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数学的ななにか

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認知残高について

認知残高について

少額決済の可能性について考えるとき、容易に検討事項から抜け落ちてしまうものが認知残高というものであります。どうやら人体が活動する際に消費されていく項目としてこの認知残高というものがあるらしいのです。要するにこの認知残高というものをどのようにマネージしていくのかということがまさにサービスを設計・開発していくということに自ずとつながってしまうわけであります。

となると、やはり少額決済を人に対して求め

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言葉と概念は時間の中に溶けていく

言葉と概念は時間の中に溶けていく

ある使い古された言葉については例外かもしれませんが、そのときに語られた言葉や概念は時間と共に変容・消失していくのが常であります。一緒にいた人々の間では理解できていたのは、その時の言葉や概念のありようがあったからこそであり、その時にその場でのみ成立するものであります。書き言葉や記載された記号については不変性を獲得できると期待したいものではありますが、それは春の夜の夢でしょう。要するに言葉と概念という

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真実に関するいくつかの誤解

真実に関するいくつかの誤解

真実はいつもひとつとどなたかがおっしゃっていた気もするのですが、少なくとも一般的な言語で語られる現実に関する真実は原理的にひとつということはないものであります。それは言語自体が持つ特性によるものでもありますし、解釈体と現実との構造、解釈体同士の構造に自ずからシステマティックに組み込まれてしまっているものになります。もしたったひとつの真実というものがあり得るとするならば、ありのままの現実、ありのまま

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時間の中に置き去りにされたものについて

時間の中に置き去りにされたものについて

写真に移されている瞬間について考えていたとき、この光景は時間の中に置き去りにされた何かを私たちに見せてくれている、と考えるのは割合妥当な考え方ではないかと、そのように思ったのです。置き去りにされた瞬間は過去のどこかに存在していると考えたくなりますが、それは写真という媒体を通して想起されたあくまで概念的な存在であり、実際に過去に何かを忘れてきているわけではないでしょう。多くの場合、おそらくそれは思い

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デジタル空間に基底をもつ現実について

デジタル空間に基底をもつ現実について

ある閉じた現実については、デジタル空間に基底をもつ現実とみなすことが可能になります。要するに、デジタル空間上で物理法則を任意に決めることができ、その厳密なマッピングとして現実の物体を動かすことができてしまうということです(もちろん現実における物理法則との橋渡しを物体に付属した物理デバイスが担う必要はあります)。それは、

物理法則のオーバーライド

と言い換えてもよいかもしれません。要するに「物体

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なぜ現実が物理法則に従っているように見えるのか

なぜ現実が物理法則に従っているように見えるのか

例えば、ボールを放り投げてみますと、確かに物理法則に従っているように見えます。ただここで注意しなければならないのは現実のボールはただ飛んで行っただけであって、あくまで個別具体的なボールに過ぎないということです。物理法則に従っているように見えるためには、一度、個別具体的なボールを抽象的な空間にマッピングする必要があります(観測手法はそのための手続きになります)。しかしながらここでもう一つの疑問が出て

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解釈体について

解釈体について

ある記号が表現する意味について考えていた際に、解釈体という概念を用意する必要が出てまいりました。文字であれ、画像であれ、映像であれ、音声であれ、それらを記号の集合にマッピングできるとするならば、それらの記号から意味の集合に対してのマッピングも定義できるのではないかと考えていたのですが、そこで「そもそも意味の集合をどう定義すべきか」という問いに直面しました。しばらく考えた末、実は意味の集合を考える必

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120円はどこ?

120円はどこ?

例えば、自動販売機のコーラは120円です。文字通り120円は数のようですが、それはただの記号です。どうやら丸い形をした銀色の硬貨1枚と銅でできた硬貨2枚で表現できそうですが、アルミでできた小さな硬貨120枚でも大丈夫そうです。もしくは、よく冷えた計算機内に並んでいる電磁気的な配列でもよいかもしれません(その計算機を強力な磁場に放り込めば瞬く間に120円はなかったことになるでしょう)。つまり120円

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