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腸内細菌は味方なのか?敵なのか?

腸内細菌に関しては日々研究が進み、いろんなことが分かってきています。

腸内細菌とは持ちつもたれずの共生関係。

腸活に関してお話しするときに、「37度でぬくぬくと育てているペットのような感覚で、菌活してくださいね」と例えることがあります。

しかし、実は人間の食べたくなるものもその腸内細菌にとって有利なものを食べるようにする信号が送られているかも・・・・なんて説もあります。

人間と腸内細菌の興味深い関係について今日はお話しします。




常在菌とは?


常在菌は、私たちの体に常に存在する微生物です。

皮膚、口腔内、腸内など、さまざまな部位に約1000兆個もの菌が生息していると言われています。

これらの常在菌は基本的には健康に影響を与えず、共生関係にあるものを指します。

ただし、免疫力が落ちたりすると、共生関係から一転して感染源になることもあり、「日和見感染」と呼ばれる状態を引き起こすこともあります。

一方で、常在菌が安定して存在することで、侵入してきた病原菌の増殖を抑え、発病を予防する効果もあります。




食事を食べないと腸はどうなる?


腸内環境において腸内細菌は、人間に作れないビタミンや短鎖脂肪酸などの有益な物質を作ってくれます。

一方で長期の絶食などが続くなどのなんらかの原因で腸のバリア機能が落ちると腸内細菌が感染源となって侵入し、全身の感染症を引き起こすことがあります。

自分でファスティングをするとはちょっと意味合いが違いますが、
救急車で運ばれるなどして自分で長期間食事を食べられなくなるようなときがあります。

その時になにも介入しないと腸はどうなるかというと、下の写真のようにすぐに萎縮してしまいます。(左と中央の写真の差が萎縮の変化です。この写真では完全な絶食ではなく、経腸栄養という意識がなくても鼻などから通したチューブから摂取できる液体の食事を投与されています)


https://phgg.jp/academic-materials/am-1/item-2/
PHGG情報センターさんのHPより引用 
 2024.2.16

腸が萎縮するとバリア機能が落ちるので、菌が体内へと侵入しやすくなるのです。

救急病院に勤務していた時に初めてこの写真を見た時は衝撃的でした。

そして感染症を起こさないためにも何を投与するように指導されていたかというと、GFOの3点です。
施設によってはプロバイオティクスを投与するところもあります。

  1. G:グルタミン 
    アミノ酸の一種でストレスが強い時や飢餓状態で働きます。グルタミンを摂取すると、小腸では消化管粘膜の収縮が抑えられ、バリア機能が向上します。

  2. F:ファイバー
    食物繊維は、便量を増やし小腸の通り道を早くすることで、腸の働きを正常にします。また、食物繊維が体内で活動することにより、病気を引き起こす細菌の侵入を減らします。

  3. O:オリゴ糖
    ビフィズス菌などの栄養源になります。そして、大腸でオリゴ糖が発酵します。オリゴ糖は急速に発酵するため、害を及ぼす病原菌の増加を防ぎ、また腐敗物質の生成も抑制することができます。

少量の投与で腸管の繊毛上皮の増殖を維持・促進し、腸管免疫能を賦活化するなどの効果があります。

1週間以上の絶食を余儀なくされるような状況では全身状態が落ち着き次第、GFOで腸機能と腸内環境を維持できるように治療を行っていきます。



腸内環境のバランスはなかなか変わらない


人の腸内環境は3歳くらいの幼少期までに形成され、その後は基本的には変わらないのではないかといわれています。

ただし、もちろん毎日食べているものに影響されて日々変化を繰り返します。

例えばヨーグルトを食べ続けて有用菌を取り入れると一旦その有用菌が腸内に増えます。
しかし、食べるのをやめると約2週間くらいでほぼ排泄されてしまい、定着させるのは難しいといわれています。


また、免疫力の低下や抗生物質の使用・長期の絶食などは、一気にバランスを崩す原因となります。

腸内環境は崩れるのは一瞬ですが、回復・改善させるには3~4週間ほどかかります。

腸にいいと思って食べても継続しないとあまり効果はないのです。

もちろん先に述べたGFOの3つだけ食べていればいい、というものでもありません。

こつこつ継続が腸活の基本です。


以上、腸内細菌に関するお話しをしました。

腸内環境は毎日の食事や生活習慣によって変化しますが、そのバランスを保つことはなかなか難しいですね。

今回紹介した情報を活用して、健康な腸内環境を保つための工夫をしてみてください。
また、他の記事やnoteもご覧いただき、さらなる学びや発見につながることをおすすめします。

引き続きお楽しみください!




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