『カラス』2023年5月
『カラス』
海に行くべきかそもそもなぜ海か迷うあいだにたどり着く海
ぼろぼろとキャベツこぼしてカツサンド齧れば頭上でカラスがさわぐ
半袖の隙間を泳ぐ二の腕を触ればつめたい五月の海に
まさかわたしが標的なのかカラスの言葉はひとつもわからない
波際に打ち上げられた魚の腹、そんなに光ると見つかるよカラスに
群がって魚を啄んでいるカラス 群れても一羽一羽の輪郭
遠巻きに見ているカラス はらわたがはじける魚 そしてわたしは
藤田美香
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海のそばに住んでいる。
潮の香りがするかと聞かれて、すると答えたが
潮の香りが常時しているわけではない。
たまにぶあっと香る。そしてああ海だなあと思う。たまに、の間隔が長くなった。慣れたんだろう。
この辺は風もつよい。海風だ。
越してきた時は、そのせいか、タオルがガチガチに乾くのでそれは嫌だなあと思ったものだけれど、最近はそうでもない。
洗剤が進化したのか、慣れたのか。
私は柔軟剤を使わないから。
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