遺伝のはなし。
父は脚が短い。
長姉も短い。
ふたりとも面白いくらい短い。
まさかまさかとは懸念してたけど、このあいだついに彼に「脚短いね」て言われた。
まさかまさかとは思ってた。
いつもスカートはいて誤魔化してた。
ワイドパンツで誤魔化してた。
丈の短いトップスで誤魔化してた。
ヒールの高い靴で誤魔化してた。
今まで誰にも言われたことなかったけど、正直者で無垢な彼ピッピは臆面なくニコニコしてた。
そんなことがあったのが先月のことで、そんなのすっかり忘れて昨日車校の技能の授業で運転席のシート合わせてた。
ギリギリまで前に寄せてた。
もうハンドルのとこに膝当たるんじゃないかってくらい。
先生に身長何センチって聞かれた。157センチ。
ギリギリ前に寄せてもクラッチ全開にするのつらかった。
踏み込むの必死。
脚短かった。
お父さん恨んだ。
今日も教習だからぴったりめのパンツはいた。
やっぱり脚短かった。夢でも幻でもなかった。
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