始めたりする。たまに見る
愉快な夢みたいな内容が続くのだ。

でも…不思議なことに見終えた後、
次も見るか…という気持ちに
自然となっていた。その理由が、
タイトルの「テレビ演劇」という
部分に隠れていると気付いたのは
少し後のことだった。

【実は革新的な作品だった】

最初は何となくこの作品を見始めて
何となく次も見ようと思っただけ
だったから、私は肝心な部分を
見落としていた。

この作品、実は「本番一発勝負」
というとんでもないことを行う
超革新的な作品なのだ。

そもそも、この作品に出演するのは
ほぼ全員が舞台を主戦場としている
舞台俳優だ。
シーズン1に出演している俳優は、

和田雅成・高橋健介・高野洸
髙木俊・黒羽麻璃央・有澤樟太郎
荒牧慶彦・定本楓馬・玉城裕規
寺山武志


の10名。ミュージカルや舞台でも
高い人気を誇る刀剣乱舞をはじめ、
様々な作品に出演している面々で、
サクセス荘は実は、放送後に毎回
トレンド入りしたほどの人気作。

この作品は、舞台というやり直しの
利かない一発本番の世界で、日々
演技をしている俳優陣にテレビでも
同じことやってみよう!と提案する
恐ろしい番組なのである。

舞台は本読みや稽古をしっかりして
準備を行ってから板に立つ。しかし
この番組は、本読みも行わない。
リハーサルも本番前の一度のみだ。
そこでショート(尺不足)となれば
その場で台詞が追加されたり、
もう少し間を取ってと指示される。

かといって、本番も同じようにいく
とは限らない。本番で突然時間が
足りなくなってしまったらその場で
判断してスピードを早めなければ
ならないし、時間が余れば慌てて
アドリブを足さなければならない。
俳優さんたちにとってヒヤヒヤ物の
この構成だが、実はその構成こそが
気付けば「癖になる」のだ。

時折、俳優さんたちの素の表情が
垣間見える瞬間がある。相手からの
ツッコミに普通に吹き出したり、
間を繋げてほしいと言わんばかりの
雑なアドリブを振ってみたり、
台詞を噛んだ人をいじってみたり。

普通のドラマでは決して見られない
ライブ感も楽しいし、仲の良さが
伝わってくると微笑ましくなる。

舞台の日替わりシーンがあまり
好きではないという話を時折聞く。
おそらくそこには、役に中の人の
自我が出て来ていて嫌だという
理由があるのだと思う。

しかし、この作品はむしろそこが
見どころだ。そもそもが一発本番。
自我も何もほぼ本人!その潔さが
他にはない魅力を作り出している。
日替わりシーンが大好きな人は
もちろん、苦手な人も振り切って
楽しめる構成になっていると思う。

この作品を視聴する前、2.5次元が
好きだという先輩の話を聞いて、
私は正直「オタクっぽいのかな…」
と若干懐疑的な目で見ていた。

2.5次元と言われると、派手衣裳、
鮮やかなウィッグ、かなり目立つ
カラコンなど、奇抜なものという
印象が強かった。

だけど、サクセス荘で俳優さんを
見ていると、あれ…?何か思ってた
感じと違うぞ…?となり、実際に
2.5次元舞台の映像も見てみた。

すると、人気の理由が分かった。
歌も上手けりゃダンスも上手い。
演技も出来れば、殺陣も映える。
ほんでとにかくビジュが良い。

シーズン1の途中からサクセス荘に
ハマった私は、ドラマ視聴の傍ら
ストレート舞台をはじめ、2.5次元
舞台もチェックするようになった。
TVerに新たな扉を開かれたのだ。

【安眠効果があるサクセス荘】

サクセス荘はシーズン3まで放送後
映画化もされ、長寿作品となった。

そして私にとっても全シーズンの
DVDを購入するほど好きな作品と
なった。個人的に一番好きなのは
第2シーズンだ。

シーズン1はたどたどしい様子と
緊張感が伝わってくる印象で、
シーズン3はメンバーにも余裕が
生まれてきているのが分かる。
私はその間の、ヒリヒリしながら
楽しむ余力が生まれてきはじめた
シーズン2がストーリーも含めて
お気に入りだ。シーズン2では、
新メンバーとして、小西詠斗と
spiが参加し、シーズン3には、
唐橋充と立石俊樹が参加している。

個性豊かな登場人物が繰り広げる
ドタバタ劇は何度見ても飽きない。
何週もした私は、今やなかなか
眠りにつけない夜にサクセス荘を
再生している。和やかな空気の
サクセス荘は、心が落ち着いて、
寝る前に凄くちょうどいいのだ。
サクセス荘は安眠効果があると
私は勝手に思っている。

もちろん初見の方は、寝ずに
最後まで楽しんでほしいけど。

そして、何を隠そう私はテレ東の
深夜ドラマ大好き人間だ。
サクセス荘のような他局がちょっと
躊躇いそうなチャレンジ作品を
作れるのは、間違いなくテレ東
深夜帯ドラマの強みだと思う。
どエロい()不倫ものから、怖すぎる
サスペンス作品、緩いほのぼのした
コメディ、お腹の空くグルメ作品。
テレ東の幅広すぎる深夜ドラマにも
是非注目して欲しい。

そして、サクセス荘出演俳優陣は
テレビ露出もかなり増えている。
いきなり舞台はハードルが高いと
いう方も是非、気になる俳優さんの
テレビ出演をチェックしてみては。

サクセス荘は現在、U-NEXTで
全シーズン配信中!このnoteを
見て、サクセス荘に少しでも興味が
湧いた方は是非見てみてほしい。

シーズン1のオススメは最終回。
コメディ作品かと思いきや、突然
和田雅成さん演じるゴーちゃんの
夢を追う葛藤が描かれ、綺麗に
流れる涙には思わず貰い泣きする。
当時辛いことがあった私はここで
ダバダバ泣いた。ちなみに冒頭の
ナレーションを担当する山寺宏一も
登場している。

シーズン2のオススメは、第4話。
新メンバーとして歌が上手すぎる
spiが参加したことで生まれた回。
spiの歌の上手さはもちろんのこと
一発本番の緊張の中、荒牧慶彦が
キーボード、定本楓馬のギターを
演奏する様子も見どころ。個人的
推しポイントは玉城裕規による
冒頭のガチギレ演技。役柄からは
想像つかないキレっぷりに注目。

シーズン3のオススメは第8話。
3度目のクールにして、また新たな
挑戦をしている。サクセス荘での
役柄を忘れ、作品内では初めて別の
役を演じるという斬新な回で、
昔ながらの時代劇感も楽しめる。
個人的には和田雅成・高橋健介の
コンビ感がかなり好きだった。

ひと作品でいくつもの味が楽しめる
変幻自在のするめ系ドラマ(?)
「テレビ演劇 サクセス荘」で
あなたも新たな扉を開いてみては?

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