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君に出会えて私の愛は確かに広がった…。

「どうして
 ボランティアしてるの?
 習字が好きなの?」

習字支援最後の日
突然ある男の子が
私に尋ねてきました。

「えっ、どうしてって。
 そうねぇ…どうしてかなあ……
 子どもが好きだからかな」

子どもたちにとって
毎週習字の時間に現れる私は
不思議な存在だったのかもしれません。

また別の子に
こんな質問をされました。

「ねえ、怒ることあるの?」

もちろん
怒りが沸き起こることはありました。
けれど
決して
怒鳴ることはしませんでした。


最後の日
子どもたちから
思いもよらないことを
たずねられ
私のことを
そんな風に見ていたんだなと
少し驚きました。

同時に
世の中には
私のような人がいる
ということを
知ってもらえただけでも
良かったのかなと
思いました。

この日
授業の最後に
思いがけない贈り物をもらいました。

それは
子どもたちが書いた
お手紙の冊子…。

驚いたのと
嬉しいのとで
泣いてしまいました。

思い返せば
本当に色々なことがあったクラスでした。

最後のこの日も
2人の男の子は
「俺やらない」
そう言って
床に座って遊んでいて。

それでも
授業の終わりに
もう一度声をかけたら
「やっぱりやる」と言って
ささっと
清書を書き上げました。

その後2人は
流しの掃除も手伝ってくれて。

嬉しかったな…。

習字の授業を通して
私は
彼らの宝物に
気付くことが出来ました。

ずっと
授業を妨害したり
ボイコットし続けてきたT君は
流しを掃除しながら
話してくれました。

「おれ、料理するよ。
 スクランブルエッグ作れる。
 焼き肉する時は
 お父さんが帰って来る前に
 お風呂掃除をするんだ。
(その理由は
 分からなかったけれど…)」

スポンジを持つ手が
手慣れていました。

彼のことを
ほとんど何も分からないままに
一年間の活動は
終わりました。

ある限られた基準で
彼を評価するならば
彼は全く評価に値しないことに
なるのでしょう。

けれど、
だからこそ
彼は抵抗し続けるのでしょう。

俺をちゃんと見てよ。

と。

T君、君に出会え良かった…。

君は
私の世界を広げてくれた…。

君に出会えなかったら、
私は
今よりも小さな愛で
世界を見ていたかもしれない。

君に出会い
自分と向き合い続ける中で
分かったの。

大切なのは
誰かを変えることじゃない。
私が気付くことなんだって。

ありがとう。T君…。

君と過ごした一年間を
忘れないよ。

春からは
4年生になるんだね。

どうか
君の未来に
たくさんの幸せが訪れますように。






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