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こどもでもサウナに入っていいの?

こどもでもサウナの入っていいの?という声がありますが、

科学的にはOK。
でも、感情的、また現実的に何歳からでも入れるわけではない

というのが僕の意見です。

その理由を、主にネット上に氾濫している情報からではなく、
サウナの権威団体である、公益社団法人 日本サウナ・スパ協会の認定資格、『サウナ・スパ健康アドバイザー』の有資格者であるぼくが、

その上位資格である、『サウナ・スパプロフェッショナル』の公式テキストを主に参照し、独自の視点から解説したいと思います。



①こどものサウナ浴に関する科学的な調査結果がある

新生児及び1歳未満の幼児を15分間、熱いサウナのベンチにのせて「入浴」させ、こどもにとってのサウナの影響を科学的に検討した調査結果がフィンランドには2件あります。

この調査において、サウナの熱は新生児や幼児に対しなんら影響しないことが実証されています。

実際、サウナが文化として深く根付いているフィンランドでは、生まれたときから、ドイツにおいては3歳から入浴可能としています。

②こどもがサウナ浴をすることのメリット

サウナ浴のすぐれた効果は、こどもにも当てはまります。

現代社会では、テレビやYoutube等といった過激な刺激を与えるコンテンツが跋扈しており、これらは往々にしてこどもの自律神経系に決してよい影響を与えません。また、こどもたちは親の見えないところ、例えば学校生活によって様々なストレスを抱えており、自律神経系を乱すことに繋がっています。

サウナ浴は、こういったこどもにとっての自律神経の乱れをととのえてくれるのです。自律神経は別名『回復神経』とも称されますが、こどもたちのストレスを通常の状態に回復させるためにも、サウナ浴は効果的です。

また、親子でサウナ浴をすることによって、家庭内教育としてこどもたちに「健康のために積極的になにかを行うこと」を一緒になって伝えることができます。

このような、心身を健やかに保つことのみならず、公衆衛生、マナーといった、現代社会で生きる上で大切なことを、サウナが教えてくれるのです。

③こどものサウナ利用が少ない理由

これまで報告されているすべての調査において、たいていのこどもたちはサウナ浴が好きという結果が出ているようです。

とはいえ、なぜこどものサウナ利用はこれほど少ないのでしょうか。

その興味深い研究結果が、以下の通りです。

何が大人をサウナへ行かしめるのか、まず考えてみましょう。サウ穴利用者への大規模アンケートでサウナに来る理由を質問したところ、「サウナでリラックスして休みたい」という回答が2位を大きく引き離して1位でした。特にこの回答は、21〜49歳の親世代に顕著でした。これはこどもをサウナに連れてこない重要な理由になります。親たちはバカンスの昨夜を自分たちだけで過ごすことを望んでいるのです。

サウナ・スパプロフェッショナル公式テキスト 『管理士のためのサウナ・スパ専門知識』

小さなこどもはあちこち動き回るので、大人は目を離すことができません。たとえ親が家族そろってサウナを望み、こどもの行動がほかのサウナ客の迷惑にならないかと気になってしまうものですから。

また、先述のような、サウナ浴がこどもの健康に役立つことが、親たち充分に知られていないということがあります。昨今のサウナムーブメントがあるとはいえ、こどものサウナ浴について、あまねくひろく市民権を獲得するまでに至っていないというのが、現在の状況と言えます。

④こどものサウナの入り方

こどものサウナ浴は、基本的は大人と同じです。
親がこどもにサウナ浴をさせようと思うとき、「まだ小さすぎるのではないか」という疑問をまず抱くかと思いますが、生まれたときからサウナ浴をしているフィンランド人や、規制が3歳〜といったドイツ人の例のように、科学的には問題ないことがわかっています。

また、「こどもが熱に耐えられないのではないか」という不安に対しても、公式テキストにはこのような記述があります。

こどもが熱に耐えられないのではないか心配は不要です。こどもは体積に比べて大人よりも大きい体表割合を持ち熱の影響が大きいのですが、体内の体温は考えられるほど上昇しません。こどもの皮膚にはすでに大人と同数の汗腺があり、体表面にみつに分布しています。こどもであっても慣れてくれば、2段目、3段目の高いベンチを利用し、8〜10分サウナ室内にとどまることができます。

サウナ・スパプロフェッショナル公式テキスト 『管理士のためのサウナ・スパ専門知識』

…とはいえ、ここは日本です。フィンランド人やドイツ人のように、サウナが小さなこどもに無害であることを長い伝統の中で知っている国ではありません。また、身体的な構造も異なります。

なので、実際に娘(2歳4ヶ月)とサウナに行ってきました。

⑤実際にこどもと入ってみた

娘はサウナどころか大衆浴場自体が初だったのですが、結論、サウナの扉を開けた瞬間に泣き出しました。

なので、科学的にOKでも、感情的に、また現実的に何歳からでも入れるわけではないというのがぼくの意見です。

また、特に5歳以下の子どもに関しては、体温調節機能が未熟なのでサウナ室で身体が急激に温まりやすく、子どもの場合は身体の不調を自覚し、言語化して訴えるということも難しいという見方もあります。ネット調べなので確固としたエビデンスは無いのですが、気持ちの部分では大いに共感できます。

従って、ぼくが提案したい、こどもがサウナに入るときの注意点(日本用)は以下の通りです。

1.排尿・排便がコントロールできる
2.人の話を聞いたり、ある程度自分を律することができる
3.身体の不調を自覚し、言語化して訴えることができる


(言うまでもないですが、監督者として、適宜こどもの水分補給、体調をつぶさに観察するのは必須です。)

主に大衆浴場でサウナを利用する日本にとって、上記4点は抑えるべきポイントかなと。そうなると、5歳くらいからサウナデビューを始めるのが現実的なのではないでしょうか。

ただ、様々な情報を見ると、子どもはサウナに入るべきではないということではなく、子どもが入る場合は大人がしっかり見ていないと危ないこともあるよね、ということですので、こどもはサウナに入ってはダメ!というわけではないです。もちろん施設独自のルールもあるので遵守しましょうね。

⑥【番外編】こどもと一緒に大衆浴場に行って感じたモヤモヤ

ぼくと娘(2歳4ヶ月)
妻と息子(11ヶ月)

で今回初めての大衆浴場デビューを果たしましたが、以下は実際にやってみての感想です。

・準備する荷物が多い
・脱衣場のベビーベット付近のロッカーが空いていないとあちこち移動しなければならず大変
・子ども用バスローブがあると楽
・転ばないよう神経使う
・自分が身体洗っているときにこどもの身体が冷えないよう逐一シャワーかけてあげるの大変
・子ども用の椅子が高い(2歳だから)
・ベビーバスが汚くて使う気になれない
・湯船に怖くて浸かってくれず、ずっと抱っこ状態
・こどもがのぼせていないかばかり考えてしまう
・40度以上の湯船には怖くて入れられない。
・39度以下のつぼ湯や、寝ころび湯に座って身体にお湯をかけてあげるくらいしか入れなかった
・こんな状態なので自分は全然休まらない
・ましてやサウナなんて絶対に無理だと確信した

と、このようにあげればキリがないです。

とはいえ、こういったモヤモヤに気付けたことは、自分が作る温泉・サウナ郷に活かせることなので良かったですし、今回のような非日常環境に子どもと入る経験は、こどもにとっても大人にとっても良いなあと思いました。

うまく表現できませんが、こうやって大人もこどもと一緒にもなって成長していくのだなあと。

こういった自分が抱いたモヤモヤを感じさせないような、親子それぞれがゆっくりできるような施設があると良いなあと切に思いました。


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